戦争に至るまでの流れは、一般的に19世紀頃の戦争のイメージが強いようで、外交や紛争の解決方法として戦争が始めるに当たって、どちらかが宣戦布告をし、戦争始まると考えられているようです。
しかし、現代ではそのような形ではなく、実は国際法では宣戦布告は不要で、国家の安全や「国際社会の平和と秩序への脅威」に対して、戦時国際法が適用されるとなっています。
また、戦争を終結する際は、どちらかが声明発表で降伏を発表するか、第三国を通しての降伏通知のどちらかをきっかけに休戦条約が結ばれる流れが一般的なようです。
当然、条約をむすぶ場合は、利益が大きいほうが勝利者の扱いとなります。
結果を通して自国に有利な条件となっていれば、戦時中の戦闘の結果がいくら分が悪かろうとも国としては負けではなく、勝利者と言うことになります。
よく賠償金の話も出てきますが、過去の教訓から現在では行われていません。
理由は様々ですが、敗者側の国に恨みを買い、戦後賠償が終わっても、精神的に落ち着くまで、外交どころか個人の交流さえもなくなり、ひどい場合は再度、戦争状態になる可能性があるからです。
もうひとつは、戦争後の疲弊した状態で、敗戦国が賠償したら、国としての状態が不安になり、国家として成立しなくなる可能性があるからです。
与えた損害に対して賠償払うということはありますが、敗戦国側も、無い袖は振れませんので、最終的に外交交渉によって可能な範囲で、お互いの落とし所を見つける形となっているようです。
第一次世界大戦後のドイツが、実際に多額の賠償金を支払ったことがあり、ドイツ国内は大混乱となりました。
物価の急上昇、領土が減り、自国内の工場を支配され、過酷な状況に追い詰められた上、タイミング悪く世界恐慌となり、その果てに第2次世界大戦となった背景があるため、戦勝国側が過剰な金銭を求めるような行為はその後行われていません。
現代に於いて、戦争にかかるコストは非常に高くつくことが知られています。
テクノロジーの発達により、リサーチ能力やミサイルや、戦艦での性能が上がっている為、弾丸一つでも非常にコストが高く、国家が軍隊を維持、運営するにも、多額の税金が必要となります。
多くの軍備を備えた軍隊自体が、何ら生産的な活動をするわけでもなく、もし戦闘に勝って領土を占拠しても、すぐに利益が得られるわけでもないため、経済的に見ると効率が非常に悪く、一部の資源国を除けば、侵略戦争を起こしてもペイするとは考えにくいです。
また、扱う兵器の技術発達により複雑化し、兵士の訓練時間が多くなっているのも、軍隊の維持コストに大きく影響、小隊が活動するにあたって、人数の確保も重要ですが、さらに作戦に耐えられる体力作りと達成できる能力の育成、そして経験を積ませる必要があります。
地図上では地形は平面ですが、実際では高低差もありますし、気温も変化しますので、活動に合わせて人数を振り分け、最適に活動できるように準備しています。
また、実際の戦争中に部隊が移動する場合、地図上の道を見ながら、基本的には道路が整備されている場所を進みます。道路網が整備されていなければ、交通の便が悪く、拠点として利用する事ができないからです。
何も考えずに最短距離を進もうと、まっすぐ行くと川や山に崖もありますし、天候が変われば地面が歩きづらいというところも起きます。
こういった所を移動や拠点を作ってしまうと、戦闘前に動けるように準備が必要な状態となってしまうために、動きやすい道を通るというの戦争において鉄則となります。
こういったルートを使わない場合は主に、少数の戦闘部隊のみで相手を攻める際の補給や拠点といった場合や、相手の虚を狙って作戦を行う場合などですが、実際多くの問題があり困難を極めます。
何日も作戦行動をする場合、弾丸や食料以外にも、兵器の整備部品やその地域の地図、拠点に必要な建築資材といった物まで、軍隊にとって資材の供給が必要不可欠で、1個師団規模となると平均で1万~3万人の兵隊が移動しますので、1日にかかる消費量は非常に多く、街が出来上がるほどの資材を必要です。
また、戦闘で勝つためにズルをしたくなるところですが、厳密なルールが国際法で定められ、このルールは非常に厳しく、市民や無抵抗の相手への攻撃防止や、混乱して同士討ち被害を減らすためなど、国際法は徹底されています。
例えば国家の正規軍が、敵兵の格好をして騙すなどはもってのほかで、軍隊のルールとして敵と見方を区別できるようにすることが、戦争においての決まりです。
鹵獲(ろかく)の場合は利用はしても問題無いですが、必ず自国の物をわかるようにすることにするのが絶対的な決まりです。
(鹵獲:戦場で敵の物品や装備、などの物資を奪うこと。)
戦闘中は緊張しており、その状態で敵味方の区別がつかなくなるという問題があるからです。
実際戦闘中での同士討ちというのも少なくない状態で、同士討ちで傷を受けたのはアメリカ軍のあるレポートでは、同士討ちは2割近く発生しており、467人の中で72人という数字もあります。
味方の被害を守るためにも、敵兵の格好をして騙すなど騙し打ち作戦をすること無く、正々堂々と戦うことが必要になってきます。
違反してしまうと、戦争終了後に国としての信頼は崩れ去りますし、信用を得るだけでも非常に困難な道のりとなり、必然的に国内の経済状況に悪影響を及ぼすことは間違いありません。
こうしたように現代において国同士の戦闘は、戦闘員一人を見ても、技術者と呼んでも問題ないほどで、兵器や作戦内容をしっかりと行えるように訓練されており、一人分の資源を用意するとしても数十万のコストがかかっています。
これが戦争となる1万2万ではなく数十万の人員に兵器が必要となりますので、基本的には戦争や戦闘にはメリットがほとんどなく、終了後の国同士の話し合いや国内の安定を図る必要が出てきます。
勝てるという見通しや、戦闘を迫られる場面であればしょうがないこともありますが、現代では話し合いを続け、お互いに消費と消耗しかしない戦争は可能な限り避けるべく、お互いの妥協点を見つけるというのが一般的です。