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自衛隊の迷彩から始まる昔話

富士総合火力演習 2014 (Fuji Firepower Review 2014)

昔の自衛隊の迷彩服は迷彩服1型、通称「熊笹迷彩」だった。

1970年代初期に採用されたうすい青緑と茶色と緑色を使用したこの迷彩は、笹の中では非常に効果を発揮したが、それ以外では非常に目立つ、そもそも北海道以外では熊笹はそんなに多くもない。

つまり自衛隊の想定している有事は、熊笹の多い北海道を前提としていたのだ。

自衛隊には仮想敵国はいないことになっているが、ソ連を想定していたのだろう、もちろん今でもロシアの脅威がなくなったわけではない、相変わらず北方領土はロシアに実効支配されたままだ。

しかしソ連は解体され、相対的に重要度が増したのは特定アジアと言われる極東三国に対する脅威だと言える。

中共の台頭と尖閣諸島領有権の問題化、北朝鮮の拉致問題やミサイル騒動、韓国による竹島の不法占拠や反日運動の活発化など、北海道以外での有事が想定されたことと、北海道以外では非常に目立つことや、洗濯を繰り返すと迷彩効果が薄れる欠点などが有り、1992年に新型の迷彩である迷彩服2型、通称「新迷彩」が採用された。

これは日本の植生をパターン化したもので、日本国土の自然の色、つまり「日本の色」である。

迷彩服は想定する戦場に合わせた色になるのが普通なので、どんなところに溶け込むつもりなのか、想像しながら各国の迷彩服を見比べると中々楽しい。

専守防衛を任務とする自衛隊の想定するのは、日本国内だから迷彩も日本国内で最も効果を発揮するパターンが採用されている。

あちこちに出張って行く米軍を除けば、主に自国防衛が主任務の各国軍の迷彩は、その国や地域の自然の色だと言えるだろう。

充分に効果が発揮された迷彩は、写真で見てもしばらく悩むくらいどこにいるのかさっぱりわからないが、未だ近代化されていないか充分に予算が確保できていない一部の国では、妙に目立ちそうなものもある。

イラク派遣の際には迷彩服2型を改良した防暑服4型を着用したが、乾燥した砂地の多いイラク・サマーワの黄土色中心の景色の中、都会で熊笹迷彩が目立つのと同じで、非常に目立った。

胸と頭に付けた的のような日の丸と合わせて、そんなに目立つ格好でお前らは死ぬ気かとも言われたが、日本の部隊だと強調すると同時に、緑は現地では高貴な色とされると言う理由であえて選択された。

日本の瑞々しい自然を切り取ったような自衛隊の緑の迷彩は、現地の人達には眩しく映っただろう。

自衛隊員の努力と各国の協力に加え、現地住民の支援により自衛隊員は任務を全うし、現地アンケートの結果も上々だったようだ。

自衛隊支援デモや、感謝デモなる謎のデモが発生したのも有名だ。

最近では御嶽山における噴火に係る災害派遣では、火山灰でグレー一色に染まり荒涼とした御嶽山に緑の迷彩服が頼もしく映ったものだ。

On the slopes of Mt. Ontake

By: Nikita

しかし、この日本の色と言える迷彩の色が嫌いで嫌いで仕方ないという人もいる。

よっぽど日本自体が嫌いなのか、戦争映画の見過ぎで迷彩=戦争と想像が直結してしまう人なのか、不思議なものだが、なぜか行動力があり声が大きいのがこの手の人だ。

今でも何かあるたびに抗議行動に勤しんでいる。

東日本大震災における災害派遣での自衛隊の大活躍で最近は声が小さくなったものの、昔はそう言う人の声が大きく自衛隊側も気を使っていた。

新迷彩が行き渡っていないのもあっただろうが、迷彩服を着用するのは特別な訓練時のみ、普段はOD色一色の65式作業服を着用することが多かった。

また制服で通勤するのはお迎えの車がある連隊長くらいのもので、通勤時は私服で駐屯地についてから着替える人が多かった。

如何ともし難い理由で制服で電車に乗らなくてはいけない時は非常に気を使ったと言う。

駅員と間違えて道を聞いたこともある中部地方民としては、名鉄の制服と大差ないので気にしなくていいと思うのだが、そんな時代もあった。

迷彩服で通勤する隊員もいる現在とは、隔世の感がある。

そんな昔、関東地方の某駐屯地にちょいちょいお邪魔していた時は、迷彩服を着用していた隊員を見たことはなくOD作業服ばかりだった、あとはジャー戦か制服くらいか。

ジャー戦とはジャージのズボン&作業服の上、作業服のスソはワイシャツと同じで、ふんわりカーブしているので、もちろんイントゥーズボンで・・・正直ダサいが、最近のジャー戦はジャージ+迷彩服で裾は出すので、なかなかカッコイイ。

迷彩服でないと迷彩効果はないかと言うとその限りではなく、この作業服はOD一色だが意外と暗闇に紛れるもので、広い駐屯地の街灯が少ないところでは、数メートル先を歩く隊員の姿が暗闇に溶けてしまって、目を擦ることもあり意外と迷彩度?は高い。

夜の田舎道をあの服で歩いていたら気付かずに轢く自信がある。

しかし新迷彩は昼間でも田舎だと気付かず轢きそうなので、迷彩服で通勤する隊員の皆様には充分に気をつけていただきたいと切に願う。

ピシっとアイロンのかかった作業服は中々に格好いいものだが、隊員が要求される精度は磨いた半長靴に顔を写してズボンでヒゲを剃れと言われるくらい厳しいもので、自衛隊員はみな無駄にアイロン掛けがうまい

今では新迷彩での作業が当たり前になり、姿を消してしまった旧迷彩服とOD作業服だがマニアには根強い人気があり、サバイバルゲームのフィールドでは全身を旧迷彩装備やOD作業服に包んだ気合の入ったプレーヤーもいる。

最近では某スナイパー映画の影響で米軍の旧型迷彩の人気も高いが、スナイパーと言えば・・・緑のム◯クことギリースーツだろう。

フサフサ&モフモフでフィールドのゆるキャラの地位を独占するギリースーツは・保温性の高さから特に冬場におすすめだ。

逆に言うと夏場はヤバイ、そして抜け毛もヤバイ。

自衛隊の偽装は一部で世界一と言われる程評価が高い。さすがニンジャの末裔?と言うことだろうか、海外からの評判も上々らしい。

モフモフギリースーツを始め、自生する植物で偽装された隊員や車両は、広報イベントや演習の一般公開における、ゆるキャラ担当と言える。

モフモフモードでない時の車両も被服と同じように、OD単色の塗装から茶色とODや黒を使用した迷彩柄の塗装が施されたものが多くなった。

しかし、主に後方支援に用いられるトラックや自衛隊の最高機密ともいえる野外炊具などは、OD単色のままなので少々心配ではある。

航空機にも迷彩は施される。

主に陸上で活動する陸上自衛隊の航空機は、車両と同じ迷彩色が施されている。

海上自衛隊の航空機は明灰色単色の低視認性塗装や、全面青灰色迷彩で洋上での低視認性を重視している。

救難機では海上自衛隊、航空自衛隊とも救難用に白とオレンジ等の視認性の高い塗装が施されていたが、一部を除き順次ダークブルーの洋上迷彩塗装に切り替えられた。

戦闘機には空中や駐機中に効果を発揮するグレー塗装、偵察時に低空飛行するRF-4には森林迷彩、対艦番長F-2には洋上迷彩と役割に応じた迷彩が施されている。

状況に合わせた迷彩は被服にもあり、冬物の防寒具にはより暗い色の秋冬迷彩が施されており、枯れ草や落ち葉によく馴染む色が採用されている他、積雪の中では真っ白な冬季迷彩が威力を発揮する。

有名な?冬季戦技教育隊では装備だけでなく、戦技も研究されており雪中戦では他国をしのぎ世界でも屈指のレベルだと言われている。

意外にも積雪記録や降雪記録の上位に、日本の各地方がひしめいていることを考えると納得できる気もするが、雪国でないとお目にかかることのないレア装備と言える。

従来の迷彩は目視での戦闘を想定した迷彩だが、現代戦では目視以上にレーダーに対する迷彩、ステルス性が重視されており、現在調達が予定されているF-35や近代のステルス性を付与された護衛艦などは、形状が迷彩と言って良いかもしれない。

日本の職人技が光る電波を吸収する塗料や、赤外線反射が抑えられた生地なども迷彩の一種と言える。

変わったところでは潜水艦における静音性も強引に言えば迷彩の一種と言えるだろうか。

これも日本は世界のトップと言っていいだろう。

数々の都市伝説のような伝説を残す日本の潜水艦だが、これも職人技に支えられた静音性に海水を偽装として装備した潜水艦は、まさに最強のステルス艦と言えるだろう。

艦には二種類しかない、潜水艦と潜水艦に沈められる艦だけだと言う言葉にも納得だ。

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