KSCのSTIシリーズは、長らくレースメカバージョンという機構を採用していたが、ようやくSTIシリーズも、同社の他のシリーズに採用しているsystem7に移行しました。
私は長らく、シューティングマッチにKSCの旧型STIを使ってきたのですが、同じくシューティングマッチでの愛用者の多い1911シリーズの東京マルイのハイキャパシリーズに、色々と劣る部分があったので、実際に購入して新旧を比較してみた。
まずは外見からチェックすると、従来のKSC製品らしい造形は変わらず、しっかりとエッジの効いたスライドや、米国STI社から供給されているというグリップといい、飾って眺めても良い出来となっています。
その中でも、焼結金属で作られているハンマーの造形と質感は突筆もので、エッジが効いた造りは、これまでのサードパーティーのステンレス製よりもいい感じ。
さらに、マグウェルが標準装備されたことも嬉しい。
以前のモデルに、実銃用のマグウェルを装着していたのですが、それだけで70$ほどしたことを考えると、とてもお買い得になっています。
しかも、本家のSTIの純正よりも造りもいい。
ただし実銃用はアルミ製ですが、こちらは亜鉛ダイキャストなので、レースガンとしては重量の点で不利、リアル志向の人にとっては重量増もむしろ嬉しいかもしれません。
スライドとフレームのクリアランスも旧型よりもタイトで、実射における精度にも貢献しているだろう。
内部構造は、従来亜鉛のダイキャストで造られていたハンマー&シアーグループの部品が焼結金属で造られ、トリガーバーは焼入れと、末端の溶接処理をされたことで、切れのいいトリガープルを実現しています。
これは、従来のSTIを競技に使用するにあたって、ハンマーをステンレス削り出しに交換し、実銃のトリガー&トリガーバーを組み込んでいた自分のレースガンに比べても、箱出しの新型の方が切れがいい。
どうしてもっと早くこうしてくれなかったのだろうと思うくらい。
もう一つ、旧型の欠点として、スライドストップが掛かるスライドの切り欠きがめくれてしまうという欠点があったのですが、これはスライドの切り欠き内部に、スチールプレートをインサートするという設計で改良したもの。
ただ、ネットではやはり破損するという報告が散見されるが、自分は旧型でスライドストップをかけないように運用していますので、この点は特に問題にならない。
マガジンもsystem7移行に伴って全く新しい設計になり、従来品との互換性は無い。
旧型ではバルブを解放するためにプレートを介していたのですが、これの調整が厄介で、マガジンごとに作動が異なるという問題があったが、それも払拭された。
ホップアップ機構も改良されており、より調整が楽で、安定した弾道を実現しているようだ。
実射してみると、旧型に比べはるかに小気味良いレスポンスで動作し、スライドの動きも十分に速い。
これなら東京マルイのハイキャパに比べても遜色ないレベル、精度もスティールチャレンジなどの競技に使うには、特に精度を上げるためのカスタムをする必要を感じないレベルです。
具体的には5mでのグルーピングは3cm程度。
実戦で使用するにあたって、旧型で問題だったのは、ホルスターからのドロウで、1秒を切るくらいで初弾を放つと生ガスを吹いて、最悪作動不良を起こす事だった。
気温が低い時など、そのまま生ガスを吹き出し続けて、次弾以降、発射不能に陥るという致命的な欠陥があった為、あえて初弾を遅くしなければならないという、レースガンとしては落第な機械だったが、新型では初弾で生ガスを吹いても、その後も支障なく撃つことができます。
実際のレースでは、ブザーが鳴ってから5枚のプレートを3秒以内にヒットするような使い方をするのだから、抜いてからストッププレートを撃つまで、安定して作動するということが何よりも重要で、その点、箱出しで調整やチューニングをほとんど必要としない出来栄えば、レースガンとして十分使えるレベルに達しています。
KSCの製品は、元々そのディテールの良さでは定評があるのだが、実射性能では、内部機構を作動優先でデフォルメしてデザインされた、東京マルイやウエスタンアームズに一歩及ばない印象だったが、ここに至って、持って良し、眺めて良し、撃って良しの三拍子揃ったエアソフトガンに進化したと思う。
とはいうものの、やはりレースガンとして、箱出しのままというわけにはいかない。
やはり、現在のエアソフトガンのスピード競技では、光学サイト、いわゆるダットサイトの使用が必須となっています。
これは通常のオープンサイトでは、フロントとリアのサイト、そしてターゲットの三点を合わせなければならないのに比べ、サイト内に点灯する点とターゲットの2点を合わせれば良いという照準の容易さから使用者が多い。
100分の一秒を競う中でのわずかな差は可能な限り詰めたい。
そうなると参加者の装備はどれも似たようなものになっていくわけですが、そこで、現在KSCでは販売されていないようで、旧型のイーグル5.5ハイブリッドのオプションとして売られていた光学サイトのマウントを取り付けるために、フレームに穴空けとタッピングの加工を施し、ダットサイトを装着します。
選んだサイトはギルモアのRED LEADER。
六角形の銅鏡が特徴的で、一時期、実銃のレースの世界でも愛用者が多かったモデルだ。ちなみに国内では販売していない。
このサイトは、ダットの光量はもちろん調整式ですが、最大光量にした時には、晴天の屋外でもはっきりと見えるほど明るい。
C-MORAやTASCOの製品もそうですが、安いものの中には光量が足りず、サイティング出来ないような製品も散見されるので注意が必要です。
しかし、現状、国内のシューティングマッチは屋内で行われているので、さほど問題にならないのかもしれない。
上記のように、ダットサイトもピンからキリまで販売されているが、これもいざスイッチを入れても点灯しないなどのトラブルが起きるようだと使い物にならないので、やはり信頼できるものを選ぶことが重要です。
ただ、エアソフトガンは射距離が5m前後と短いので、光学サイトのマウントが高いと、照準と弾道のズレがわずかな距離の差でも大きくなってしまうという欠点があります。
現状では4mでセンターをヒットするようにゼロインおり、できれば最近流行っているC-MOREを横向きに搭載するような方法の方が理にかなっているのだろう。
とりあえず現状ではダットサイトを乗せただけなのですが、さらにハンマーやトリガー、ディスコネクターなどの接触面をポリッシュすることで、さらにトリガープルを改善することができるので、実施したいところです。
やる人は、作動する全ての部分を鏡面加工するなど、実に徹底しています。
ガンの善し悪しだけで勝てるわけではないのですが、腕が同じなら、より良い道具を手にした方に分があるのは自明の理でしょう。
せっかくなので使用しているホルスターも紹介します。
はじめはサファリランドの012というモデルを使用していたのですが、ホルスターにガンを挿す時に、なんというか角度や位置が狭く、気を遣わないとガンを落としてしまいそうな不安があった。
抜く時も、トリガーガードをタイトにロックするような構造なので、割と力を入れてスパッと抜かなければならない。
どうにも感覚的に馴染めなかったのですが、国内で流通しているレースホルスターは種類も限られているし、片っぱしから買って試すには価格も高い。
そんな中、ある時ヤフオクでビアンキのヘミスフィアという古いレースホルスターが売られているのを見つけて落札しました。
使ってみるとこれがなんとも変わった使用感だった。
まず、ヘミスフィアのネーミングの元となっただろうその構造が変わっています。
角度の調整がボールジョイントのようになっていて、調整の自由度が高い。
もう一つ、ガンをホールドする構造が、トリガーガードをロックするのはサファリランドと同じで、サファリが「カキン」っといった感じで外れるのですが、ビアンキは「ヌル」っといった感じで抜けます。
この感覚が気に入って、それからビアンキのホルスターを愛用しています。
シューティングマッチに参加する前提で、レースガンとしてのSTI EDGEとダットサイト、ホルスターのレビューです。