SCARは「Special operations forces Combat Assault Rifle」の略称で、ベルギーの銃器メーカーでるFN社がアメリカ特殊作戦軍(SOCOM)の次期主力ライフル選定トライアル向けに開発した、アサルトライフルである。
SCARには、5.56×45mm弾を使用するSCAR-L(Light)と7.62×51mm弾を使用するSCAR-H(Heavy)の二つのタイプが存在。
異なる口径の弾丸を使用する銃ではあるが、多くのパーツに相違性を持たせる事で維持コストを抑え、最小限の改良で修理などの対応が可能なのだ。
また、バレル長には、近距離、中距離、遠距離用と様々なバリエーションが存在し、CQBから狙撃まで幅広く応用が可能になっており、現在一部の部隊で少数ではあるが運用されている。
近年では映画などのメディアにも度々露出するようになった注目のアサルトライフルだ。
次世代電動ガンは「シュート&リコイルエンジン」と呼ばれる実銃射撃時のリコイルを再現する機能を有した東京マルイの新ブランド。
SCAR-Lは現在、東京マルイからロングバレルタイプとCQBタイプの二種類がモデルアップされ、カラーはそれぞれブラックとフラットダークアースだ。
化粧箱は真っ白なデザインに「SCAR-L」のロゴが入ったシンプルなものになっている。
これまでの箱には銃の写真やイラストが必ず入っていたが、ロゴのみなのはとても新鮮、バリエーション展開のためだろうか。
個人的には洗練された印象があり好みである。
本体は、アッパーレシーバー部分はアルミ合金製で、ロアレシーバーは実銃同様に樹脂製となっている。
剛性と柔軟性が両立した近代的なデザインだ。
アッパー部分の色はゴールドに近くザラザラした質感、ホワイトの刻印もしっかり施されており、剥げなども無く綺麗に仕上がっている。
マガジンキャッチ、セレクターはレシーバーの左右両側に配置されているので、右利き、左利きどちらでもスムーズな射撃が可能だ。
レシーバー左側には次世代電動ガンシリーズお馴染の、ボルトリリースボタンが配置、M4系に比べ細長くなっているが、抵抗は増しており、より確実な操作が可能になっている。
ハンドガードはアッパーフレームと一体になっており、強度は抜群。
特徴的なトップレイルは、リアからフロントにかけて切れ目のない一直線になっており、大型スコープやドットサイトとブースターの組み合わせなどでも、スペースを気にすることなく装着出来る。
トップとアンダーのレイルは、アルミ合金製だが左右のレイルは樹脂製となっている。
ストックは実に多機能で、ストック後部の左面にはストックの長さを調整するボタンがあり、6段階の調整が可能で、段階ごとに数字が刻まれており、現在のポジションを一目で確認できる。
さらに、ストックの付け根にあるボタンを押すと、ストックのロックが外れ、右側に折りたたむことが出来る。
折りたたんだストックは、レシーバー右側面にしっかりと固定出来るためのふらつくことは無く、負担の掛かる基部は柔軟性のある樹脂製なので、破損の危険性は少ないと思われる。
少々気になるのは、ストックを折りたたんだ際にバッテリーコードが露出する事で、この光景は電動ガンならではのものであり、構造上致し方ない。
しかしコードの露出は最小限に抑えられており、本体色がブラックならばさらに目立たなくなるだろう。
バットプレートを外すと中はバッテリーを収納するスペースになっている。
次世代電動ガンM4シリーズのように、専用バッテリーではないので目新しい技術は無いように思える。
ただ、ストック内にバッテリーコードを固定するためのフックが設けられている点はとてもありがたい。
これがあるとコードが外に飛び出さずスムーズに作業が行える。
グリップの形状はM4系統と同じデザインになっている。
SCARに搭載されているグリップは、新しい規格で設計されたものであり、次世代電動ガンM4シリーズのものよりも1.3mmほど薄くなっている。
見た目で形状の変化は確認できるが、実際握った感覚としては、大きな変化は感じなかった。
素材も変更されているのか、M4シリーズでは滑らかだった質感がサラサラした質感になっていた。
余談ではあるが、当初実銃のSCARのグリップは開発側であるFN社が過去に開発したFN FNCのグリップが採用されていた。
しかし、アメリカ軍側からの指摘によりM4タイプのものに変更、M4タイプのグリップに慣れた現場の兵士への配慮が伺える。
アウターバレルはアルマイト処理が施されていて、非常に美しい。
形状は付け根部分が膨らんだ独特の形状をしており、M4などよりも細い印象を受ける。
実銃では10、14、18インチのバレルバリエーションが存在する。
ハイダーはアルミ削り出しで剛性抜群、エッジも非常に鋭い。
実銃同様、ハイダー自体に直接サプレッサーを装着するためのネギ切りが施されているが、実際サプレッサーは装着出来なさそうだ。
リアサイトはレイル後部に配置されており、任意で取り外しが出来る。
メモリの塗装は綺麗に仕上げられており、調整もスムーズに行える。
またスコープなどの光学機器を装備する場合は邪魔にならないように折りたたむことが出来る。
フロントサイトはフリップアップタイプになっており、リアサイト同様に使用しない場合は折りたたみ可能で、調整は付属の専用ツールで行う。
フロントサイト前部にはガスレギュレーターがあり、電動ガンなのでもちろんダミーになっているがしっかり可動する。
細かい部分までリアルに再現されている。
マガジンは次世代電動ガン用に開発された専用のものになっている。
次世代電動ガンではボルトストップ機能の搭載により、マガジンにもメカボックスの駆動を停止させるためのパーツが付いているので、他の電動ガンとの互換性は無い。
もはや定番となった隠し機能も健在だ。
マガジン内には82連発と30連発を切り替えるスイッチがあり、リアルカウントにも対応している。
マニュアルには記載のない無い機能ではあるが、そこに遊び心を感じてしまう。
フラットダークアースの塗装は色むらも無く美しい。
またロアレシーバーが樹脂製であるため抵抗が少なく、スムーズに着脱が可能、実射の感覚は思いのほか静かな印象を受けた。
シュート&リコイルエンジンがレシーバー上部に配置されているので、バタバタとした振動を予想していたが比較的穏やかだ。
ストックチューブ内に、シュート&リコイルエンジンを配置している次世代電動ガンM4シリーズなどと比べても、肩に伝わる衝撃も少なめだ。
実銃の設計効果が電動ガンにも反映されているのか、前後のバランスが良く重さをうまく分散しているように感じた。
また各部分に使用されている樹脂パーツが振動をマイルドにし、ユーザーの負担を軽減している。
操作系の主要部分はM4系と類似点が多く、M4の操作に慣れた人にとっては非常に扱いやすい。
フルオート時には、ボルトハンドルが激しく前後するので、左手で直接銃本体を支える場合は、指の置き場所に注意が必要だ。
ストックを折りたたんでの射撃は、折りたたんだストックが右手に干渉して、どうしても不自然な動作になってしまう。
実銃と同じ機能ではあるが、あまり必要性を感じなかった。
実銃同様の拡張性は電動ガンにも忠実に反映されており、様々なカスタマイズを楽しめる。
マッシブな体系でありながら、スナイパー用としてもアタッカー用としても使用出来る、器用さを併せ持った電動ガンだと言えるだろう。