モデルとなった実銃はイタリアの銃器メーカー、ピエトロ・ベレッタ社が製造しているマシンピストルのM93Rです。
M92をベースとしており、対テロ用のマシンピストルとして利用出来るように各部の仕様変更を行っているため、M92の面影こそ残っていますが、シルエットは大きく異なっています。
主な変更点としては連射方式をセミオートと3点バーストの切り替え方式に変更した点と、ロングバレルへの変更、ロングマガジンの採用、フォアグリップの標準装備などがあります。
M93R以前にもフルオート機構を搭載した、M1951Rなどのマシンピストルがありましたが、フルオート射撃では仮にストックを用いたとしてもハンドガンでは制御が非常に難しい点に加えて、装弾数自体が少ないこともあり、使用する上で高い技術を要求されるというデメリットが目立ちました。
そこでM93Rではフルオート機構を廃止し、代わりにより制御がし易く、それでいてセミオートよりも制圧力が高い3点バースト機構が採用されました。
また3点バースト時の初弾発射時の衝撃により、狙いが大きくずれてしまうことを避けるために、バースト時の連射サイクルは非常に速く設定されています。
また、バレルにはガスポートが開けられており、これにより銃口の跳ね上がりを押さえることに成功しています。
このようにハンドガンとしては火力過剰とも取れるような設計をされたM93Rですが、開発された経緯として、当時のイタリアの治安などにその理由があります。
当時のイタリア国内では頻発化、凶悪化するテロ行為などから要人を守るために、高い制圧力を必要とする傾向がありました。
しかし、その一方で要人側からは社会的なイメージなどを優先するためにあまり過度の重装備を行った警護をされると困るという点があり、よりコンパクトかつ高い制圧力を有する銃器の開発が必要とされたためM93Rのようなマシンピストルが開発されることになりました。
東京マルイの電動ハンドガンとしてはGLOCK 18Cに続く第2弾としてリリースされました。
当トイガンの大きな特徴といえば、やはりそれまでハンドガンの主流だったガスガンと違い電動ガンであることです。
これによりガスガンの弱点である冬場に動作が悪くなるなどの点が解消されました。
全体的な印象としては、少しオモチャっぽい(実際オモチャですが)かな?といった感じを受ける部分があります。
とはいえ表面の処理自体は悪いわけでは無いし、のっぺりしていて野暮ったいという訳でもないです。
ただスライドが後退しないため、ガスブローバックに慣れていると違和感を感じることがあると思います。
また、M93Rの特徴的な上面を大きく切り取りバレルが露出したスライドについては、バッテリースペースの確保などの関係からか、アウターバレルと一体化されています。
大きさは第1弾として発売されたGLOCK 18Cと比べるとやや大きいですが、大型自動拳銃の代表格であるデザートイーグルやMk23、クリント1のようにグリップが大きいわけではない(同社のガスブローバックのM92Fとほぼ同サイズ)ため握りにくいということはありません。
フラッシュハイダーはM93Rには前期モデルと後期モデルがあり、バレルに開けられたガスポートが前期のモデルでは6ポート、後期のモデルでは3ポートとなっています。
東京マルイ製のM93Rでは、前期モデルの6ポート式を採用しています。
装填数は1マガジンで6mmBB弾を40発と、GLOCK 18Cよりも10発多くなっています。
これは本体がそもそもロングマガジンを採用した銃であるため、ロングマガジンの分だけグリップ下部が少し延長されているためです。
マガジンはグリップ内部にメカボックスを収納する関係で、割り箸のような細いデザインになっています。
そのためリアルさこそありませんが、予備のマガジンを持ち歩く場合でもかさばらないデザインになっています。
通常の40連マガジンのほかに別売で100連マガジンも発売しており、こちらはロングマガジン仕様であるM93Rが更に下方向に伸びます。
M93Rの特徴の一つでもあるフォアグリップは可動式です。
フォアグリップは金属製で、丈夫に作られています。
動作自体はしっかりしていて、展開時には「カコッ」と稼動します。
構え方としてはフォアグリップを握ったほうの手の親指を、トリガーガード前方に引っ掛けて使用します。
親指をひっかける関係もあり、M92よりもトリガーガード前部が大きめに作られているのもポイントです。
ブローバックしない電動ハンドガンのため、必要性を感じない場合には取り外して別売のレイルシステムを装備することも可能になっています。
ゲームで使う場合、どうしてもサプレッサーやドットサイトなどのオプションを装備したくなりますが、M93Rは箱出し状態ではそういった類のものはほとんど装備できません。
オプションパーツを使用する場合には、別売のM93R用のスライド一体型マウントレイルに交換する必要があります。
作動方式はセミオートと、フルオートの切り替え式になっています。
残念ながら3点バーストは再現されていません。
セレクターとセフティに関しては実銃と同じポジションになっており、実銃での3点バーストの位置がフルオートになっています。
注意点として、セフティをオンにしても、トリガー自体はロックされません。
HOPUPは調整式の可変HOPになっています。
調整方法はスライドを外して、銃本体左側にあるダイヤルを回し調整する方式になっています。
スライドを外した状態でも撃つ事自体は出来るため、調整がやりやすくなっています。
バッテリーはスライドを外して、バレル下の空間に滑り込ませるようにしてセットします。
今までのバッテリーと違いコネクタは無く、サイズも100円均一などで売られているライターより少し大きい程度と、非常にコンパクトになっています。
一方で装着方向に向きが指定されており、バッテリーにもそのように矢印が付いているため、しっかりと確認して装着する必要があります。
バッテリーについての注意点として、電動ハンドガンが発売された初期のバッテリーと、現在広く使用されているバッテリーでは、性能に大きな差がある点に注意が必要です。
以前のバッテリーは容量も少なく、満充電しても撃てるのは200~300発程度と、決して大容量と言えるようなものではありませんでした。
しかし、現在東京マルイから発売されている純正のバッテリーは7.2V 500mAのニッケル水素バッテリー(商品名は「7.2V 500mAhマイクロ500バッテリー」)に変更されています。
電動ハンドガン自体はどちらも使用可能になっていますが、充電器が専用にものになっているため注意する必要があります。
また、現在販売されているバッテリーのほうが容量が多いためより安定しています。
実射性能は電動ガンということもあり、悪くありません。
メカボックスがコンパクトにされていることもあり、長物と比べると少し初速が遅めかな?と思う部分もありますが、HOPの調整をしっかり行えば弾道もかなりフラットになります。
トリガーレスポンスも、旧来のバッテリーを使用していると少し遅れ気味で気になりましたが、現在の大容量バッテリーに変更してからはかなり速くなりました。
全体的に見るとサバイバルゲームで使う場合には季節に関係なく安定した性能を発揮できて、コンパクト、かつセミオートとフルオートの切り替えも可能でマガジンも比較的装弾数多め、マガジン自体はコンパクトでかさばらないとかなり便利なものに感じると思います。
サイドアームとしてだけでなく、インドア戦などではメインアームとしても十分使っていけるスペックがあると思いました。
一方でお座敷シューターの方からすると、固定スライドの電動ガンなので、少々物足りないように感じるかもしれません。