魚雷は、海軍の使用する戦略的に非常に重要な兵器で、敵に撃ち込まれ、船体に少しでも穴が合いてしまうと、沈没、もしくは活動不能状態となってしまいます。
元々は、陸上の地雷と同じように、敵に遭遇するまで、海にプカプカ浮いていた機雷が、自身で敵艦に向かって進む推進力を得たものが魚雷です。
魚雷の種類
魚雷は、信管の種類によって2種類に分けられます。
敵艦に当たれば起爆する、触発信管を搭載している魚雷は、船の側面を狙って発射します、この触発信管式の魚雷は、命中しても中々沈まないので、数発撃ち込まなければなりません。
次に磁気に反応して船底で爆発する、磁気信管ですが、こちらは非常に強力な兵器で、相手の船底に到達すれば一撃で倒すことが出来る恐ろしい魚雷です。
船には竜骨と呼ばれる骨組みがあり、その竜骨が破壊されると船の支えが無くなり、一気に崩壊してしまいます、海に面している部分ですし、防御することが難しく、竜骨が破損すると艦船は危険な状態となってしまいます。
さらに、ターゲットが海上に出ている戦艦か、水中の潜水艦かの、どちらかを狙うかで役割が変わっています。
大きな違いは距離と威力で、海上を航行する艦船を狙う場合は海の上を平面上に進むので、遠距離で大きく爆発するように作られ、一方、潜水艦を狙う場合は、上下左右に移動可能ですので、立体的に移動できるように機動性能が非常に高いこと、センサーで狙いを定めるため、距離が伸びれば伸びるほど狙いがつけられないため、射程は短め、そして小型に作られています。
小型だと、大したダメージを与えられないと思いがちですが、海中にいる潜水艦の場合、非常に強い水圧がかかっている為、深度が深ければ深いほど潜水艦の被害は深刻となります。
海中では、100M潜ると圧力は10気圧、実に10kg/cm2以上の重さが上下左右からかかっており、小さな魚雷でも、想像を超えた威力を発揮させることが可能です。
潜水艦の戦い
さらに恐ろしいのは、ひとたび発射された魚雷を避けることは、非常に困難であるということです。
船よりスピードが速く、狙われてしまえば迎撃するか、魚雷の効果範囲に逃げるかしかありません、機雷を巻いてダミーや障害物を作り、魚雷を誘導する方法がありますが、自身の進行方向が少なくなるデメリットがあります。
地上の自動車と違い、海上の艦船は非常にゆったりと動くため、魚雷をよけることが非常に難しいのです。
また、線で繋がれている有線誘導の魚雷は、線でつながっている限り潜水艦のソナーを利用することが出来るため、ソナーによるダミーや機雷の判別がしやすく、全方位で探索することが出来、探索にも使える優れた機能を持っています。
このような有線誘導の魚雷に狙われた時は、避けることもできないので、逃げるしかなく、線が届かない範囲まで全速力で退避行動をとります。
線が切れてしまえば、魚雷自身で見つけなければいけなくなるので、当たるという確率は低くなります。
お互いの潜水艦同士が魚雷で撃ちあって迎撃するというは現実的には起こりにくく、撃っては避けるというのを繰り返すのが潜水艦での戦いです。
理由としては目視できないので、ソナーにしか頼ることしかできませんが、ソナーは映像のようにくっきり綺麗に見れませんし、ソナーというものは、音で範囲をしるという機能ですので、高速で移動する魚雷をお互いで射ち合ってしまうとノイズが発生してしまい、周りの状況の把握が難しくなるからです。
また、海中は光が届かないので、仮にカメラをつけても手前のライトを照らして確認できる程度、隠密行動が主体なので、少しでも明るいと見つけられ易いため潜水艦には向いていません。
温度によっても反響具合は変わりますし、狙いを定めることが非常に難しい状況となるので、退避した後、周囲の状況を把握してから反撃を行う形になります。
忘れてはいけないのが魚雷一発の値段です。こちらは非常に高く航空機並と言われていますが、戦闘機は1機40億程度で、魚雷は一発1億円もかかっています。戦闘機ミサイル一発で、大体4千万から1億円以内です。
単価の差は、ほぼありませんが、4LDKのマンションを打ち込んでいるものと考えれば、非常に高い金額だというものがわかります。
潜水艦の価格となれば、潜水艦一艘で、大体550億程度となり、非常に高額です。
1発相手に打ち込むだけで、艦船を行動不能にさせることが出来る魚雷は、潜水艦に10本から20本程度、搭載されています。
魚雷攻撃への対応策
映画や小説で表現されている魚雷と現実は大きく違い、非常に高性能で限界深度に関しても1000mを超えることはなく、潜ったとしても500m程度で、通常は水深100m程度となります。
機銃で魚雷を迎撃するという表現がありますが、実際の問題として非常にスピードが早い魚雷を機銃掃射で撃ち落とすことは、限りなく不可能に近いです。
水中への攻撃で有効なのは水深1m程度で、それより深くなるとスピードも落ち撃ち落とす力も、急激になくなります。
また、光の屈折により、照準をつけたとしても、実際の場所と見ている部分は違いますので、そもそも当てること自体、難しいです。
現在では、魚雷は潜水艦に搭載されていますが、駆逐艦といった海上を走る船に、搭載されることはありません。
魚雷には一撃必殺の威力がありますが、それ以上の役割が戦艦にはあり、戦艦が海中の敵を狙うことはできませんし、大砲を積んでいますので、それだけでも十分と考えられています。
魚雷のスピードは時速100kmで進むことが可能で、10キロの距離であれば約6分で到着することが可能で、そこまで接近されると水上を航行する船は、逃げ切ることはできません。
魚雷を発射されれば、感知することが出来るソナーもありますし、その際の泡や魚の動きなどをカット出来る技術は、現代では当たり前のように搭載されているので、気がついた時に既に回避できない状況は考えにくいですが、魚雷はスピードが早いため、狙われた場合は即座に防御策を打つ必要があります。
魚雷が当たれば、深刻な事態を免れないのは相手も同じですので、牽制の意味で相手へ向けて魚雷を打ち込み、回避行動を取らせるとか、追撃を防ぐため、いったん有線式の魚雷を発射し、追撃を行わせない状況を作ることが必要となってきます。
これは相手への情報を入手ができる事だけでなく、位置がバレたら相手も撃沈される可能性が出てくるので、相手の焦りを誘うことを目的としているので、とりあえず相手の方へとりあえず発射するというものになります。
魚雷に対抗する手段としては、事前に相手を把握している事がとても重要で、しかも有効な手段が他にないため、現代でも非常に驚異的な兵器の一つです。