89式小銃は1989年に64式小銃に代わり、自衛隊に正式採用されたアサルトライフル。
最大の特長は日本人の体格に合わせて基礎設計がされている点で、これにより、アサルトライフルでありながらカービンに近い取り回しが可能となっている。
東京マルイからモデルアップされているトイガンは、この実銃の特長を正確に再現している。
化粧箱はオリーブドラブ色にグレーとブラック色の文字のみで、シンプルなデザインではあるが、ミリタリーチックな雰囲気を出している。
箱を開けてみると、自衛隊で採用されている新型迷彩の梱包が目に飛び込んでくる。
実銃を運用する部隊を連想させる梱包は、以前に東京マルイからモデルアップされた、MEUピストルを思い出させる。
たかが布きれ一枚ではあるが、有ると無いのでは製品に対する期待感が全く違っただろう、素晴らしい演出である。
またBB弾も「実包89式5.56mm普通弾」と書かれたケースに入っており、凝った演出がなされている。
本体はアッパーレシーバー、ロアレシーバー共に亜鉛ダイキャスト製になっており、ズシッとした重さが非常に心地よい。
全電動ガン中最高クラスの剛性を有しており、実際に構えた時に感じる安定感は抜群だ。
レシーバーを亜鉛ダイキャスト制にすることで、マガジンハウジングの薄さがプラスチック製のレシーバーでは、再現できないほど薄くなっている。
表面の仕上げは比較的スベスベした感じで、触り心地が良い。
ただ、実銃の表面を見るとサンドブラスト処理されたような、ザラザラした印象を受ける。
ここまで忠実に再現してもらいたかったが、販売価格が跳ね上がりそうだ。
レシーバー右側にはセレクターやマガジンキャッチが配置され、マガジンキャッチはM4などと比べ小さい印象を受ける。
セレクターは右側にのみ配置されており、「ア」「レ」「3」「タ」の文字が刻印されている。
それぞれ「安全」でセフティー「連射」でフルオート「3」で3点バースト「単発」でセミオートだろうか。
日本独特の表記はあまり目にする事がなかったので、新鮮さを感じる。
レシーバー左側には「89式5.56mm小銃」の刻印がされている。
このタイプの刻印は初期タイプであり、最近のタイプには89Rの刻印があるようだ。
桜にWの自衛隊武器マークもしっかり刻印されている。
左側にも同じく「ア」「レ」「3」「タ」の文字が刻印されている。
こちらはセレクターの操作に対応してインジケーターが可動する仕組みになっており、左側にセレクターが配置されていない。
ハンドガードは左右二つのパーツで構成されており、形状は細身の三角形状になって、レシーバーに比べフロント部分が非常に細く華奢な印象を受ける。
一見細すぎる印象を受けるが、実際握ってみると手に馴染みしっくりとくる。
日本人の体格に合わせて設計されているためか、一番ホールドしやすい銃だ。
実銃は前方部が金属製でできているが、東京マルイの89式小銃はプラスチック製だ。
このハンドガード内にバッテリーを収納できるようになっている。
バッテリー収納時はハンドガードの放熱孔から、その姿を確認できるようになっており、装着の有無を瞬時に確認できる。
取り付けはハンドガード先端部分にあるロックピンを引き抜き、一方のハンドガードを前方にスライドさせて取り外す方式になっている。
また、紛失防止のため、ロックピンはストッパーが付いており、完全に抜けない設計になっている。
銃床も独特の形状で、一見なんの変哲もない形をしているが、上から見ると左側の面が窪んでいる。
これは、銃を右手で構えた時に銃床の頬に触れる場所、その部分をあらかじめ削り落とすことで、構えた時の安定感を保つためだ。
実際構えてみるとその違いに驚きを隠せない。
こんなところにまでよく考えられていると感心してしまう。
銃床の後部にはゴム製のバットプレートが装着され、これにより銃自体、また床などが傷つくこともない。
東京マルイの89式小銃は、このバットプレート部分を引っ張り回転させることで、銃床内に予備のバッテリーなどを収納できるようになっている。
実銃には無い電動ガンならではのアイディアで、この機能はゲームなどでは地味にありがたい機能だ。
スリングを装着するスイベルも標準装備されている点も嬉しい。グリップの形状は電動ガンの最も重要なポイントである。
電動ガンの場合、モーターを収納する関係上、どうしても実銃に比べ太めになりがちだ。
東京マルイの89式小銃は、実銃に近い握り心地を極限まで再現しており、実銃と比べても非常に良くできている。
グリップ底部の蓋の形状まで、リアルに再現されている。
フロントサイト、リアサイトの形状は他のライフルと比べると独特の雰囲気を放っている。
フロントサイト部分は複雑な形状をしているが、亜鉛ダイキャスト製なので剛性は抜群だ。
リアサイトは実銃と比べ形状は非常によく再現されているが、ダイヤルの文字やメモリのホワイトが刻印されていない。
サイトの調整はスムーズに行えるが、銃全体の再現度と比べると、やや見劣りする場所である。
些細な点ではあるが最も目に入る部分であるサイトの刻印は是非欲しかった。
89式小銃にはバイポッドが装備されているが、東京マルイの89式小銃も実銃同様に再現されている。
バイポットはアウターバレルにクリップ方式で着脱が可能で、ロックレバーにより固定が可能だ。
バイポッドを折りたたむとハンドガード部分に足が当たるが、ハンドガードに窪みがあり安定した状態で収まりガタつくことはない。
バイポッドを装着するとフロント部分の重さ増し、銃を持った感覚が一変する。
バイポッド自体の重さはさほどでもないが、ゲームでの仕様には必要性を感じなかった。
しかしバイポッドを装着するのとしないのでは、見た目の印象がかなり違うので鑑賞時には常に装着したい。
バイポッドを装着するアウターバレルは、アルミ製で軽く剛性も高くガタつきもなく抜群の安定性だ。
バレル根本の銃剣付けも忠実に再現されている。
マガジンの形状はM16系統の共通マガジンに形状はほぼ同じだが、89式小銃のほうが若干長くなっている独自のものだ。
マガジンの脇に開けられた穴から、残弾を確認できるようになっている。
電動ガンには不要な機能だが、チラリと除くダミーカートがリアルさを際立たせている。
また、BB弾を送り出すマガジンフォロアーが長く飛び出す仕組みになっているので、チャンバー内まで確実にBB弾が押し上げられる。
最後までBB弾が撃ち切れるのはありがたい。
実射での可動も非常に良好で、使用したのは東京マルイ制AKバッテリー、セミオート、フルオート共に良好。
以外だったのが3点バーストで、初めはあまり期待していなかったが、きっちり3発ずつ快調に発射される。
少し気になったのはセレクターで、89式小銃ではセフティー、フルオート、3点バースト、セミオート、の順で切り替えるが、セフティーからセミオートに直接切り替えできないので慣れが必要だ。
またセレクターは右側にのみ付いているので、M4系の操作に慣れている場合は注意が必要だ。
しかし総合評価としては非常に素晴らしい出来だと感じる。
日本人に合わせて設計されたライフルというだけあって、安定感は抜群で、さらに、亜鉛ダイキャスト制のレシーバーがリアル感を演出し、構えた時の重量感を実現している。
M4などに比べカスタムする要素は少ないが、ゲームでのメインアームやコレクションにもおすすめ出来る一品だ。