私がレビューするトイガンは、ウエスタンアームズ社が発売したベレッタM1934です。
それも、最近発売されたモデルではなく、2003年に発売された古いタイプを紹介したいと思います。
実銃のM1934は、イタリアのメーカー、ピエトロ・ベレッタ社が1934年に製造した小型の自動拳銃で、前身であるM1915共々、イタリア陸軍に正式採用され1980年代に生産が終了するまで、およそ100万挺が製造されたとされています。
使用弾が.380ACP弾(9✕17mm)ということもあり威力は弱いのですが、部品が少ないためか故障も少なく、スライド上部に大きな排莢口が開いているためジャムの発生率もかなり低かったそうです。
リアルな刻印
ウエスタンアームズ社が扱うピエトロ・ベレッタ社の製品には、他のトイガンメーカーのベレッタ製品と比較し、大きな違いがあります。
それは、ピエトロ・ベレッタ社と独占専属契約を結んでいるため、ベレッタ社のロゴや実銃に施されている刻印を再現できることです。
トイガンをサバイバルゲームの道具として見た場合はとくに意味があるわけではありませんが、観賞用として購入するユーザーにとって、とても大事な要素となります。
例えば東京マルイ社が発売しているベレッタM92Fの場合、グリップ部分にあるエンブレムは、実銃のそれとは微妙に異なっています。
実銃のエンブレムは3つの上向き矢印(矢?)が描かれていますが、東京マルイ社のものは3本の剣になっているのです。
また、ウエスタンアームズ社製品にはスライド部分に「PIETRO BERETTA」の刻印があり、他社の製品に比べ、よりリアルに再現されています。
外観の特徴
見た目の第一印象はまず小さいことで、全長は実銃と同じ149mmですが、厚みもあまりなく、かなり小さく感じられます。
私は指が太くて短いのでベレッタM92Fなど普通サイズのトイガンは握りづらいのですが、このモデルは小さいのにしっかりと握り込むことができました。
実銃も携行性や取り回しのし易さで、かなり扱いやすかったと思われます。
見た目の特徴としては、3点あります。
- スライド上部の大きな排莢口
- 丸型のハンマー
- ツノが伸びたマガジン
そのほか、実銃ではジャム率の低さでしょうか。
アウターバレルが直に見えるため、全体的な曲線の強調にもなっているかと思います。
丸型のハンマーも特徴的な形で、全体の雰囲気を損なうことなく収まっています。
この銃のトリガー機構はシングルアクション、トリガーを引いたまま、セーフティをかけることも可能です。
ツノが伸びたマガジンは、この銃の見た目にアクセントを加えてくれます。
また、実際に使った時に感じたのですが、このツノのおかげで手の位置がしっかりと固定され、握りこみ易くなっているように感じました。
フィンガーチャンネルとして採用されたのでしょうか?マガジンを取り出す際には、フレームに他の銃のようなイジェクトボタンが付いていません。
グリップ下部のマガジンキャッチを上部に押し上げて引き抜くのですが、その時もこのツノがいい仕事をしてくれます。
全体的な見た目はとてもシンプル。
H&K社のUSPのようにアタッチメントを付けるマウントレールもありませんし、サイレンサーを取り付けるネジ山もありません。
変更できる物と言ったらグリップしか無いのです。
拡張性という点では融通が効かないというわけですが、携行武器として見た場合、携行しやすいようシンプルに纏められていると言った方が正しいと思うのですが、如何でしょうか。
スライドとフレームにはカーボンブラックHWが使用されていて、古い鉄のようななんとも言い難い「使い込まれた道具」のような感じがします。
スライド右側面にはちゃんと「PIETRO BERETTA」の刻印があり、グリップ部分には初期のベレッタ社のロゴがついています。
個人的には、現在のロゴよりもこちらの方が好きですね。
また、重量を実銃に近づける(実銃:660g・今製品:590g)ためにこのグリップは亜鉛ダイキャスト製で、黒の艶消しが施されています。
このおかげで小振りな割にはずっしりとした重量感があり、持った時にはヒヤリと冷たい感触があります。
背面から見てみるとハンマーを起こした場合、その奥にファイアリングピンを見る事が出来ます。
無論、再現のためのモールドですが、細かい所まで作ってあって嬉しくなってしまいますね。
リアサイトは、金属製のものが取り付けられています。
次に正面から見てみますと、マズルからインナーバレルが確認できます。
大抵のトイガンではこのインナーバレルの色がゴールドなっていて非常に目立つのですが、このモデルでは黒のメッキ仕様になっていて目立たないよう工夫されているようです。
マガジンは亜鉛ダイキャスト製で、装弾数は20+1発のダブルカラム(実銃は.380ACP(9✕17mm)のシングルカラム)。
銃自体のコンパクトさを考えると、装弾数は多いと思います。
背面には、マガジン装填時にマガジンキャッチでバルブを押してしまわないよう、バルブ周りにガードが付いている親切設計。
本当に、細かい所に拘って作られていることが伺えます。
分解について
分解の仕方についてですが、まずはマガジンを抜き、スライドを後退させます。
セーフティロックをかけると、アウターバレルを後退させられるので、上へ持ち上げると排莢口から取り出せます。
セーフティを解除して、スライドを通常位置より前進させれば分解完了。
この時、誤ってバネをどこかに飛ばしてしまうことの無いよう、若干の注意が必要ですが、ものの数秒で分解できるのでメンテナンスには便利です。
実射性能
実際に撃ってみると、小さいとはいえ、そこはウエスタンアームズ社製、リコイルショックがビシビシと伝わってきます。
さすがに大型拳銃のリコイルには負けますが、それでも充分強い。
弾の威力は強いとはいえませんが、そこはトイガンの中でも小柄な部類なので致し方なし、といったところでしょうか。
固定ホップアップなので、微調整が出来ないのが辛いところではありますが、悲観するほど集弾性が悪いということもないので心配はいりません。
ただ、個体差なのかも知れませんが、私の持っているM1934は弾道が若干左に逸れる傾向にあります。
飛距離もそれなりですが、やはり弾数が少ないですし重量もあります。
小型のマガジン故、ガス切れも早いですし、サバイバルゲームのサブウェポンとして使うには少々頼りない気がしますね。
ちなみに、この銃は実銃共々スライドストップ機構がありません。
劇中で使用したモデル
最近、アニメキャラクター劇中で使用したモデルでM1934が複数発売されています。
M1934/ノワールサイレンサーver.やM1934《ストライクウィッチーズ》ルッキーニモデルなどです。
私は後者のアニメは観たことがないのですが、前者は観ていました。
私がM1934を買ったのも、実はノワールの影響だったりします。
今回レビューしたものと基本的な性能は変わりませんが、アウターバレルの先端にネジが切られ、付属のサイレンサーを装着できるようになっています。
また、アルミフレームや劇中のモデルと同じように独自の装飾が付いていたりと見た目の個性付けがなされています。
価格は、本レビュー製品の約2倍。
付属品や専用ボックスが付くとはいえ、少々高すぎるような気がします。
最後になりますが、M1934のトイガンを一言でまとめると、飾って楽しめ!ですね。
スタイリッシュな見た目をしているので、本当におすすめします。