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徹甲弾とは

2015年1月27日 オナジマイマイ ミリタリー雑学

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銃にしても、砲にしても、火薬の爆発で弾頭を飛ばして対象に当てる、というのは共通です。

しかし、対象が人体なのか、装甲目標なのかに合わせて、飛ばす弾頭には大きな違いが生じていきました。

装甲目標を撃破する方法はいくつかありますが、その一つがそのままズバリ装甲を貫通して、内部に弾頭を到達させる方法であり、それを主眼にした弾種が徹甲弾です。

この徹甲弾が最初に登場するのは、装甲というもの自体が出現した時期とほぼ同一で、クリミア戦争にて最初の鋼鉄装甲を施した戦闘艦(甲鉄艦と呼ばれます)が登場した直後から、それを打倒するための砲弾開発がスタートしたと考えられます。

砲弾の貫通痕

初期の徹甲弾

初期の徹甲弾は、「装甲より硬く重い砲弾を、高速でぶつけてやれば良く、尖っていればなお良い」という考えで、鋼鉄製の単一素材弾頭が作られました。

徹甲弾の中で区分をする場合、こうした単純構造の鋼鉄製の徹甲弾を「AP弾」と呼びます。

しかし、この単純構造の徹甲弾では、段々と貫通力の不足が起きてきます。

By: Chris

材料技術の進歩は、艦船・戦車装甲の加工方法にも進歩をもたらしました。

装甲はより分厚く、かつ、表面のみの焼入れ・浸炭による表面硬化処理が行われるようになります。

高い硬度の鋼鉄同士が正面からぶつかった場合、接触した瞬間の衝撃が吸収されません

靭性が低い高硬度鋼鉄は、この衝撃で割れてしまい、弾頭の場合はそこで貫徹力を失ってしまいます。

また、角度がついて着弾した場合には、割れないものの硬いもの同士なので滑って跳弾してしまうという事も増加しました。

被帽付徹甲弾

これに対応するため、次に登場するのが「被帽付徹甲弾」(APC弾)です。

これは、鋼鉄の弾体先端に、より柔らかい金属のキャップを装着した物で、着弾時に柔らかい金属部分が衝撃を吸収しつつ、変形して装甲表面に食いつき、弾体の破砕と跳弾を防ぎます。

後にこの弾種は、空気抵抗を減らして貫通力の距離減衰を軽減する目的で、尖った軽金属キャップを装着した「低抵抗帽子付徹甲弾」(APBC弾)と合流して、「低抵抗被帽付徹甲弾」(APCBC弾)となり、ひとつの完成を見ます。

このタイプの徹甲弾は、メインとなる弾体が極一般的な素材である鋼鉄製なのでコストが安く、広く使われ続けます。

ただ、表面硬化処理に対抗して食いつきを良くしたものの、根本的な貫徹力は初期の徹甲弾から、そう大きく進歩した訳では無いので、重装甲には力不足がはっきりと現れてきます。

それでも装甲車など軽装甲の目標には十分でしたし、何よりコストが安いのでお役御免になる事は有りませんでした。

装甲貫通能力を増した、硬芯徹甲弾

さて、砲弾の装甲貫通能力は、同じ砲で撃ち出されたなら弾体が重くなるほど、また、弾体の径が小さいほど増します。

要するに、重い金属で細長い弾体を作ってやれば、貫通力が増す訳です。

しかし一方で、あまり径を小さくすると、砲で与えられるエネルギーの割に弾体重量が大きくなり過ぎて、初速が低下するという問題が発生します。

また、縦方向の長さが伸びすぎると、飛翔が不安定になると言う問題もありました。

これに対して一つの回答として開発され実用化するのが、「硬芯徹甲弾」(APCR弾)です。

これは、タングステン等の硬く比重高い金属で作った弾芯を、軽金属合金で覆って弾体としたもので、弾体全体では先に述べたAP弾やAPCBC弾に比べて軽い物となっています。

このためこの硬芯徹甲弾は、射出時に高い初速を獲得して飛翔を開始します。

そして、対象に命中すると外側の軽金属部分が潰れて表面に留まり、タングステンの弾芯だけが装甲内部に侵徹していきます。

軽金属の鞘を付けてやることで、重く細い高硬度弾芯を高い初速で飛ばす事に成功したこの硬芯徹甲弾は高い装甲貫通力を発揮し、重装甲目標への攻撃手段として広く用いられます。

ちなみに、最初に開発したのはドイツで、後にアメリカも同様の物を実用化して、こちらは「高速徹甲弾」(HVAP弾)High Velocity Armor Piercingと呼ばれます。

ただし、この硬芯徹甲弾にも欠点がいくつか存在しました。

その最たるものが、「飛翔速度の距離減衰が大きい」というものです。

全体として比重が軽いため、空気抵抗による速度減衰がどうしても大きくなりました。

砲弾の装甲貫通能力は、砲弾の運動エネルギーすなわち質量と速度の二乗の積に比例するため、速度が低下すると貫通能力も急激に低下します。

また、速度低下が大きいという事は、飛翔軌道も急激に変化するということであり、硬芯徹甲弾は遠距離での精度が急激に悪化しました。

こうした理由から、硬芯徹甲弾は遠距離でイマイチ信頼出来ない徹甲弾と成らざるを得ませんでした。

装弾筒付徹甲弾の登場

さて、遠距離でイマイチの硬芯徹甲弾でしたが、やはりその改良版が登場します。

硬芯徹甲弾の問題点は、初速を稼ぐために付けた軽金属カバーが、飛翔中は無駄な空気抵抗を生んでしまうという点でした。

だったら、発射時だけカバーを付けて、飛翔始まったらカバーを捨ててしまえと考えて作られたのが「装弾筒付徹甲弾」(APDS弾)です。

この砲弾、侵徹体となる重金属(タングステンなど)弾体に、軽金属の装弾筒(サボ)が装着された構造の砲弾で、装填時から発射までは一体化したままなのですが、飛翔開始後すぐに空気抵抗と振動により装弾筒が脱落、重金属の侵徹体だけが飛んでいき、目標に着弾します。

発射時の炸薬エネルギーは砲弾全体で受けていますので高初速が出て、無駄な空気抵抗の原因となる部分はすぐに捨てる。

これにより、重く硬い侵徹体を高速を保ったまま飛ばすことができ、近距離はもとより遠距離でもある程度安定して高い貫通力を得ることができるようになりました。

このAPDS弾が最初に登場したのは第二次世界大戦中のイギリスで、17ポンド対戦車砲に使われたのが初の実戦でした。

カタログスペック上は1kmの距離から240mmの装甲を貫徹、実戦でも910mから190mmを貫徹可能であったということですから、当時の戦車などの装甲はほぼすべて貫通可能でした。

最も、それは装甲に対して垂直に着弾した場合の話で、高硬度のタングステンには傾斜装甲表面を滑って跳弾してしまう問題もつきものでした。

また、更に貫通力を上げようと弾体を細長くすると、却って飛翔が安定しなくなるという問題も解決しないまま残ります。

加えて、装弾筒の脱落が両側均等にならず、弾道に影響を及ぼして命中精度を下げるという問題も起きていたようです。

徹甲弾の最終形

さて、2つのルートで発展してきた徹甲弾技術が集約され、最終的に一つの徹甲弾として結実するのが「装弾筒付翼安定徹甲弾」(APFSDS弾)です。

このAPFSDS弾の基本構造は、APDS弾によく似ています。

まず、非常に細長い(細長さを表すL/D比がAPDS弾の3倍以上)重金属の侵徹体が、空気抵抗で脱落する装弾筒に挟まれた構造というところまでは共通しています。

違うのが、侵徹体の尾部に「安定翼」が設置されているという点、そして、侵徹体頭部に軽金属の風防が付いているという点です。

APDS弾までは、砲弾を安定飛翔させるためにライフリングによる螺旋回転が用いられてきました。(ジャイロ効果)

しかし、このライフリングに因る回転は、砲弾に与えられるべき運動エネルギーを一部ロスして生み出されるものであるため若干ですが砲弾初速の低下を招きます。

これに対しAPFSDS弾では、侵徹体の直進安定性のために空力的な力を用いることで、速度のロスを抑えています。

むしろ、有翼のAPFSDSをライフル砲で発射すると飛翔が不安定になります。
(現在は回転を緩やかにする仕組みが有り、一応ライフル砲でも使用可能です)

こうして超高速の初速を獲得して撃ちだされた砲弾からは、まず装弾筒が分離して侵徹体のみとなります。

非常に細身で空気抵抗を抑える風防を装着された侵徹体は、速度低下を極力抑えたまま目標に向かって飛翔、着弾します。

着弾時に軽金属の風防は潰れながら衝撃を吸収し、侵徹体の破砕を防ぎ、装甲に食いつくことで跳弾の可能性を減らします。

そして、1500m/sec前後という恐ろしく高い速度でぶつかり合った侵徹体と装甲は、お互いに流体化して溶け合います。

そうやって先端を溶かしながら装甲に穴を開けて進み、侵徹体がすべて溶けきる前、若しくは必要な速度を失う前に装甲を通り抜ければ貫通というわけです。

このAPFSDS弾にも横風を受けやすいなどの弱点はありますが、それまでの徹甲弾技術の集大成として完成されており、現在は世界中の軍で対装甲目標の砲弾として広く使われています。

貫通痕

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