マルシン工業から発売されているガスリボルバー、コンストリクターのレビューです。
コンストリクターはコルト・アナコンダをベースとし、マルシンが独自にデザインしたカスタムデザインリボルバーです。
そのため、実銃にコンストリクターという名称のリボルバーがあるわけではありません。
原型となっているのはコルト社のリボルバー、コルト・アナコンダです。
同社製のコルト・キングコブラの生産終了後に、同社初の.44マグナムとして発表されました。
外見的にはコルト社の中でも特に名が知られているコルトパイソンと似ていますが、内部機構自体はキングコブラを基とした設計になっているため、コルトパイソンのように本体価格は高くありません。
コンストリクターでは、コルト・アナコンダのバレルを、PPCマッチ風のバレルに改装したデザインになっています。
PPCマッチとはFBIがハンドガンのトレーニング用に考案した競技で、複数の射撃姿勢で各距離のターゲットを撃ち合計得点を競います。
FBIではPPC考案後に更に別のトレーニング競技へと発展していきましたが、PPCは警察関係者や民間シューターに浸透し、競技会が開かれるほどに発展しました。
PPCマッチでは大きく分けてカスタムされていない銃を用いた競技と、カスタムされた銃を用いた競技の2種類に分かれており、コンストリクターに限らず、PPCカスタムなどと付けられた名称のリボルバーは大概、後者のカスタム部門で使われる銃をイメージしたものになっています。
PPCカスタムの大きな特徴はバレルにあります。
PPCでは命中精度を重要視するため、信頼性の高いリボルバーに命中精度を向上させるカスタムを施します。
PPCカスタムのバレルは、射撃時に反動を抑制するためと安定したポジションを保持するために、わざと重めのバレルを使用しています。
そのためPPCカスタムと呼ばれる物の大半は、ブルバレルやスクエアバレルを採用しています。
また、サイドウィングと競技距離に合わせた段階的調整機能の付いたフロントサイトや、フロントサイトとリアサイトを一直線に繋いだ一体型のリブサイトを装備しているのも大きな特徴です。
余談ですが、PPCマッチに用いられる実銃の多くは、S&W製のKフレームを使用したリボルバーをカスタムするのが普通であり、コルト社製品などは殆ど存在しないそうです。
一方で1980~1981年当時の日本ではS&W社のKフレームのリボルバーをモデルとしたトイガンは発売されていなかったため、本来は用いられることの少ないコルトパイソンやM29などをベースにカスタムするのが流行しました。
また、これとほぼ同時期に放送されたテレビドラマの「西部警察」や「太陽にほえろ!」内でもPPCカスタムされたプロップガンが登場し、無骨なバレルが目立つこともあってか当時のモデルガンユーザーなどに対して非常に大きなインパクトを与えました。
マルシンから8mmBB弾を使用する、ガスリボルバーとして発売されていたコンストリクターですが、以前の旧型カートリッジからXカートリッジへと仕様変更されました。
それに伴いカートリッジ以外の部分でも一部変更され、より使いやすくなるようにマイナーチェンジされています。
パーツ一覧は同社のアナコンダと同一のパーツ一覧が入っており、それに加えてコンストリクターのオリジナルパーツに関するパーツ一覧が入っている形になっています。
パーツ一覧はXカートリッジ以前の旧型物をそのまま流用しているため、変更に関しては別用紙に記載する形を取っています。
そのためマルシンにパーツを直接注文する場合には注意が必要です。
コンストリクターの特徴でもあるカスタムデザインのバレルですが、バレル上下に装備されたウェイトにはレイルが刻まれており、各種光学サイトなどを装備可能です。
フロントサイトとリアサイトが一体化したリブサイトになっており、フロントとリアまでの間はセレーションが刻まれており、仕上げも比較的綺麗です。
また、分解しないと分かりませんがインナーバレルが半ばで下方向へ曲がっています。
これは不良品などではなく、マルシンの8mmBB弾を使用するリボルバー自体の仕様であり、違法な改造を防ぐ目的で行われています。
というのもマルシンの8mmBB弾仕様のガスガンは、8mmBB弾を飛ばすために普通の6mmBB弾のガスガンよりもガスの放出量が多めになっているため、本来の規格よりも小さい弾を使ってしまうと規制値をオーバーしてしまう可能性があるためです。
インナーバレルが途中で曲がっているのは外径が8mmの筒を入れて使えるようにしないための対策として行っています。
カートリッジは旧型の真鍮製のものからXカートリッジという弾頭部分をアルミで再現した、よりリアル寄りな外見のものへと変更されています。
以前はカートリッジ前方から入れたBB弾を後部まで押し込む必要があり、専用のローダーも商品に含まれていましたが、Xカートリッジでは弾頭部分にセットする形になったため、BB弾の装填がし易くなっています。
また、旧型カートリッジとの互換性はありません。
シリンダーは安全のための肉抜きを内部にしてあり、スカスカの状態になっています。
カートリッジを装填してしまえば、エジェクターとカートリッジに隠れて見えませんが、かなり大きく開けられていて、マルシンの安全への配慮が伺えます。
エジェクターロッドの動作幅が実銃よりも短くなっていますが、これは動作を確実に行うために行われている処置であり、分解して内部のカラーを外すことにより実銃同様の動作幅を持たせることも可能になっており、それに関する内容が記載された用紙が付属しています。
マルシンのリボルバー共通の仕様で、エジェクターロッドを固定するためのピンが存在しており、それが微妙に干渉してしまい上手くシリンダーが戻らない事があります。
そのため、フィクションのように手首のスナップだけでシリンダーを戻す、といった行為は行わないことを推奨します(この動作は実銃でも安全面やフレームに対する負荷などから推奨されていない動作です)。
重量はシルバーで1090g(マルシン公証)となっており、全長が短い割に重くなっています。
また、バレル側にウェイトなどの金属パーツが多く使用されていることもあり、かなりフロントヘビーになっています。
実射性能は8mmBB弾ということもあり、決してよくはありません。
ですが、そもそもマルシンの8mmBB弾を使うガスリボルバーはサバイバルゲームでの使用を目的としたようなものではないため、それほど気にならないかと思います。
このガスガンはカートリッジをシリンダーに装填し、撃ち切ったらスイングアウトして、エジェクターロッドを操作して廃莢するという、一連の動作が可能な点だけで十分な魅力があると思います。
また、8mmBB弾特有の大きな着弾音と、弾痕はガスブローバックとはまた違った「大口径らしい」迫力があります。
仕上げについては、いつものマルシンといった具合で飛びぬけて良い訳ではありませんが、目に付いて悪いという部分もありませんでした。
メッキの食いつきが少し弱めに感じる部分もありますが、メッキそのものの質感はとても綺麗です。
ただ、ところどころヒケが目立つのが難点です。
全体的な評価としては、リアルな装填動作が出来る、迫力のある8mmBB弾を撃てる点、80年代のドラマやアクション映画を彷彿とさせるようなPPCマッチ風の重量感のあるカスタムバレルなど、とても魅力的なガスガンだと思います。
80年代のドラマを見ていた方や、当時の高額なカスタムリボルバーが購入出来なかった方などにはオススメしたい一挺です。