お客さまよりご依頼頂きました商品につきまして修理カスタム対応をさせて頂きました。
・LCT Zenit AKS-74UN Custom(ZKS-74UN)海外製電動ガン
ご依頼内容は『動作しない』『フルオート射撃中に停止してしまう』とのご依頼でした。
本体内部を調査した結果『①メカボックス内部にあるQD式スプリングガイドと呼ばれる部品がピストン後退時に接触して噛み込んだ事による故障』でした。『噛み込んだ後高負荷に耐えられずギア部品も破損している状況』でスプリングガイド部品はメカボックスより脱着が出来る構造になっていますがメカボックス内部へ挿入した際に構造上『スプリングガイドの固定が甘く上下に振れてしまいピストンと接触してしまう不具合』が御座いました。②海外製品につきギア3点の位置高さ調整(シム調整)が適切でなくギアを固定する軸受けも外れている状態、③ピストンヘッドとシリンダーの気密が取れておらず『エアの圧縮動作が出来ない状態』④海外製チャンバーパッキンゴムの硬度が高くやや変形している症状も御座いました。
この度正常にBB弾の発射動作が出来る様に『不具合箇所の改良と故障箇所の修理』に加え『オーバーホールメンテナンス、駆動系統のカスタム整備、耐久性/初速性能向上、弾道性能の安定化』をご提案させて頂き修理カスタム製作を実施致しました。
LCT Zenit AKS-74UN Custom(ZKS-74UN)海外製電動ガン 修理カスタム内容
ご依頼内容
『動作しない』『フルオート射撃中に停止してしまう』
《詳細》
初陣にてフルオート射撃中に停止
その後バッテリーを繋いでも動作しない
分解していないので詳細不明
よろしくお願いいたします。
故障原因
①メカボックス内部にあるQD式スプリングガイドと呼ばれる部品がピストンの後退時に接触して噛み込んだ事による故障、噛み込んだ後高負荷に耐えられずギア部品も破損している状況
※スプリングガイド部品はメカボックスより脱着が出来る構造になっているもののメカボックス内部へ挿入した際に構造上、スプリングガイドの固定が甘く上下に振れてしまいピストンと接触してしまう不具合あり
②海外製品につきギア3点の位置高さ調整(シム調整)が適切でなくギアを固定する軸受けも外れている
③ピストンヘッドとシリンダーの気密が取れておらず『エアの圧縮動作が出来ない』
④海外製チャンバーパッキンゴムは『硬度が高くやや変形している』
《修理カスタムご提案内容》
(1) オーバーホールメンテナンス、駆動系統のカスタム整備、外れているベアリング軸受けの接着固定
(2) 耐久性向上:破損したギアをスチール製強化ギア3点へ交換修理、セクターチップを移植
(3) 動作性能改善:シリンダーヘッドへAOEダンパーゴム装着(ピストン位置の最適化)【耐久性向上/高負荷の低減/立ち上がり動作の改善】
(4) 給排気性能の改善:気密性の高いピストンヘッドOリングへ交換
(5) スプリングガイドとピストンの接触回避:スプリングガイド部品を切断全長を短縮加工
(6) インナーバレルチャンバーユニットメンテナンス:海外製チャンバーパッキンゴムを東京マルイ製へ交換
(7) 初速性能向上【0.2gBB弾での調整】:メインスプリング交換、95~90m/sの範囲内
修理カスタム製作のポイント
①メカボックス内部オーバーホール作業(分解部品洗浄)
②外れているベアリング軸受けの接着固定
③破損したギアをスチール製強化ギア3点へ交換、セクターチップを移植
④駆動系統カスタム整備【ギアシム調整、ベベルギア位置出し、モーターノイズ調整】
⑤シリンダーヘッドへAOEダンパーゴム装着(ピストン位置の最適化)
⑥気密性の高いピストンヘッドOリングへ交換
⑦スプリングガイドとピストンの接触回避:スプリングガイド部品を切断全長を短縮加工
⑧インナーバレルチャンバーユニット注油メンテナンス:海外製チャンバーパッキンゴムを東京マルイ製へ交換
⑨初速性能向上/初速調整【0.2g弾での調整】:ばね鳴りの少ない不等ピッチスプリングへ交換、95~90m/s(0.2gBB)の範囲内
⑩本体外装の組み上げ調整
⑪0.2g弾にて実射テスト/弾道検査
修理カスタム製作に使用したパーツ
■計:4点
・J-ARMAMENT 強化ギアセット【18:1】 ¥3,400
https://repmart.jp/products/ra01495.html
・GAW 電動ガン用 FRUS-Oリング ¥580
https://repmart.jp/products/ra14327.html
・東京マルイ純正部品 チャンバーパッキンセット ¥352
・SPARK industries 不等ピッチスプリング【M95】 ¥860
https://repmart.jp/products/ra05027.html
修理カスタム作業内容
1)本体分解、内部状況調査
《ご依頼品外観:ロシアの銃器パーツメーカー『Zenit co』がリリースするカスタムパーツを再現/標準装備したLCT純正電動ガン》
《AKS74UN(クリンコフ)をベースとしたZenitカスタムをモデルアップ》
《レシーバー/トップカバーなどの外装は実銃同様スチール素材で再現》
《B-19+B-11タイプハンドガードを搭載:20mmレイル仕様フォアグリップや光学機器の装着が可能》
《実物同様の刻印をリアルに再現》
《DTK-2タイプマズルブレーキを標準装備》
《スチール製で独特な形状と刻印をリアルに再現》
《PT-1タイプストックを標準装備》
《ストック折り畳み時》
《強固な造りで剛性は非常に高い》
《基部下側のロックボタンを押すと》
《ストックの展開が可能》
《本体右側面》
《伸縮/折り畳みが可能で上下に動作可能なチークライザー機能も搭載》
《ロックレバーを上げると》
《ストックの伸縮と細かい位置調整が可能》
《セレクターは一般的なAKと一緒》
《ボルトコッキングハンドルを引いてホップアップ調整用レバーの操作が可能》
《トップカバーを開いて内部にバッテリーを収納》
《故障状況の確認:バッテリーを接続してトリガーを引いても動作しない状況》
《本体の分解:アッパー/ロアハンドガードの分解》
《ガスチューブを上に持ち上げて外す》
《トップカバー基部を前方へ外してアウターバレルとレシーバーを固定しているイモネジを緩めて》
《チャンバーユニットを連結しているネジを外すと》
《前方に銃身部が抜ける》
《セレクターの止めネジを外す》
《セレクターを外して》
《グリップを外す》
《メカユニットとインナーバレルチャンバーユニットをレシーバー内部より取り外し》
《ボディ分解後:主要構成部品》
《メカユニット:QD式スプリングガイド機能搭載 ※EBB(電動ブローバックモデル)と共用?の新型メカボックス》
《右側》
《モーターを内蔵したモーターホルダー》
《ピニオンギアに異常無し》
《メカボックスケースの上部にはスリットが設けられておりEBB(電動ブローバックモデル)と共用になっている模様》
《LCT AK初のQD式スプリングガイド:脱着式でメインスプリングの交換が容易》
《メカボックス分解》
《スパーギアの軸が折れている:異常な高負荷が掛かり破損したと思われる》
《ギア歯も欠けて飛び散っている》
《ギア3点 18:1 標準トルク ※代用品の強化ギアへ交換用》
《給排気パーツ類》
《シリンダー内部でピストンヘッドの気密が取れておらずエアが漏れている状態》
《金属製フルスチール歯ピストンを搭載》
《ピストンヘッドも金属製でAOE調整用ワッシャーも組み込まれている》
《セクターギアと干渉するラック歯もカット済み》
《気密性能の悪いピストンヘッドOリングは交換要》
《スイッチ両側端子外側にはスポンジは詰められており経年劣化により端子が外側へ開いて接触不良が起きない様に予防している》
《分解部品検査》
2)メカボックス内部オーバーホール作業(分解部品洗浄)
3)外れているベアリング軸受けの接着固定
《9mmベアリング軸受け仕様》
《接着固定》
4)破損したギアをスチール製強化ギア3点へ交換、セクターチップを移植
《使用部品:J-ARMAMENT 強化ギアセット【18:1】》
《セクターチップ接着固定》
5)ギアシム調整:ギア3点を円滑にドライブ出来る様調整
6)ベベルギア位置出し、モーターノイズ調整
《ベベルギアとピニオンギアの位置高さ調整》
《緩くなったピニオンギア固定イモネジをネジロック剤で接着》
《接着固定後》
《モーターの位置調整を行うイモネジも緩まない様ネジロック剤で固定》
《ねじ込み/モーター位置高さ調整》
7)シリンダーヘッドへAOEダンパーゴム装着(ピストン位置の最適化)
《ピストンヘッド面にダンパーゴムを接着》《ピストンの位置を後退させてセクターギアとの歯当たり角度を調整》
《接着固定後》
8)AOE調整後セクターギアピックアップ歯の角度確認【耐久性向上、高負荷の低減、立ち上がり動作の改善】
《AOE調整前:ピストンドライブ時負荷が斜めに掛かる状態》
《AOE調整後:セクターギアのピックアップ角度を調整、水平方向に負荷を逃がす事により立ち上がり動作を改善、駆動時の高負荷を低減》
10)気密性の高いピストンヘッドOリングへ交換
《使用部品:GAW 電動ガン用 FRUS-Oリング》
《ピストンヘッドをネジロック剤で接着》
《Oリング交換後》
《給排気性能のチェック:OK》
11)スプリングガイドとピストンの接触回避:スプリングガイド部品を切断全長を短縮加工
《QD式スプリングガイド先端部はピストンと接触しない様に削られてはいるものの》
《メカボックス内部での固定が甘く写真の様に下側へ大きくぶれてしまいピストンと接触/噛み込みが発生してしまう》
《接触を回避する為スプリングガイドを切断して全長を短縮》
《対策後:ピストン後退時にスプリングガイドとの接触を回避》
《メカボックス本体内部組み込み時》
12)再組立て:グリスアップ、接点グリス塗布、オイル注油
《接点グリス塗布》
《メカボックス内部完成》
《メカユニット完成》
13)初速性能向上/初速調整【0.2g弾での調整】:ばね鳴りの少ない不等ピッチスプリングへ交換、95~90m/s(0.2gBB)の範囲内
《使用部品:SPARK industries 不等ピッチスプリング【M95】》
《メインスプリング/QDスプリングガイド挿入》
《バッテリーを接続して動作確認》
《セミ/フルオート射撃の際ピストンとスプリングガイドの接触/噛み込み発生無し:OK》
14)インナーバレルチャンバーユニット注油メンテナンス:海外製チャンバーパッキンゴムを東京マルイ製へ交換
《ホップアップ調整はレバー式》
《ホップ突起はマルイ形状》
《チャンバーユニット分解》
《海外製チャンバーパッキンゴムの硬度は硬く変形している為、柔めの国産品へ交換》
《インナーバレル長:248mm》
《使用部品:東京マルイ純正部品 チャンバーパッキンセット》
《メンテナンス組み込み》
《ホップクッションラバー交換》
《ホップ突起形状の確認》
《インナーバレルチャンバーユニット完成》
16)本体外装の組み上げ調整
《海外製AK電動ガンは一度本体を分解するとハンドガード周りが緩くなってしまう為、組み上げの際には調整が必要になる》
《ロアハンドガードの左右に若干の隙間が生まれてガタついてしまう》
《左右に1mm厚のプラ板を挿入してガタツキを矯正》
《剛性のチェック》
《アッパーハンドガード装着》
《挟み込んだプラ板を目立たない様に奥まで打ち込む》
《セレクター固定ネジにネジロック剤を塗布》
《セレクター装着後》
《本体組み上げ/発射動作確認:完成》
■最終動作確認、約50mの距離で弾道検査、ホップアップ調整、初速計測チェックの後お客様へご返却となります。
■初速 【弾速測定器:ACETECHにて計測】
・ノンホップ時:91m/s(0.2gBB) 適正ホップ時:95m/s(0.2gBB) サイクル数:14発/秒
※約50mの距離で弾道検査、ホップアップ調整をしています。【0.2g弾で調整/弾道検査済み】
※『7.4v 30C 1100mAhリポバッテリー』にて動作検査
※『東京マルイ BB弾 FINEST ファイネスト 0.2gBB弾』を使用し検査致しました。
※サイクル数の数値につきましてはご使用になられるバッテリー容量や状態により左右される為、あくまで参考値となります。
修理 カスタム担当者コメント
ご依頼頂きましたのは『LCT Zenit AKS-74UN Custom(ZKS-74UN)海外製電動ガン』でした。上記15項目の作業と実射テストを実施致しました。修理カスタム後の初速はノンホップ時 91m/s(0.2gBB)、適正ホップ時 95m/s(0.2gBB)、セミ/フルオート発射動作問題御座いません。正常にBB弾の発射動作が可能になりました。オーバーホールメンテナンス/駆動系統のカスタム整備、破損部品交換、スプリングガイドとピストンの接触回避加工により動作性能が改善し初速/飛距離も向上、チャンバーパッキンゴム交換により左右へのBB弾の散らばりは低減、40m先まで真っ直ぐ伸びる弾道となっております。
【0.2g弾にてホップアップ調整/弾道検査済み】です。
ロシアの銃器パーツメーカー『Zenit co』がリリースするカスタムパーツを再現/標準装備したLCT純正電動ガンになります。AKS74UN(クリンコフ)をベースとし『B-19+B-11ハンドガード』『DTK-2タイプマズルブレーキ』『PT-1タイプストック』をリアルに再現、拡張性やタクティカル性が大幅に向上した『Zenitカスタムモデル完成品』として販売されている人気の高い商品になります。スチール製のリアルな外観を誇る商品ではありますが海外製電動ガン(玩具)という特性上ご使用された際に故障する場合が御座います。
本ご依頼品の故障原因は『メカボックス内部構造の不具合による故障』でした。一度は破損部品交換と駆動系統のカスタム整備を実施、お客様へ納品させて頂いたものの同様の故障が再発、再調査した結果『スプリングガイド部品とピストンの接触による故障と判明』不具合箇所の改善と対策/実射テストを行いお客様へ再度納品させて頂きました。海外製電動ガンの場合、国内に販売代理店がある商品を除き『原則メーカー修理保証が無く故障した場合は購入者様ご自身による修理等の対処が求められる商品』となりますが『昔と比べガン本体価格が高騰しており再度新品への買い替えも難しく』また『修理カスタム技術難易度も極めて高く個人様での調整は難しい』のが現状です。『海外製トイガンの多様化により国内に流通している全てのメーカー/機種の把握が困難な状況下』にありますが『ご対応が可能な機種/内部構造であればお調べして弊社にて修理カスタム製作を実施』させて頂いております。
この度はお客様よりご要望頂きました内容を元に具体的なご提案内容を提示させて頂き修理カスタム製作を実施、納品させて頂きました。『故障原因の特定、不具合箇所の改良、部品交換修理』及び『オーバーホールメンテナンス、駆動系統のカスタム整備、耐久性/初速性能向上、弾道性能の安定化』により快適な発射動作と『0.2g弾を用いて40m先まで安定して狙える実射性能』へ改善しています。再びご愛用頂ければ幸いです。
弊社ではお持ち込みによる『電動ガン全般の修理、メンテナンス、カスタム』またカスタム完成品(コンプリートガン)製作を承っております。
ご依頼の際にお気軽にお問合せ下さい。