発売された当時は、映画「ブラックホーク・ダウン」の人気によってアメリカ軍のデルタフォース装備をしているサバゲーマーが多く、マルイもM14に現用装備に合うODストックバージョン、ベトナム戦争装備に合うウッドストックバージョンの2種類を発売し、たちまちサバゲーフィールドで人気の銃となった。
私はスタンリー・キューブリックの映画「フルメタル・ジャケット」が好きで、作中では米海兵隊の訓練シーンでM14が使われており、印象的だったので、ウッドストックバージョンを購入することにした。
ウッドストックバージョンは実銃の木製ストックを再現したもので、プラスチック製のストックに木目を塗装で表現している。
塗装は綺麗に仕上げられているが、リアルさや荒々しさを追求したい方は自分で汚し塗装をして木目を再現するのがおすすめだ。
現在は、自分で塗装して木製ストックを再現するテクニックが、ネット上で多く公開されている。興味のある方は「ニセ木スト 塗装」などのキーワードで検索してみよう。
マルイのM14はリアルさを追求したことも特徴だ。まずトリガーを引いた時にクリック感をもたせたことが特徴で、トリガーを引いてから発射されるタイミングが掴みやすいのが特徴だった。
これは当時の電動ガンでは画期的なことであり、射撃フィーリングに大きな影響を与えた部分だった。
また、外装は全て金属パーツで再現しており、アウターバレルは強度のあるアルミ製一体型。他の部分には亜鉛ダイカストを多用し、金属の冷たい質感や重量感を再現していた。
さらに、180度回転させてセミ・フルを切り替えるセレクター、トリガーガード前方に付いたセイフティなど、現代の銃とは違う独特のインターフェイスを精密に再現。セレクター、セイフティともにクリック感が効いているものであり、ふらつくことはない。
また、手動でフルストロークさせることが可能なボルトも特徴だった。ボルトを引くことでダストカバーが回転しつつチャンバー部分が開くという凝ったギミックが搭載されており、これがマニアから大変な好評を得たのだ。
ボルトを引くと「ジャキン!」と心地いい金属音が鳴り、サバゲーでの景気づけには最高のギミックだった。
余談になるが、映画「フルメタル・ジャケット」で、前半の主役であるほほえみデブが「最高だぜ、シャーリーン」と言いながらM14のボルトをジャキンとセットする有名なシーンがある。
サバゲーでのネタとしてこのシーンを再現したことがある人は私だけではないはずだ。
マルイのM14はボルトストップが再現されていなかったが、サードパーティからボルトストップを再現するためのカスタムパーツが発売されたことで再現可能になった。
ただしパーツに負担がかかることから、マルイはフルストロークからボルトリリースすることを推奨していないので注意しよう。
M14はもともと第二次世界大戦時にアメリカ軍の制式セミオートマチックライフルだった「M1ガーランド」をアサルトライフル化した銃だ。
そのため現代の銃のように各部をすばやく操作できるデザインにはなっていない。こうした銃のもつ特性を細部まで再現したことにより、マルイのM14は日本中のサバゲーマーから賞賛を得た。
マルイのM14は7.62mmNATO弾の特性を再現したのか、一般的な他の電動ガンと比べて初速が高くチューンされている。
そのためサバゲーではブッシュを貫通しやすいメリットがあり、スナイパーライフルや分隊支援火器として運用するのに適していた。一般的な他の電動ガンより弾道の伸びがよく、援護射撃をする人にも向いている銃といえる。
マガジンはリアルなスチールプレス製で、ノーマルマガジンの容量は70発。ただし撃ち切り型マガジンではないため2発程度の撃ち残りが発生する。
また、マガジンが前後に長いため、M16シリーズやAKシリーズ用のマガジンポーチを底上げして使用するのが一般的だ。
おすすめはブラックホーク社製の「コマンドチェストハーネス」型のチェストリグ。これを丸めた新聞紙で底上げすることで8本のM14マガジンを携行することができる。
他にも、米軍官給品のLC-2マガジンポーチであれば、丸めた新聞紙などで底上げすることで2本のM14マガジンを収納できる。
前述したように、マルイのM14には「トリガーを引いた時にクリック感がある」という特徴がある。そのため、実銃のようにセミオートでドシュドシュと撃つのも一興だ。トリガーが引きやすいので、スナイパーライフルとして運用する際にも最適である。
ゼンマイ式多弾マガジンの容量は440発なので、分隊支援火器として掃射したい場合はこちらを選ぶとよいだろう。
またサードパーティ製のカスタムパーツも多く発売されており、カスタマイズの幅も広い。
前述したボルトストップの他にも、現代型のM14EBRを再現するストックや、分隊支援火器型のM14E2を再現する木製ストックなどが発売されており、ストックを交換することで好みのモデルに変更することができる。
もちろん、マズル部分は14mmの逆ネジになっており、サプレッサーなどのアクセサリーを装着できる。マウントベースを取り付ければスコープを載せることも可能だ。
重量は重く、乾燥状態で3.8kgもある。また、全長が1.1mにも達するほど長いため取り回しが悪い。
そのため密林のように草木が生い茂るフィールドでは移動するのにも一苦労するほどだ。このあたりは、スリングをつけたり、味方とカバーし合いながら戦うなどしてカバーしたいところだ。
(この難点があったためか、マルイは後にM14をショートバレル化した「M14SOCOM」を発売している。)
M14は当初ベトナム戦争に投入されたが、やはりその重さと長さのためにジャングルでの取り回しが悪く、射撃時の反動が強いこともあって新コンセプトのM16に置き換えられたという経緯がある。
しかし、9.11テロ後のアフガニスタンやイラク戦争では、山岳地帯などでM14のメリットが見直され、再び前線に投入されるようになった。
そのため、ベトナム戦争や現代のアメリカ軍装備によく合う銃だ。また、前述したように「ブラックホーク・ダウン」のデルタフォース装備に合わせるには最高である。
ホップアップはマガジン装着位置の前方に配置されており、ボルトを引かなくても調整できて便利だ。
フィールドで簡単にホップ調整ができ、ゲーム中にホップがずれることもない。
実射性能はもはや言うまでもなく優れている。特に前述のように、他のマルイ製電動ガンよりも初速が高いことはサバゲーでも有利に働く。
ブッシュをものともせずに相手を攻撃できるし、開けた市街地のようなフィールドではその威力が最大限に発揮できることだろう。
バッテリーはラージバッテリーを使用するため、サバゲーでどれだけ撃ちまくってもバッテリー切れの心配はない。
すでにラージバッテリーを持っている場合は使い回しがきくのもメリットだ。
その重さや長さから万人向けではないが、M14の決定版といえるトイガンであり、ナム戦装備や現用米軍装備にはよく合う銃だ。
また、ベトナム戦争時のベトコンや北ベトナム正規軍(NVA)の装備をしている人も、鹵獲品という設定で合わせることができる。自分の装備によって購入するかどうかが決まるトイガンだといえそうだ。