2003年にSOCOMのトライアルの為に開発されていたSCARは他社製ライフルに部品調達の遅れが発生したことにより競合他社がトライアルから脱落、最終的にFN SCARが採用されました。
その後はイラク戦争やアフガニスタン紛争に投入され高い評価を得ました。
その後は購入を正式決定したものの後日購入を一部キャンセルするなどのトラブルもありましたが、アメリカ特殊作戦軍やアメリカ海軍が配備、追加調達の発表をするなどアメリカ軍全体に配備され大ヒットというほどではありませんが、ある程度配備され使用されています。
SCARの大きな特徴は、高度にユニット化された各部品群です。
基本的な構造は同社製のFN FNCをベースとした近代発展型という設計ですが、様々な改良を施したこともあり、全くの別物といって良いほどのライフルになっています。
FNCから継承されたらしき、アルミ合金削りだしのロアレシーバーがありましたが、それも後半ロット以降では樹脂製に変更されています。
SCARでは5.56×45mmNATO弾を使用するSCAR-L(MK16)とと7.62×51mmNATO弾を使用するSCAR-H(MK17)の2モデルが存在しています。
SCARの末尾に付けられたHとLはそれぞれLightとHeavyを表しており、使用弾薬による区別を容易になっています。
SCARでは使用弾薬による2モデルが存在していますが、ユニット化により、使用弾薬の口径に関するパーツ以外は同一のパーツを使用することにより維持コストを低減するだけでなく、FN社自身も新たな弾薬が開発された際に対応しやすい環境を構築しています(極端な話、射撃に関する部位以外のストックやグリップなどは使いまわしが出来る)。
次世代電動ガンの本モデルでは、シュート&リコイルエンジンと残弾が無くなった際に自動で動作を停止するオートストップ機能を装備しています。
また、次世代電動ガン共通の金属パーツの多用による剛性の強化と重量感の増加も行われています。
各部を見ていきます。
内容物は、本体、マガジン、保護キャップ、取扱説明書、フロントサイト調整ツール、簡易BBローダー、クリーニングロッド、BB弾(0.2g/200発)が付属しています。
レシーバーはアッパーレシーバーが金属性、ロアレシーバーが樹脂製になっています。
アッパーレシーバーはアルマイト処理がされ、艶消しのブラックがとても綺麗に塗装されています。
アッパーレシーバーの右側面にはエジェクションポートがあり、レシーバー左側面にある、ボルトハンドルを操作する連動してダミーボルトが後退して、HOPの調整が可能になっています。
操作系の多くが左右どちらからでも操作可能なアンビタイプになっているのも特徴です。
レシーバー左側面にはオートストップ機能を備えたボルトストップボタンがあります。
残弾が0になった際にはマガジンを交換後にこのボタンを押すことで再度射撃が可能になるという実銃とほぼ同様のシステムが再現されています。
セレクターは90度でセミ・フル・セフティの3動作を行うタイプで左右どちらからでも操作可能なアンビセレクターが装備されています。
90度内に3ポジションが設定されているため、セフティから一気にフルオートまで移動させるということもやりやすくなっています。
グリップはM4系列とほぼ同デザインです。
グリップ内部にはEG1000ハイトルクモーターが内蔵されています。
グリップは太すぎるということはなく、持ちやすい大きさです。
また、モーターは純正オプションとしてサマリウムコバルトモーターへの交換が可能です。
モーターの変更でトルクが大きく上昇するため、動作が素早く、キレのある動作になります。
ただし、サマリウムコバルトモーターは非常に磁力が強いため、腕時計などを付けた状態で触ると時計が破損する恐れなどがあるため、交換の際にはモーターに付属する説明書をよく読んでから交換する必要があります。
アッパーレシーバー上にはハンドガード上面までを繋いだ長いレイルマウントが装備されています。
レイルマウントの規格はほぼピカティニー規格同一で、対応したオプションを装備可能になっています。
ハンドガードの左右と下にもレイルマウントが装備され、バーティカルグリップやフラッシュライト、同社製のガスグレネードランチャー、M320A1などを装備可能です。
下に装備されたレイルマウントは金属製で強度も十分ですが、左右に装備されたマウントに関しては樹脂製のため、極端に重量のあるオプションを装着すると破損の原因になります。
フロントサイト、リアサイト共に可倒式になっており、光学オプションを装備して使用しない際にもワンタッチで倒すことが出来るため、照準時に邪魔になることもありません。
フロントサイトは周囲を金属製のリングで覆ったタイプになっており、不意の転倒や壁などにぶつけた場合でも、フロントサイト自体が破損しにくいように配慮されています。
また、付属のアジャストツールで上下左右の調整が可能です。
リアサイトも上下左右の調整が可能で、射程によって切替可能なL字型のピープサイトです。
設置場所はレイルマウント上なため、光学照準器を装備する際にはリアサイトを倒すだけでは邪魔になる場合などには簡単に取り外すことが可能です。
アウターバレルは、バレルチェンジシステムを採用しており、16インチバレルと13インチバレルの2種類の長さを自由に変更出来るようになっています。
フラッシュハイダー根元とバレル根元の二箇所にM14逆ネジが切られているため、サイレンサーを装備する際にはアウターバレルを付けずに直にサイレンサーを装備可能など、室内ゲームでも使いやすくなっています。
標準装備されたフラッシュハイダーはアルミ削りだしで強度も問題なく、加工精度も高めです。
ストックは折りたたみ可能なフォールディングストックですが、バットプレートが6段階、チークピースが2段階で調整可能になっています。
使用可能なバッテリーはミニSバッテリーです。
収納場所はストック内部で、バットプレートを外してバッテリーを収納します。
バットプレートの固定をしているピンが紛失しないようにストッパーが付いているなど地味ですが便利な設計になっています。
フォールディングストックのため、ストックを折りたたんだ際にはコードがヒンジ部分に露出します。
コードが黒いためブラックモデルではあまり気になりませんが、フラット・ダークアースモデルではかなり目立つため、気になる人は注意が必要です。
コードはある程度ストックの折り畳みを考慮した長さ設定がされていますが、勢い良くストックを展開すると、コード内部での結線や破損の原因になるため、ストックの操作はゆっくり行うことをオススメします。
マガジンは実銃のSCAR-Hが7.62mm弾を使用する大型のマガジンを使用するため、付属の通常マガジン、オプションの多段マガジンともに容量が多くなっています。
付属している通常マガジンは90発とリアルカウント20発の2種類から選択可能なオートストップ機能付きのマガジンです。
カウントの切替は他のリアルカウント切替式のマガジンと同様に底部のネジを外して、内部のスイッチを切り替えることで変更可能です。
オプションの多段マガジンは装填数540発のゼンマイ式マガジンが発売されています。
実射性能は、初速が安定して高初速なため、レイルマウントの多さもあり、ゲームでも近距離~遠距離までユーザーの好みに合わせた使い方が出来るように感じました。
また、SCAR-Lではバレルの長さで2モデル発売されていましたが、SCAR-Hではユーザーの好みでバレルの長さを調整出来るようになったため、より好みに合わせた使い方をし易くなったと思います。
気になる点は使用可能なバッテリーはミニSバッテリーということもあり、容量不足を感じる場面があると思います。
またフォールディングストックはヒンジ部が経年劣化を起こす可能性もあるため、管理を怠ると破損の原因になるため保管時には注意が必要です。