何かあれば一触即発の北朝鮮と韓国は朝鮮戦争で休戦し、分裂国家となって以来、度々小規模な衝突を繰り返してきました。
争いの絶えない両国の現時点で武器の性能を比較すると、どのようなことが分かってくるのでしょうか。
一般的な印象では、アメリカの同盟国であり、常にアメリカの最新の兵器を供与されてきた韓国と、旧ソ連や中国のお古を使ってきた北朝鮮とでは、優劣は明らかに思えるのですが、果たしてどうでしょうか。
空軍の主力、両国の戦闘機
北朝鮮はソ連から供与されたミグ29の輸出改良型であるミグ29SE(NATOコードネーム「ファルクラムC」)を40機程度所有していると言われています。
1980年台のソ連迎撃戦闘機の主力を担った戦闘機であり、格闘性能は高いものを有していて、模擬戦闘でF-16を圧倒した事例もあり、輸出された29SEが、これと同じ性能・装備を有するかどうかは不明ですが、機体自体の性能が高いことは証明されています。
2003年にはアメリカの偵察機に対して、スクランブル発信して異常接近して警告を行っており、この際、R60空対空ミサイルを装備していることが判明しています。
北朝鮮軍はその他、ミグ23(フロッガー),ミグ21(フィッシュベッド)を保有し、ミグ23は数十機、ミグ21は120機が稼働可能と推測されています。
現在では旧式となり、燃料不足、部品不足に悩まされながらも、これらの機体は世界各国で運用実績もあり、兵器としては成熟しています。
これに対し、韓国はF15E「ストライクイーグル」をベースとしたF15K「スラムイーグル」を(予定では)40機配備しています。
しかも、本家の「ストライクイーグル」の搭載兵器に加えて艦対艦ミサイル「ハープーン」と空対地ミサイル「SLAM-ER」も搭載できるのです。
と、ここまで、スペックを見ると素晴らしいのですが、運用面において暗雲が立ち込めはじめます。
まず、ご自慢の「SLAM-ER」ですが、何と誘導電波の周波数が既に民間の携帯に専有されていて使えないということがわかり、周波数の変更に時間とお金がかかるので、このミサイルを打つ際には携帯の使用制限をかけることで当面対処するそうです・・・って、もし対処がうまくいかないと、空対地ミサイルが携帯を使っている自国民めがけて飛んで行く恐れがあります。
また、韓国軍用機の得意技(?)「共食い整備」で稼働できる機体が何機あるのかも懸念されます。
共食い整備というのは、部品不足(主に資金的な問題から)のために他の機体から部品を外して整備することで、空の目である早期警戒機「E747」も4機導入したものの、この共食い整備で1機しか稼働できないという噂もあります。
韓国空軍では共食い整備は常態化しているとも言われ、部品を取られてガイコツのようになった軍用機が軍の倉庫のあちこちにあると見られています。
「スラムイーグル」の他にも韓国空軍はF16C/Dがベースの「KF16」を約70機所有していますが、これも整備不良による稼働率の低下が指摘されている状態です。
陸軍の兵力
北朝鮮が所有するM1989、M1979自走加農砲、M1991 240mm自走ロケット砲などはいずれも旧式ではありますが、軍事境界線の北から直接韓国の首都ソウルを攻撃できる射程を持っています。
ソウルは国境からわずか50kmにあり、この距離では戦術的縦深(時間的・物理的な猶予)がとれないので、朝鮮戦争でもわずか3日で占領されてしまいました。
これに対抗して撃ち返すべく開発されたのが韓国のK-9自走砲155ミリ自走榴弾砲で、2010年延坪島砲撃事件で6両が実戦を経験しましたが、なんだかんだで実際に砲撃に参加できたのは3両、しかもカタログ上では最大で毎分6発という射撃速度は実際には毎分1発でした。
この自走榴弾砲の愛称は「サンダー」ですが、雷鳴は遠くで鳴っているだけに終わり、逆にこの事件では北朝鮮軍の砲撃の正確さから、練度が予想以上に高いのではないか、という評判になりました。
歩兵の装備で言うと、北朝鮮は昔ながらのカラシニコフ自動小銃の北朝鮮版を使用しています、しかも電力・資材不足からプラスチック部分が鉄製になっていて重く、「土に埋めても動く」堅牢さは折り紙つきです。
対する韓国は「K11複合型小銃」を開発、これはアサルトライフルに、20ミリ炸裂弾が発射できるグレネードランチャーを組み合わせたもので、歩兵の戦闘力の飛躍的向上を目指したものでしたが、飛躍的に向上したのは納入された不良品の数で、初期配備では不良品66%と、歩留まりという言葉が裸足で逃げ出す結果となりました。
訓練でも暴発し負傷者を出し、現在の戦果は自国兵に与えた損害のみです。
次は陸の王者戦車です。
北朝鮮はソ連末期の主力戦車T-72に「暴風号」と命名して、追加装甲などで改良を加えている模様です。
T-72とは言っても輸出用にダウングレード(性能を落とす)されたものと思われ、湾岸戦争でも米軍のエイブラムスにワンサイドゲームを演じられた「やられメカ」的存在です。
ただ、基本性能とメンテナンスのしやすさから兵器としての価値は低くありませんし、旧式のT-62も「天馬号」と、かっこいい名前をもらっています。
砲撃戦では、西側の戦車にはほとんど勝てませんが、チェチェン紛争では状況によってはT-80を上回るタフさを発揮したと伝えられます。
対する韓国は「天馬号」に対抗して、装甲の薄いエイブラムス・・・もとい、K1を国産しましたが、「改良」して、105ミリライフル砲から120ミリ滑空砲に積み換えて「K1A1」としたところ、重くなってサスペンションや変速機に不具合が生じるなどしたため、次に「K2」を国産で開発しました。
ニックネームは「黒豹」となかなか勇ましそうですが、国産の「パワーパック」(エンジン、変速機がモジュラーになった動力の心臓部)の不具合が改良できず、結局パワーパックはドイツから輸入して、2013年からは輸入パワーパックを搭載して100両が生産されることになりました。
しかし、このままではメンツにかかわると、2014年にパワーパックの国産に成功した、という発表がされました、ところが、このパワーパックを搭載したK2は、加速性能において作戦要求性能を満たすことができませんでした。
このままでは軍に納品できないことになってしまいます、そこで、作戦要求性能を引き下げることで合格としました。
(この文章、書き間違いではありません。念のため。)
因みに、ソウル防空の要である35ミリ対空機関砲、これは謙虚にエリコン社のものを使った・・・はずでしたが、韓国産のニセモノ部品が多数使用され、72の砲身のうち、49が動作しないことが判明しました。
対する北朝鮮は旧式のAZP23mm4連装機関砲(またはZPU-4連装機関銃)は、党幹部を粛清し、処刑する際に使用されているという報道がなされ、動作確認(?)がなされています。
兵器というと、性能に目が行きますが、同じくらい重要なのは実用性で、いくら性能が良くても、戦場での実用性がなければせいぜい威嚇用にしか使えません。
たとえ100回に1回の動作不良だとしても、それは実戦では命取りになりますし、極端な話、きちんと弾が出る火縄銃は、動作不良を起こした自動小銃に優るのです。
両軍の武器を比較してみると、新旧だけでは優劣は決まらないことがわかります。
そもそもの話、朝鮮人民軍の装備についての情報は少なすぎるのですから、このように比較すること自体が間違いなのでは?
韓国軍を明らかに差別して書いているようにも思えますし・・・・突然申し訳ありません