VSR-10 Gスペックは、同社から発売されたVSR-10で存在した問題点を改善、よりゲーム用に重点を置いたモデルです。
基本的にはプロスナイパーバージョンからの発展、改善を行ったような仕様になっています。
基本的な仕様、操作方法についてはVSR-10と全く同じですが、VSR-10で挙げられたチャンバーのHOP周りのパーツ構成が変更されたり、インナーバレルの材質が変更されています。
外見上の大きな変更点は切り詰められたバレル、標準で装備されたサプレッサー、スリングスイベル、レイルマウント、新規造詣のボルトハンドルなどです。
まず、目に付くのはVSR-10と比べると短く切り詰められたバレルです。
マズルには専用のネジが切られていて、付属のサプレッサーを取り付けることが可能になっています。
また、別売のアタッチメントを使うことにより東京マルイ純正の14ミリ逆ネジの各種オプションを使用することも可能です。
付属のサプレッサーはあくまでオマケ・・・ということは全く無く、性能はかなり良好です。
通常、マルイのサプレッサーは吸音用にチューブ状のスポンジ4つをサプレッサー内部に敷き詰める形になっているものが大半で、発射時にスポンジのチューブ内をBB弾が通る形を取っています。
しかし、Gスペックに付属するサプレッサーはスポンジとバッフルプレートの2種類の素材によって消音効果を生み出す形を取っています。
バッフルプレートを追加することにより、通常のスポンジのみのサプレッサーよりも更に消音効果を高める狙いがあるそうです。
実際の効果は、「少し高音部分が小さくなるかな?」といった具合で劇的な変化こそありませんが、確実な効果が見込める効果的な構成になっています。
使用時主な注意点として、HOPをかけ過ぎたり、極端に軽いBB弾を使うなどするとサプレッサー内部にBB弾が衝突し、欠けたBB弾が内部に残ったままになったりバッフルプレートの細い口の部分と衝突、バッフルプレートが破損するといったトラブルが発生しやすくなります。
また、長く使っている場合などにも吸音スポンジとバッフルプレートが大きく変形、破損することがあるため、明らかに動作がおかしいと感じたら分解し、内部を確認する必要があります。
ほぼ可能性はありませんが、BB弾の破片が何かの拍子にノズルを通ってシリンダー内部まで落ち込んだ場合にはリカバリーが効かないため注意が必要です。
余談ですが、このGスペック用サプレッサーに内臓されたバッフルプレートは、内径が合致する場合、他の東京マルイ製のサプレッサー内部に使うことも可能です。
またパーツ名称が「VG-10 バッフルプレート(3個セット)」というものになっており、わざわざ本体を購入しなくてもバッフルプレートのみの購入することも可能です。
このサプレッサーは無加工ではGスペックと同社製L96 AWS(マズルのネジが同一のため、無加工で装着可能です)以外のエアガンに装備することは出来ませんが、同社製のほかのサプレッサーと内径と分解用に切られているネジが同じものになっています。
そのため、他のサプレッサーを所持している場合にはその部分のみ交換すれば、東京マルイ製の14ミリ逆ネジ全てに装着可能になります。
サプレッサー以外でも変更点があります、特にインナーバレルがアルミから真鍮製に変更され、チャンバー周りが新型に変更された点は大きな変更点です。
VSR-10用に発売された「真鍮バレル&新型チャンバー」が標準で組み込まれているということになります。
これらの変更により、VSR-10の初期ロットで問題になった個体差による命中精度の大きな差があった点についてかなり改善され、Gスペックでは個体の差によらずどの個体であっても箱出し状態でも高い精度で安定するようになりました。
小さな変更点として、あくまでもゲームで使うことを前提にしたモデルであるためか、プロスナイパーバージョンでは装備されていたフロントサイトとリアサイトがオミットされ、代わりに20ミリのレイルマウントが標準装備されています。
これによりわざわざ別売のレイルマウントを購入しなくてもすぐに手持ちのスコープを装備することが可能になりましたが、スコープを持っていない場合には一緒にマウントリングとスコープを買う必要が出てきてしまいまいた。
ボルトハンドルの形状が大きく変更されている点も重要なポイントです。
ボルトハンドルはまるでカスタムパーツメーカーから出されているような独特なデザインのものに変更されました。
これによりスコープを載せた際に動きが干渉してしまうことがあった点が解消され、スコープを載せている場合でも手やボルトハンドル自体がスコープとぶつかるということがかなり減ります。
また、ハンドルを倒した状態でも、通常のボルトハンドルと比較しても出っ張りが減るため、ゲーム中に何かに引っかかるといったことが減ります。
干渉自体は減りましたが、それでも気になるという場合には、スコープをハイマウントリングで固定する方法がオススメです。
また、シリンダーの最後部には、ボルトを引いたときに顔などとぶつかった際に怪我を防止するためにゴム製のキャップが新たに追加されました。
Gスペック用のボルトハンドルもやはり通常のVSR-10に無加工で装着可能です。パーツ名は「VG-4G-SPECボルトハンドル」となっています。
ストック、マガジン、トリガー周りはVSR-10からの変更はありません、そのため同様に調整、使用することが可能です。
また、スリングスイベルがストックの前後2箇所に標準装備されましたが、前側のスイベルを取り外して、別売のバイポッドを装備することも可能になっています。
使用感についてですが、発射音は元々が非常に音の小さなVSR-10であることに加え良質なサプレッサーが標準で使えると言うこともあり、音自体はかなり小さいです。
精度についてもチャンバーとバレルの改善がされたためか箱出しとしてはかなりのものだと思います。
20m程度までならかなり素直な弾道で狙えますし、40m程度までは人間大のものになら当たります。
全体的に見ると、VSR-10のプロスナイパーバージョンと比べるとゲームツール寄りの改善がされたように感じられました。
新型のボルトハンドルも非常に使い易い角度になっており、かなり使い勝手がいいですし、サプレッサーも標準装備のオマケ要素と馬鹿に出来ない性能でそのままゲームで使えるレベルに仕上がっていると思います。
サプレッサーを外せば室内ゲームでも使える取り回しのよさはかなり良い点だと思います。
操作した感じは、さすがはVSR-10の発展型という感じで、コッキングの軽さは健在です。
それに加えて今まで以上に操作がしやすくなったように感じました。
命中精度についても前述したとおり改善されたチャンバーと真鍮製になり今までよりも重く、ブレにくくなったインナーバレルのおかげなのか、かなり安定しています。
アイアンサイトがオミットされたため、スコープやドットサイトを載せる必要性が出てきた点などはありますが、ゲームで使う分にはほぼ確実に何かしらの光学サイトを載せるためあまり気になりませんし、かなり高い完成度だと思います。
強いて不満点を挙げるとすればマガジンのリリースボタンが小さいことくらいです。
VSR-10がこれからボルトアクションに触る人やお座敷シューター向けなイメージを受けたのに対して、Gスペックはサバイバルゲームで使うボルトアクションを新しく必要としている人向けのエアガンのようなあくまでもゲームツールらしさを優先したようなイメージを受けました。