トイガンの楽しみ方の一つに見たり飾って楽しむ、があると思うのですが、そのために重要なことってなんでしょう?
やはり、実銃に限りなく似せてある事だと思うのですが、その意味では今回レビューするマルシン社「SIG 210-6」はなぜこうなったと言いたくなる逸品です。
実銃はスイスのSIG社が、ドイツのSauer&Sohn(ザウエル&ゾーン)社と共同開発した、様々なバリエーションがある同シリーズの6番目となる銃です。
元々スイスの軍用拳銃として1949年に「P49」という名で開発されたもので、後に民間モデルとして「P210」の名を与えられました。
P210-6はその競技用モデルとして作られ、120mmバレルを装備しています。
冒頭に「なぜこうなった」と書いた理由ですが、マルシン社はSIG社から銃器事業を買収し、設立したSWISS ARMS Neuhausen(スイスアームズ・ノイハウゼン)社から、本モデル実銃の設計図を提供されてこのモデルを作っています。
要するに、本家公認ってわけですね。
その割には、色々と作りこみが甘いというかいい加減というか・・・もう少し何とかならなかったの?と思ってしまう出来なのです。
マルシン製 SIG 210-6の外観
細かい部分は後で説明するとして、このトイガンを見て行きましょう。
まず、このモデルにはスイスアームズの実銃用ケースが付属してきます、ケースの作り自体は、高級感溢れる・・・などということはなく、いかにも運搬用のケースといった感じです。
説明書やマルシンの製品カタログなどの印刷物は、蓋側のスポンジの下にまとめて入れられており、滅多に取り出すものではないので、これは良い保管場所です。
ではケースから取り出して、まずは左側面の見た目から。
全長は213mm。
実銃の全長が198mmになっているのですが、これはおそらくP210-6で採用されている120mmバレルの影響かと思われます(確定情報なし)。
真っ先に目につくのは、刻印。
なんと、刻印に白い塗料が塗ってあるんです。
見た目のアクセントとしてはアリかもしれませんが、トイガンはなるべく実銃に近い状態がベストと考えている私には、ちょっと残念なポイントです。
そして、グリップ部分。
木製グリップ風のグリップパネルはちょっとツヤツヤ・・・というより妙にテカテカしていてプラスチック感が強すぎます。
これは、艶消しでもしておいて欲しかったところです。
続いて、右側側面。
こちら側の刻印も白く塗られております。
やはり、ガッカリ感は拭えません。
なお、説明書には洗剤で落とせるからお好みでどうぞというような事が書いてありましたので、すぐさま落とさせていただきました。
ただし、チャンバー部の刻印に黒が入っているのはナイス。
見やすいし、塗り自体もそう気になるものではありません。
まじまじと観察してみると、スライドレールの左右の端に何やら丸印を発見。
何でしょう、これ。成形時の痕でしょうか?
おまけに、トリガーガードの裏側にパーティングラインも発見。
他の場所には見当たらないのだから、ここもきちんと処理して欲しかったものです。
トリガーの上には左側面からスライドストップのピンが飛び出しています。
前面を見てみると、マズルからはゴールドのインナーバレルがはっきりと見えます。
これはこのモデルに限ったことではなく、トイガンの殆どに当てはまります。
しかし、見た目重視の私のような人間(私だけでしょうか)からしてみると、とても残念な要素です。
BB弾を撃ち出すという仕様上、どうしてもインナーバレルが必要なのは理解できるのですが、それならば黒く塗るなどの措置をして欲しいものです。
後ろから見てみると、フレームのテール部分が妙に長い。
ハンマーを手動で起こそうとした時に若干、引っ掛かりが生じて煩わしいかな。
リアサイトは、スッキリとしていて見やすい。
ああ、何だか初めてプラス面の感想書いた気がする。
そして、そのリアサイトの奥には、スイスの国章がこれも白塗りで入れられています。
おお、ここの白塗りはカッコイイかもしれない。
グリップの握りやすさ
では、実際に握りこんでみましょう。
重量は、本モデル680g/実銃885gとトイガンとしては、普通でしょうか。
ただ、その重さの大部分がグリップ部分にあるようで、銃身などモデル全体からの重みは伝わってきません。
グリップパネルを外してみたところ、中にガッツリ重りが入っていました。
そして、やたらとオイル臭い。
手に取っていじり回していると、すぐに手に臭いが移ってしまうので、個人的にはマイナス要素です。好きな人もいるかもしれませんが。
何日か放置したり、撃ってみたりもしたのですが、いつまでもオイル臭いのも謎です。
グリップの握りやすさは、良好。
全長の割に厚みがないので、指の短い私にはぴったり。
実射してみて
よし実射だ、と付属のBB弾に手を伸ばして思い出しました。
これ、8mmBB弾専用です。
お恥ずかしながら、トイガンのBB弾は全部6mmだと思っていました(汗)
ちなみに、6mmBB弾のモデルも売られているので、使用弾を統一したい方はそちらを買いましょう。
気を取り直して撃ってみる。
んん?ブローバックの速度は問題ないけどリコイルショックが弱い気が・・・。
ハンマーは「バシン!」といい勢いがありますが、なんともアンバランスな感じがします。
スライドの音はカシャンカシャンと小気味良いのですが、発射音自体はポシュッと頼りない音が聞こえてきました。
着弾箇所は、全体的に右寄り。
まぁ、これは可変ホップアップなので調整すれば問題なしでしょう。
そして、連射しているとすぐに撃てなくなってしまいます。
もう少し正確に言い直すならば、ガスによる冷却に弱いというところでしょうか。
マガジン3本分くらいを連続で撃っていたら、急にバシューという音と共に、残存ガスがすべてマズルから吐き出されてしまいました。
さすがに、これには驚きましたが、私の場合は主に観賞用なので、特に修理に出したり問い合わせたりはしていません。
マガジンの装弾数は驚きの8+1発。
実銃同様のシングルカラムとはいえ、少なすぎ、、サバイバルゲームはもちろんの事、撃って楽しむのは少々骨が折れるでしょう。
またマガジンが細身のため、ガスの容量も少なく、すぐにガス切れを起こしてしまいます。
分解してみる
マガジンを抜き、スライドを後退させるとスライドストップがかかります。
おっと、この時点で新たなガッカリポイントが出てきてしまいました。
アウターバレルがスコスコと前後に動いてしまいます。
これはなんとも締まらない。
さらにスライドを交代させると、右側面に飛び出しているスライドストップのピンを押しこめるので、左側面から抜き取ります。
スライドを前方に移動させればスライドが外れます。
全体的な感想
私がこの銃を知ったきっかけは、アニメ作品「MADLAX」でした。
同作品で使われる拳銃は、所属や年齢性別に関わらずすべてこのモデルが使用されています。
何かこだわりでもあったんでしょうかね。
最後になりますが、全体的な感想を。
本文中では散々に落としていますが、パッと見た銃のデザイン自体はとても気に入っています。
だからこそ、細かく鑑賞した場合のアラが目立ってしまったのですが・・・。
木製グリップパネルを用意できれば、それだけでかなり見た目が引き締まるかと思われます。