東京マルイから発売されているハイサイクル電動ガン「PS90HC」の実銃のPS90はFNハースタル社が開発した、「P-90」の民間仕様版です。
P-90からの変更点はフルオートの廃止、法規制に適合させるために延長されたバレル、貫通力を低下させた弾薬しか流通させないようコントロールされている点にあります。
PS90の基礎となっているP-90は、5.7mm×28弾を使用しており、弾体そのものは軽量なため威力こそライフル弾には及びませんが、高初速で撃ち出されるため剛体に対しての貫通能力はライフル弾と同等クラスであり、150m先のボディアーマーを貫通することが可能で、人体などの軟体に着弾した際には内部で弾頭が回転、貫通せずに内部に残る点も大きな特徴です。
これは対象に対して大きな傷を与えるという点に目が行きがちな仕組みですが、体内に銃弾が残ることで、貫通した弾による二次被害を抑えることにも繋がっています。
また、軽量な弾体を飛ばすため、火薬量自体は拳銃弾と同等であり、FN社によれば、一般的な拳銃弾である9×19mmパラベラム弾の60%の反動であるとしています。
マガジン配置が通常とは異なる、銃身に対して90度曲げた配置になっており、銃身上部分にマガジンを配置する形になっており、そのため短い全長にも関わらず装填数が50発と多く、マガジン自体も半透明のプラスチック製のため残弾のチェックがし易い仕様になっています。
ただし、素早いマガジンの交換には慣れが必要なため必ずしも完全な利点になっていません。
プルバップ式の中でも特徴的なデザインをしているP-90(PS90)ですが、そのデザインは人体工学に基づいて設計されており、左右どちらが利き腕の使用者であっても使いやすく、反動の制御がし易いなどの利点があります。
一方で空薬莢を真下へ排出するため、空薬莢を踏んで転んだり、伏射時を初めとした低い姿勢での射撃時に、体に高温の空薬莢が接触するといった問題があります。
余談ですが、FN社製のアサルトライフルのF2000ではこういった問題を解決するためか専用のルートを通って、ある程度冷ましてから射手の左右手前側(左右は選択式)に輩出する仕組みを採用していたりします。
また、P-90が日本において知られるようになった大きなきっかけは1997年の起きたペルーの日本大使公邸占拠事件で、この事件において、ペルー軍の突入部隊の一部がP-90を使用、中継時に映り込んだ際にその特徴的なシルエットが話題になりました。
事件の際にP-90が使用されていた理由として一説にはFN社が宣伝を兼ねて無償で提供したとも言われています。
ハイサイクル電動ガンとして発売されたPS90HCは、モデルとなっているPS90のようにセミオートのみということは無く、ハイサイクル化された高速のフルオート射撃が可能で、そのため外見は民間仕様でありながらハイサイクルというチグハグなことになっています。
内容物は本体、ハイサイクル向けの改良型300連マガジン、保護キャップ、クリーニングロッド、説明書、BB弾です。
本体各部について見ていきます。
レシーバーはP-90TRと同タイプで、レシーバーは本体はプラスチック、アッパーレイルとサイドレイルは亜鉛ダイキャスト製、アッパーレイルには簡易タイプのアイアンサイトが装備されています。
コッキングハンドルはレシーバー側に取り付けられていて、ダミーですがコッキングが可能で、インナーバレルとチャンバーに関してもレシーバー側に固定されています。
アウターバレルは16インチ仕様に変更され、フラッシュハイダーのデザインもP-90シリーズから変更され長いものになっています。
アウターバレル、フラッシュハイダーはM14逆ネジになっており、取り外し可能、アウターバレルを取り外し、本体部分に直接フラッシュハイダーを装備したり、各種サプレッサーを装備する事も可能です。
特にサプレッサーは元々構造上音が小さくなりやすいPS90にはオススメです。
インナーバレルは通常版P-90と同じ247mmで、可変HOPはバレル同軸式で、調整はレシーバーを外すか、グリップ上部にあるスライド式の蓋を開いて調整することが可能です。
フレームは樹脂製で色はオリーブドラブ、左右2パーツを接着するような形になっており、左右の接合はしっかりされているため、剥がれるといったことはありません。
セレクターはフレーム側、トリガー下部に装備、そのため手を離すことなくセレクターの操作が可能で、トリガーはフルオート時には引き幅が2段階になっていて、1段階目でセミオート、2段階まで引ききることにより、フルオート射撃するようになっています。
フルオート位置までトリガーを引く際に「カチンッ」と音がするため、気になる人も多いかもしれません。
バッテリーはストック内部に配置スペースが設けられ、バットプレート下部のボタンを押しながらスライドさせることでバットプレートが取り外せます。
ストック内部は上がバッテリー収納スペース、下がメカボックスで、メカボックスはズレないように樹脂製のプレートで固定されていて、モーター位置を調整しギアの噛みあわせを調整するためのイモネジが露出しています。
バッテリーはミニバッテリーを使用しますが、バッテリースペース自体は広くないため、ヒューズケースとコードの取り回しが少しやり難い印象で、マガジンは300連マガジンが標準で装備されています。
P-90の300連マガジンは元々給弾不良が多い設計でしたが、ハイサイクル化に対応するために改善され、装填はスライド式のフォロアを下げて、ハッチを開く、BB弾を流し込み、ハッチを閉じ、ゼンマイのドラムを回すことで使用可能になります。
通常の多段マガジンではマガジン下部のゼンマイを「カリカリ」と長々巻く必要がありますが、P-90系の多弾マガジンのゼンマイは中心部が3mmの六角穴になっておりレンチを差し込んで回せるため、比較的ゼンマイが回し易い仕様になっています。
実射性能はハイサイクル化に伴いP-90から僅かに初速が落ちています。といっても計測器を用いた数字の上では落ちているもので、体感ではほとんど分からない程度です。
ハイサイクル化されているため、箱出しでもフルオート時の連射速度はかなり速くなっており、トリガーを引けば真っ直ぐにBB弾が吐き出され、フルオート時には秒間あたり23~4発の射撃が可能です。
また、セミオートの切れもよく「タン、タン、タン」を歯切れ良く撃つことが可能で、フレームが一体型でメカボックスがストック内部にある構成のためか、通常のハイサイクル電動ガンと比べると静かな印象を受けます。
ハイサイクル電動ガンはメカボックスの動作音が大きいことが多いため、比較的静かな動作音という点は利点の一つだと思います。
カスタム例としては、本体のコンパクトさを殺さずに、ハイサイクル特有の反応のよさを生かせるカスタム例が重要になるかと思います。
例としてはショートタイプのサプレッサーと、ドットサイトか低倍率のスコープ、シュアファイアなどライト類、大型のBOXマガジンなどが候補になります。
特にドットサイトは照準器が簡易式のアイアンサイトのみのPS90には必須のオプションの一つで、ゲームで使う場合には載せておきたいアイテムの一つです。
また、P-90系のBOXマガジンは多段マガジンを超える大容量と同時にラージバッテリーを使用するためのスペースを持っているタイプが存在するため、ハイサイクルの消費の速さと、ミニバッテリーの容量不足などを解消できます。
コンパクトな全長、特徴的ながらも使い易いデザイン、軽量、高サイクル、レイルによる高い拡張性など、非常にオススメのモデルです。