東京マルイから発売されている次世代電動ガンHK417 アーリーバリアントについてのレビューです。
モデルとなっているのは、H&K社が開発した自動小銃のHK417です。
今回マルイから発売されたものはアーリーバリアントの名称の通り、HK417の中でも初期型のものを再現したモデルになっています。
実銃のHK417は対テロ戦を想定しており、同社製の5.56x45mmNATO弾を使用していた、HK416よりも大口径な7.62x51mm弾を使用する銃として開発されました。
銃身長などで数種類のバリエーションが存在しており、CQBのような比較的近距離での使用から、狙撃まで対応可能になっています。
また、技術面においても冷間鋳造を採用したことにより銃身の寿命が延びた点や、保守性の高さ、HK416と同等の高い耐久性(1万発以上の射撃を行っても破損等が起きない)も特徴です。
また、ハンドガードには銃身と接していないフリーフローティング方式で取り付けされたレイルシステムが、上下左右4方向に装備されており、拡張性も非常に優秀です。
対応した各種オプションも充実しており、榴弾発射器や50連発のドラムマガジンが使用可能など、軽機関銃や分隊支援火器としても運用が可能など、高い対応力を持っています。
フルオート射撃機能をオミットし、セミオートのみにした民間向けのモデルも開発・販売されましたが、アメリカ国内では武器の輸出入に関する、国際的な規制などの関係や、民間用の小銃としては比較的高価な点などから、売れ行きに悩む結果になりました。
現在では、アメリカ国内向けの分は現地での製造を行う方針に切り替えており、最新の技術を採用した製品であることや、知名度の向上などもあり北米市場での人気が拡大、H&K社は問題点を解決したモデルを開発し、販売規模の拡大に努めています。
東京マルイから発売されているHK417 アーリーバリアントは次世代電動ガン共通のシステムである、シュート&リコイルエンジンによる射撃時のリコイル再現とオートストップ機能に加え、新しくサマリウムコバルトモーターというHK417以前の次世代電動ガンに使用されていたものとは違うモーターを採用しています。
HK417の特徴の一つでもあるサマリウムコバルトモーターはその名前の通り、磁石にサマリウムコバルト磁石を使用しています。
このサマリウムコバルト磁石は最強クラスの磁力を持つことで知られるネオジム磁石に次ぐ高い磁力を持っているほか、高温に対して強いという特性があります。
一方で高価な素材であるため、当モーターの単価も非常に高くなっています。
単価の高さという難点こそありますが、東京マルイが提示しているように従来型モーターの2倍近いトルクに加え、消費電力の低さ、高レスポンスなど、カスタムパーツメーカーが発売しているモーターに引けを取らない性能のモーターになっています。
余談ですが、現在は供給量などの関係から、まだ、このモーター単体での販売はしていません。
そのため、HK417の交換修理等のみに提供されていますが、今後供給がある程度安定してきた際には、他の次世代電動ガン用に単体での発売を検討しているとのことです。
外見的には全長921mm重量約4.5kgと非常に長く、重くなっているため、パッケージも1m近い長さと、本体のサイズ相応の大きさになっています。
レシーバーはダイキャスト製、エジェクションポートカバーは、実銃同様にプラ製のものになっています。
セレクターは左右どちらからでも操作可能なアンビタイプです。
その他にもレシーバー左側には次世代電動ガンの特徴である、オートストップ機能に関するものとして、ボルトキャッチが稼動します。
マガジン内に残弾が無くなった場合にメカボックスが自動停止、マグチェンジ後にボルトキャッチを操作することにより再び射撃可能になるという実銃同様の操作方法になっています。
チャージングハンドルを引くことにより、ボルトが後退、可変HOPの調整が可能です。
可変HOPがインナーバレルと同軸のダイヤル式になっています。
サイトはフロント、リアともにH&K社特有のものになっています。
リアサイトはドラム式で回転させることにより大まかな調整が可能になっています。
フロント・リアどちらもレイルに装備されているため、不要な場合には取り外し可能です。
マガジンは、内部をダミーカートで装飾した70発と20発の切り替え式、それに加えて600発の多弾マガジンの2種類があります。
70発と20発の切り替え方法は、マガジン底部の6角ネジを外し、マガジンの内部メカを取り出し、左側のダミーカートを取り外すことにより、スライドスイッチが現れるため、これを操作することにより、20発と70発の切り替えが可能になっています。
注意点として、HK416の5.56x45mmNATO弾のマガジンよりも大きいため、サイズが小さめなマガジンポーチを使用している場合には入らないことがあります。
パワーソースはバッテリーですが、次世代電動ガン専用のSOPMODバッテリーを使用します。
バッテリースペースはストック内部で、バットプレートを取り外し、内部に差し込む形になっています。
通常の電動ガンのようにコネクタを差し込んだりという手間がかからず、すぐに交換できる点は非常に便利な一方で、バッテリーの替えがあまり効かないなどのデメリットも存在します。
HK417の特徴の一つである、ハンドガードと触れないフリーフロート方式の銃身も再現されています。
その構造上仕方ないですが、アウターバレルを手でつまむと僅かにグラつきます。
フラッシュハイダーは14ミリの逆ネジになっているため、取り外して各種サプレッサーの使用が可能になっているほか、アウターバレル自体をガスブロック前方付近から、取り外すことも可能なため、そこからサプレッサーを装備することにより短くすることも可能になっています。
ハンドガードとレシーバーにはレイルが装備されており、各種オプションが装備可能です。
レシーバーとハンドガード上部のレイルは一体型でこそありませんが、しっかりと固定されているため、持ったときにグラつくということはありません。
ストックはスライドストックが標準で装備されており、5段階での調整が可能です。
ストック後部にスリングを装備するためのスイベルが左右に存在しますが、一方でフロント周辺などにはスイベルが存在しないため、そのままではスリングを使用する事が難しくなっています。
使用する場合にはバイポッドなどに付いているスイベルを利用すれば、スリングを使うことが出来ます。
全体的な使用感・実射感ですが、本体重量が4.5kgという割には構えてみると、重く感じません。
ですが、光学オプションなどを装備した場合にはやはり5kgを超えてくることが多いため、それなりの重量を感じます。
特に長い銃身と高いレスポンスを生かした、セミオートによる狙撃を行うスタイルをとる場合などには、スコープに加え、バイポッドなども装備するため、更に重量は重くなるかと思います。
また、全体的な大きさもHK416などと比べても大柄になっているため、壁にぶつけたり草木に引っ掛けるといったことが無いよう気をつける必要があります。
次世代電動ガンは通常の電動ガンと比べると全体的に頑丈に作られていますが、それでも不意に力を加えてしまった場合などにどのような変化が起きるか分からないため、注意する必要があります。
前述した通り、アウターバレルがフリーフロートになっている点もあるため、通常の電動ガン以上に注意したほうがいいかもしれません。
実射性能については初速自体は、一般的な次世代電動ガンとの差はありません。
しかし、前述した新型モーターの性能もあり、かなりキレがよくなっています。
特にセミオート時のトリガーレスポンスはかなり良くなっています。
また、シュート&リコイルエンジンによりリコイルが発生する本モデルですが、弾道は非常に安定しており、フルオートでもかなりの命中精度です。
東京マルイ製電動ガンの中でも最高額という本体単価の高さが気になりますがセミオート、フルオートともに精度が良く、トリガーのキレも良い点など、値段に見合った本体の性能だと感じました。
HK417を使用する際の注意点として、モーターの磁石が非常に強いため、グリップを握る手に腕時計などをしていると壊れてしまう可能性があります。
通常の次世代電動ガンでも注意すべき点としてよく挙げられていますが、HK417ではグリップ超しでもレンチやドライバーがぶら下がるほど強力な磁石になっているため、一層の注意が必要です。