近年、FPSなどのミリタリーゲームの発達によって、画面の中で、銃を見る機会が増えたように思います。
しかし、そういうところで見かける銃たちは、色々なカテゴリーに分けられていて、なんだかよくわからない、というのは、ミリタリー初心者ではよくある話です。
そこで、今回は歩兵が持っている主な銃器のカテゴリーを、初心者向けにまとめてみました。
拳銃
映画やドラマなどでは一番登場機会が多く、見慣れているだろう装備が拳銃で、「ハンドガン」、「ピストル」、などとも言い、軽量で扱いやすく、小さいので隠しやすいのがメリットです。
100年以上の歴史を持つ「コルト ガバメント」や、イタリア製の「ベレッタ M92」などが、米軍で使われており、特に有名かと思います。
現実の戦場では、拳銃はあくまでサブアーム(予備の武器)に過ぎず、威力も、ライフルや機関銃などと比べてはるかに低く、連射もできません。
ただし、狭い屋内などでは、その小ささ生かし活躍することもあるようです。
また、その威力の低さを補おうと、連射性能を上げた拳銃も、少数ですが存在します。
それらは、「機関拳銃」、または「マシン・ピストル」などと呼ばれ、フルオート射撃(引き金を引いている限り、連射し続ける機能)や、3点バースト射撃(一回引き金を引くと、3発連射される機能)が可能です。
有名なものでは、オーストリアの「グロック18」(フルオート射撃が可能)や、ベレッタ M92を改造し、3点バースト射撃を可能にした「ベレッタ R93」などがあります。
短機関銃
短機関銃は、またの名を「サブ・マシンガン」といい、拳銃用の銃弾を連射できる、小型のマシンガンのことを言います。
こちらも、そのサイズから映画やアニメ御用達の装備で、拳銃と同様、小さく、軽いことが利点で、室内戦などの狭い場所で活躍します。
また、その軽さから、歩兵以外にも、ヘリや戦車、飛行機の搭乗員などの護身用に装備しています。
基本的には、「大量の弾を連射して、相手をけん制する」といった使い方をするため、命中精度が低いものが多いです。
しかし最近は、ドイツのH&K社製の「MP5」シリーズのように、人質がいるような状況での正確な射撃ができるように、極めて高い命中率を持つものが増えてきています。
また、最近は「PDW(パーソナル・ディフェンス・ウェポン)」という、護身用に特化した新しいカテゴリーの銃も登場しています。
これは、拳銃弾とは別の、貫通力を重視した専用の弾丸を連射する銃器のことです。
現在では、ベルギーのFN社の「P90」、H&K社の「MP7」などがPDWとされていますが、短機関銃に含む場合も多く、そこまで両社を明確に区別できるものでもありません。
突撃銃
アサルトライフル、とも言い、現代戦における、歩兵の主兵装です。
アメリカの「M16」や「M4」シリーズ、ロシアの「AK」シリーズなどは、銃に詳しくない人でも、名前ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
これ以外にも、ドイツの「G3」シリーズや、オーストリアのステアー社製「AUG」、FN社の「F2000」や、フランスの「FAMAS」など、種類も大変多いです。
長い銃身を持ち、比較的小さい弾丸をセミオート(単発射撃のこと)、または連射する銃です。
ライフル弾は、細長く、速度も速いことから命中率や貫通力に優れ、射程も500メートルほどと、比較的長いです。
西側諸国では、5.56ミリ弾が標準的な弾薬とされ、ただし、長い銃身が室内戦などで不利になる場合もあることから、銃身を切り詰めた「カービン」と呼ばれる短いアサルトライフルも存在します。
例えば、現在米軍で使われている「M4」は、同じく米軍のアサルトライフル、「M16」の銃身を短くして改良した、「カービンモデル」です。
また、攻撃力や射程のさらなる向上を求めて、7.62ミリ弾などを使うものを、特に「バトルライフル」などと別の呼び方をすることもあります。
ただし、バトルライフルは弾も銃自体も大きくなってしまうので、一人あたりで持ち歩ける弾薬の数が減ったり、反動が強くて、フルオート射撃に向かなかったり、狭い場所では扱いにくかったりといった欠点もあります。
FN社製の「SCAR H」や、アメリカの旧式ライフル「M14」シリーズ、FN社の「FAL」などが、バトルライフルの筆頭です。
狙撃銃
「スナイパーライフル」ともいい、名前の通り、狙撃に特化した銃で、大体は、アサルトライフルよりも大きな弾を使う、単発射撃専門のライフルであることが多いです。
高い命中精度と貫通力が特徴ですが、単射が基本なので瞬間火力に乏しく、また命中精度を極限まで追求した結果、全体に高価で、デリケートになりがちなため、使いこなすには高い技術が必要です。
動作方式によって、命中精度が高い代わりに、一発ごとに弾を込めないといけないボルトアクション式と、連射はできるが命中精度が落ちるセミオート式とに大別されます。
前者はアメリカのレミントン社が作った「M700」、後者はH&K社の作った「PSG-1」や、その廉価モデルである「MSG90」などが、その代表です。
また、スナイパーライフルの中でも、特に戦車やヘリなどに対抗することを視野に入れた、大型のものを「対物狙撃銃」、または「アンチマテリアル・ライフル」と呼ぶことがあります。
主に、重機関銃用の12.7ミリ弾を用い、ちょっとした壁や、風防ガラスなら貫通できるほどの威力があります。
ただし、極めて大型で、中には一人で扱うことが難しいものもあります。
代表的なものは、アメリカのバレット社が開発した「M82」や「M500」があります。
機関銃
「マシンガン」とも呼ばれ、ライフル弾を連射することを前提に作られた銃のことです。
人で持ち運びが可能なものを「軽機関銃」又は「ライト・マシンガン」と呼び、複数人で扱うことを前提とするものを指して、単に「機関銃」、又は「重機関銃」「ヘビー・マシンガン」などと呼びます。
また、軽機関銃の場合は、分隊(大体10人くらいの部隊)に一つ装備して、分隊の火力の中心にするように使うことから、特別に「分隊支援機関銃」という呼び方をすることがあります。
前者は、米軍や自衛隊などでも使われているFN社製の「ミニミ」が、後者は、1900年代初頭から使われ続けているブローニング社製の「M2」などが有名です。
基本的には、とにかく連射して相手の動きを封じるために使われ、また、重機関銃は、ヘリや車に搭載して使われることも多いです。
散弾銃
別名、「ショットガン」、名前の通り、散弾(複数の弾丸を一つのケースにまとめて入れた弾のこと)を使う銃で、狩猟用に使われることが多いです。
しかし、第一次世界大戦以降、近距離での威力の高さが注目され、室内戦などの、必然的に近距離戦になる状況などで使われるようになりました。
散弾は、一回の射撃で小さな弾丸を複数発射することから、近距離で大きな威力を発揮しますが、射程は極めて短く、精密な射撃もできません。
現代では、木製ドアなどのカギ部分や蝶番を撃って吹き飛ばすのに使われることから、「マスターキー」なんてあだ名が付けられています。
有名どころでは、レミントン社の「M870」や、イタリア、ベネリ社の「ベネリM4」などです。
その他 ミサイルやロケットなど
戦車やヘリ、装甲車などは、歩兵にとっては「天敵」です。
そこで、そうした兵器とも戦えるように、一人で扱えるロケットやミサイルを使うことがあります。
ロシア製の対戦車ロケット「RPG-7」や、アメリカ製の対戦車ミサイル「ジャベリン」、同じくアメリカ製の対空ミサイル「スティンガー」などが、これに当たります。
どれも威力は高いですが、大きく、重いために持ち運べる数が少なく、また専門の訓練を受けた兵士でないと扱えません。
現代の歩兵の装備は、この7つの分類が基本となると思います。
ただし、時代の変化によって消えていくカテゴリーや、逆に新しく生まれてくるカテゴリーもあり、必ずしも、この7つに当てはまらないものもあります。
歩兵の銃器は、種類も多く、それぞれに様々なドラマが隠れています。
こうした分類を手がかりに、いろいろな銃に隠されたドラマを探っていくのも、面白いのではないでしょうか。