わが日本の航空自衛隊が、現在保有している戦闘機、そして将来保有するであろう戦闘機についてご紹介します。
現役の主力戦闘機 F15J
まずは現在、航空自衛隊の主力戦闘機となっているF15Jイーグルについて。
もともとアメリカ軍のF15C/D戦闘機があり、これを日本用に三菱重工業がライセンス生産したものが、日本仕様のF15Jです。
この機体は離陸する際に点火するアフターバーナーが凄まじい勢いで燃え上がります。離陸後は、機体の機首をあげて、地上から45度の角度で上昇するのが特徴です。
90年代最強の戦闘機として、申し分のない戦闘能力を誇る戦闘機と言え、アメリカが輸出した国は、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イスラエル、日本の4カ国がありますが、なかでも保有数の一番多いのが日本航空自衛隊の213機であり、現代の日本の空を守る戦闘機として今日も活躍しています。
また、F15の機体の優れたところは、幅広い改修が可能な構造になっているという点で、電子戦システムの取り入れ等日本独自の近代化改修がなされているのです。
F-15Jの主な装備は、AIM-9Lサイドワインダー・赤外線誘導対空ミサイル、AAM-3・90式対空誘導弾、AIM-7F/Mスパロー・セミアクティブレーダー誘導対空ミサイル、爆弾、20㎜バルカン砲等。
また、第一線で活躍する戦闘機のため、現在でもミサイルの改良には力をいれています。
ちなみに速度はマッハ2.5、時速ですと2700キロになり、大変速い戦闘機です。
欠点はそのコストで、F15は1機だけで100億円かかるとされ、維持に膨大な経費がかかります。
このように高性能ながらコストも非常に高い戦闘機なのですが、アメリカF15C/Dの技術すべてがF15Jに受け継がれているわけではなく、実際にはアメリカ軍のF15Cより性能は10年か20年は劣っていると批判されているのです。しかしこの点は、日本側の技術による改造で、徐々に改善していくと思われます。
ベテラン戦闘機 F-4EJ改
このほか、航空自衛隊が保有するアメリカ製の現役戦闘機は、現ボーイング社が開発したF4EJ改です。
この戦闘機は、アメリカ海軍の初となる全天候型双発艦上戦闘機として開発が行われ、巨大な翼と強い双発ジェットエンジンが装備された機体の戦闘機で、愛称は、「ファントム(幽霊)」。
ベトナム戦争で大活躍した米海軍の戦闘機として、世界各国の賞賛を受けています。
日本をはじめイスラエル、エジプト、イラン、トルコ、ギリシャ、スペイン、イギリス、オーストラリア、西ドイツ、韓国の11カ国に輸出された、これまでにないベストセラー機であるといえましょう。
1966年には日本航空自衛隊が輸入を決め、F4EJとして日本に配備されました。1981年の生産終了に至るまで、日本が輸入した総数は、154機です。
F15Jが輸入されるにしたがってF4EJは段階的に数を減らしていますが、1989年に延命、能力向上の改修を受けた90機が、現在F4EJ改として活躍しており、また、この90機以外にも、近代化対象外となる15機を、RF-4EJ偵察飛行機として運用されています。
主な装備は、空対空レーダーミサイル4発、空対空赤外線ミサイル4発、M61A1・20㎜機関砲で、最大速度はマッハ2.23、キロですと2370キロです。
F4EJ戦闘機は、まじかで見ると、とても巨大で、エンジンが二つあり、まさに80年代を代表する機体として、哀愁が感じられる機体でもあります。
現在は、徐々に運用の数を減らしている状態ですが、F15戦闘機の配備以前の日本の空をしっかりと守る、航空自衛隊の主力戦闘機として歴史に名を遺し、今なお現役で活躍しているベテランです。
日米共同開発の戦闘機 F2
そして、日本が独自開発した戦闘機、F1の後継機として開発されたのが、F2航空機。
日本の技術を使い、世界で初めて戦闘機に炭素繊維強化複合材を使い、戦闘機の主翼を一体構造にすることに成功した機体です。愛称は、平成の零戦、バイパーゼロ等。バイパーとは、F16戦闘機の愛称のことで、バイパーとゼロ戦をかけているといわれています。
このF2はアメリカの戦闘機、ロッキードマーチン社のF16をベースにして作られました。戦闘能力が空対空戦闘だけでなく、爆撃が可能であるため、マルチロール機であるといえ、戦闘機としては世界最高の性能を持っているとされており、特に対艦攻撃と対空攻撃の両面で評価されているのです。
F2の主要装備は、J/LAU-3ロケット弾ポッド、LR-4ロケット弾ポッド、短射程空対空ミサイルAIM-9Lと90式空対空誘導弾AAM-3、中射程空対空ミサイルAIM-7F/Mと99式空対空誘導弾AAM-4。
また艦船への攻撃としては、空対艦ミサイル80式空対艦誘導弾ASM-1と93式空対艦誘導弾ASM-2、爆弾、JM61A1・20㎜バルカン砲を備えています。
最大速度は、マッハ2.0、キロですと2450キロです。
世界初となるアクティブフェーズドアレイレーダーの搭載、デジタル式のフライ・バイ・ワイヤFBWを制御飛行に用いるなど、日本の科学技術をふんだんに投入したハイテク戦闘機であるといって差し支えないでしょう。
また、日本とアメリカの共同開発とはいえ、アメリカが生産を担当したのは尾翼のみのため、機体の多くの部分には国産技術が使われているのです。
現在94機が配備されており、多くのスクランブル発進に対応し、日夜日本の空をしっかりと守っています。
空と地上、両方を攻撃できる戦闘機として、今後も大活躍してもらいたいです。
次期戦闘機について
次に、今後航空自衛隊に配備されるであろう戦闘機を書いていきます。
アメリカや、ロシア、中国といった大国が、次々とレーダーの感知しないステルス戦闘機を開発、運用するにつれ、日本もステルス戦闘機を配備する必要性が出てきたので、日本はアメリカのロッキードマーチン社が中心となり、開発が続いている統合打撃戦闘機、F35を次期主力戦闘機とすることを決めました。
ステルス戦闘機であるため、ミサイルや爆弾は、胴体内兵器倉の中に搭載します。
そのおかげで、無駄な突起物がなくなり、同じステルス戦闘機であるアメリカ空軍のF22のような形で、愛称は、ライトニングⅡと言い、これは第二次大戦で活躍した戦闘機、P-38ライトニングにちなむといわれています。
しかし、大幅な開発の遅れ、そして31兆円に膨らむ開発費のため、今後の調達はスムーズにいかないのではと懸念されているのが現状です。
また、日本が独自に開発を進めている国産戦闘機第三弾として、ステルス性能を持った戦闘機、先進技術実証機ATD-Xがあります。日本独自のステルス戦闘機として、大変期待が持たれており、愛称は「心神(しんしん)」です。
現在運用中のF2戦闘機が、アメリカとの共同開発になってしまったため、純国産の新世代戦闘機の開発は日本の悲願ともいえます。
このATD-Xは2014年に三菱重工からロールアウトされ、報道陣に姿を現しました。このニュースをご覧になった方も多いかと思います。
しかし、ATD-Xは単に技術研究のための機体であり、最終的な目標はi3FIGHTER、F3の開発なのです。
何はともあれ、純国産の戦闘機を造ることは、日本の飛行機技術を高めるために大切なことと言えます。
国防と技術革新の両面を同時に実現する、素晴らしい戦闘機が日本の空に舞う日を楽しみにしましょう。