東京マルイ製 VSR-10 プロスナイパー(初期ロット)についてのレビューです。
最初にお断りをさせていただきますが、今回のレビューでは発売初期のロットのものについてのレビューをしています。
そのため、現在東京マルイから発売されているものとは細部が微妙に異なります。
具体的にはチャンバーの構造に一部変更が加えられていますので、その点にだけご留意いただければ幸いです。
東京マルイから発売されているVSR-10には、大きく分けて2種類のバージョンがあり、一つはリアルなリコイルを再現したリアルショックバージョン、もう一つは静音性や発射時のリコイルを小さくすることに重きを置いたプロスナイパーバージョンの2種類があります。
両者の主な違いはストックの色と発射時のリコイル、発射音などがあります。
なお、今回は、プロスナイパーバージョンのほうのレビューになります。
そもそも実銃にはVSR-10というボルトアクションのライフルは存在しません、この名称については東京マルイのオリジナルのものであり、このエアガン自体はあくまで架空のモデルとなっています。
しかし外見などはボルトアクションのレミントンM700やM24などのレプリカをイメージさせる、極々一般的なボルトアクションスナイパーライフルとなっています。
外見に大きな特徴はなく、非常に普通のボルトアクションと言ったところですが、中身はさすがの東京マルイ製といった印象を受けました。
まず、実際に持って思うことが「軽い」ことです。
片手でも十分に保持出来るほど軽いです(実際にはサバイバルゲームでもそういった使い方をするものではありませんが)。
そして、コッキングしてみると異常なほど軽いです。
本エアガンは18歳以上用のものですが、コッキングの軽さが10歳以上用かと錯覚してしまうほど軽く、非常に驚かされました。
またコッキングはただ軽いだけではなく非常にスムーズに行えます。
箱出し状態でここまで軽く、スムーズなコッキングが出来る18歳以上用のエアガンはかなり少ないかと思います。
非常に軽いコッキングを実現出来た最大の理由は、レシーバー内に存在する2本のシリンダーサポートリングが、レシーバーとシリンダーが直接触れることを防いでいるからみたいです。
実際にシリンダーを抜くと、白いリング状のものが2本見えていて、シリンダーをレシーバーに触れない位置で保持しているようです。
トリガーもトリガープル、トリガーストロークの調整が可能です。
調整自体は一度、ストックからレシーバーとバレル部分を分解して、付属している六角レンチで調整するため、ゲームフィールドで「気になるからすぐに調整」というわけには行きませんが、箱出しの状態でもそういったシステムが付いてるのはかなりいいと感じました。
フロントサイトとリアサイトについても、アイアンサイトが標準で装備されています。
そのため「とりあえずボルトアクションを持ってみたいけど、スコープ無い」といった「これから色々集めるユーザー」にも適合したものになっています。
また、スコープを載せる場合にはフロント、リア共に簡単な操作で取り外しが可能です。
フロントサイトは無調整の固定タイプで、バレルに両面テープで強力に接着されていますので、生半可な力では取れたりするということは無いと思います。
リアサイトは上下左右にある程度調整可能なタイプです、こちらの調整はトリガー周りと同じく付属の六角レンチを使用します。
リアサイトはネジによる固定のため、フロントサイトほど簡単に取り外すことは出来ませんが、付属している六角レンチとは別に普通のプラスドライバーがあれば取り外すことができます。
注意点として、VSR-10にはレイルシステムなどは標準装備していないため、スコープを載せる場合には別売りのレイルを購入する必要があります。
ストックはプロスナイパーバージョンではつや消しの黒になっています。
仕上げ自体は結構綺麗で見た目もいいのですが、表面は少し引っかいたりした程度で簡単に傷がつきます。
飾る分にはそれほど気になるものではありませんが、サバイバルゲームで使う人はすぐにつや消しっぽさはなくなります。
マガジンについては箱型のマガジンで装填数は30発とゲームで使う場合でも十分な装填数になっています。
また、マガジン一つ一つの大きさもコンパクトなため、複数持ち運ぶ場合でもかさ張りません。
しかし個体差なのか、全てのマガジンにいえることなのかまでは分かりませんが、注意点としては、マガジンリップの部分の保持力が弱いものがあります。
そのため落としただけでマガジン内のBB弾を数発もらしてしまう、といったことが稀にある点には注意が必要です。
また、ストック側のマガジンキャッチもそれほど大きなものでは無いため、しっかりと固定したことを確認しないと、マガジンを交換して、手を離したらマガジンが下に「ストン」と落ちてしまう、ということもあるため注意が必要です。
冒頭にて注意点として挙げた通り、チャンバー周りについては大きな注意点があります。
初期のロットのものと現在のものではチャンバー内部の部品構成が微妙に違うらしく、改善後のロットでは初期ロット時にあった問題点を解消しているとのことです。
初期ロットのものであっても、東京マルイから発売されている「真鍮バレル&新型チャンバー」を組み込むことにより改善されます。
具体的な判別方法は、チャンバーを分解した際にホップ調整用のパーツの番号・形状から判断することが出来ます。
パッキンを上から押さえつける部品が「VSR-24とVSR-25の2パーツ構成」になっている場合には初期ロットになります。
改善後のものは前述した2パーツから「VG-24」という1パーツの構成に変更されています。
チャンバーの新旧を問わず、HOPUPは可変式になっています。
射手から見て左側のストック半ばにスライド式のレバーがあり、それを前後にスライドさせることによりHOPの調整をするタイプになっています。
レバーの露出部分がかなり小さく、クリック式なため何かに引っかかって簡単に動いてしまう、といったトラブルは少ない反面、小さいため手袋などをつけた状態などではかなり操作しにくいです。
全体的に、しっかりとした作りになっており、大きなトラブルなどはありません。しかし、いくつか不満を感じる点がありました。
ストックをレシーバーから不用意に外すとマガジンキャッチのスプリングが簡単に明後日の方向へと飛んでいってしまうということがありました。
幸いにも、それほど特殊なサイズのスプリングではないため、仮に紛失した場合であってもわざわざ部品取り寄せなどはせず、模型店などでそれっぽいサイズのスプリングを購入し、入れてしまえばそれで解決する程度のものですが、初めて分解すると言う場合は室内でゆっくり分解することをオススメします。
全体を通してみると、初期ロットだからこその不安定さや、個体差こそありましたが、価格帯も含めてかなり優良な部類だと思います。
VSR-10 プロスナイパーバージョン発売以前から、自分でカスタムしたマルゼンのAPS-2やマルコシのUXスーパー9系などを保有している方からすると、精度的にも物足りない部分があるかもしれません。
しかし、比較的安めの価格帯や、現在は初期ロットにあった問題点も改善されていることなども考えると、VSR-10は既にボルトアクションを持っているユーザー向け、と言うよりこれからボルトアクションを保有したい人向けのモデルだと思いますし、実際そういった方々に是非ともオススメしたいモデルです。