銃器に詳しくない人でも、ワルサーP38やワルサーPPKの名前は聞いたことがあるかもしれません。
P38、PPKともに有名な映像作品で使用されているため、話題になりやすいからです。
最も有名だと思われる出典として前者はルパン三世が、後者は007のジェームズ・ボンドが挙げられるのではないでしょうか。
しかし、今回私がレビューするのは、これらの銃を生産しているドイツのワルサー社の比較的新しい銃であるP99。及びそのトイガンであるマルゼン社WALTHER P99 tacticalⅡ LIMITED EDITIONです。
WALTHER P99とは
P99は、ドイツのワルサー社が1996年に開発した銃で、同社の製品としてはP38以降、久しぶりのヒット作となりました。
同じカテゴリーの銃は既に他社でも販売されており、当初はドイツ国内でも他社の生産する銃にシェアを取られていましたが、結果的にはドイツの一部の警察署や、税関本部実行部隊、ポーランドの軍や国家警察などでP99は採用されています。
WALTHER P99は従来の製品とはイメージの異なるデザインを採用し、様々なアイディアが投入されており、最も大きな変更点は、ポリマーフレームの採用でしょう。
ポリマーフレームは短時間に大量の成型が可能であり、大量生産に向いていて、金属を使った従来のフレームよりは耐久性に劣りますが、フレームの大型化により強度は確保されています。
グリップパネルも一体成型されるため使用者毎の手の大きさの違いに対応する事は難しくなってしまいましたが、このP99はグリップ後部のバックストラップと呼ばれる部分を交換できることで問題を解決しています。
P99はハンマーレス型の銃であり、発射可能であるかどうかはスライド後部にストライカーの一部が露出しているかで判断します。
また、マガジンリリースボタンはアンビ化されているなど、実に色々な機構が組み込まれた銃であることがわかります。
マルゼン WALTHER P99について
トイガンの話に移りましょう。
このセットは、マルゼン社から2003年7月に発売されたブローバックガスガンで、銃本体とマガジン一本、タクティカルマウントベース、タクティカルライトMT-1、アルミ製サイレンサーが付属しています。
タクティカルマウントベースを取り付けると、付属のライトや別売りのアタッチメントを取り付けることができ、ライトにはリチウム電池2本を使用します(電池別売)。
アルミサイレンサーは、アウターバレル前方にネジが切られているので、そのままねじ込んで使用します。
また、それぞれにはワルサー社のロゴがホワイトで刻印されており、全長は180mmで、実銃と同じとなっています。
フレームは、本物と同じポリマー素材で作られているため、質感はバッチリです。
銃本体の左側面を見てみると、まず目につくのがスライド前方にあるワルサー社のロゴマークとP99の刻印。
スライド中央部には排莢口があり、メタルアウターバレルがのぞいており、さらに後方へ目を移すと、少々大きなデコッキングボタンがついています。
フレームの中央部、トリガーの真上にはセーフティボタンがあり、右側面から押し込むことでロックが掛かります。
この形のセーフティを見たのは初めてで、説明書を見ずにとりあえずいじり回す私は、少しの間セーフティが無いものと勘違いしてしまいました。
また、トリガーガードとグリップの境目付近には、左右どちらからでも使えるマガジンリリースボタンが付いています(ボタンというよりはレバー)。
右側面には、あまり目立った特徴がなく、スライド前方と、中央部から見えるアウターバレルに刻印が施されているくらいでしょうか。
前面を見ると、台形に近い形のフォルムをしており、マズルからはアウターバレルのネジ山と、インナーバレルが見えます。
背面に回るとリアサイトの下に穴が空いているのですが、コッキングするとここにストライカーの赤い後端が飛び出してくる仕組みになっています。
リアサイトからフロントサイトを覗いてみると、リアサイトの左右・フロントサイトにはホワイトドットが描かれており、感覚的に照準が合わせやすいようになっているようです。
また、リアサイトはネジによる可変式となっています。
重量は624g(実銃710g)。手に取ってみると、重さが銃全体から感じられます。
この銃は一体成型のポリマーフレームを採用しているので、他のトイガンによく見られるグリップ部分のウエイトで重量が稼げません。
その分を、マガジンとメタルアウターバレルが受け持っているようです。
握ってみると、人間工学を考慮したグリップと謳われているだけあって、手にしっくりと馴染みます。
ただ、私は指が短いので、このままではトリガーにギリギリ指が届くという有様になってしまいます。
別売りの小さなバックストラップを装着すれば、おそらく完全に手に馴染むことでしょう。
ただ残念なのは、手に持ったまま少し動かしてみると、カタカタと音がすることです。
実銃は触ったことがないので実銃でも同じような事が起こるのかはわかりません。
少なくともこのトイガンの場合、どうもメタルアウターバレルとマガジンが内部で動いているようなのです。
実射性能
では、実射をしてみましょう。
装弾数は24+1発。
リコイルショックは、いい具合。ただし、ブローバック速度は少し遅いかな・・・?
ブローバックする度に、メタルアウターバレルのおかげか、カシャンともガシャンとも取れる金属的な音が響きます。
弾道はとても素直で、左右へのブレは体感できるほどは見られません。
ガスも、一回の充填でマガジン3本分近くまで撃つことができるのはポイント高いです。
その代わり、というのは変ですが、装弾するのが妙に面倒。
マガジンフォロワーの指掛け部分は、マガジンのスリットにほぼ埋まっている状態なので、少し油断するとあっさりと戻ってしまいます。
また、スプリングロックもないので24発ものBB弾を詰めるのは少々骨が折れるところです。
付属品について
次は、付属アタッチメントを取り付けてみます。
まずは、アタッチメントを取り付けるためのマウントベース。
マウントベースは銃本体の前方、トリガーガードの先に取り付けることが出来ます。
左右対称のマウントベース部品で銃を挟み込み、付属の六角レンチでネジを閉めて取り付け完了。
付属のタクティカルライトをこのマウントベースに固定するのももちろん可能です。
そして、そのタクティカルライトMT-1ですが、これはマウントベースなしでも取り付けることが可能です。
その場合、やはり銃の前方、フレームのレール部分に専用の小さなマウントベースと一緒に取り付けます。
大型のマウントベースの場合は、スライドの上下どちらにもライトが使えますが、小型マウントベースの場合はスライド下部のみです。
最後はアルミサイレンサー。もっとも、これはねじ込むだけなので説明の必要はないですね。
フル装備の場合、全長:310mm重量:約820g(マウントベースの重さが推定のため)となり、見た目がかなりゴツくなります。
これに別売りのサイトや40連マガジンを装備すると、もはや拳銃である必要性が疑われる見た目に変化します。
それも面白そうではありますが。
通常分解もしてみます。
マガジンを抜き、セーフティロックボタンを下に引き下げます。
カチッと音がしたらスライドを前方に引き抜いてオシマイ。
とても簡単ですね。
そして改めて感じたのが、ポリマーフレームの軽さ!!
スライドとマガジンが無い状態だと、ここまで軽いとは・・・。
正確に計ったわけではないですが、持ち比べた感覚では付属のタクティカルライトとほぼ同じ、130g~150gといったところでしょう。
これで、射撃に耐えられるのだから、技術の進歩というのは恐ろしいものです。
デザインは洗練され、扱いやすいように工夫されています。
見た目のインパクトが欲しいのならば、別売りのアタッチメントをゴテゴテと付けてみるのも楽しそうです。