アウトドアのシチュエーションが特にあるわけでなくとも、時にツールが必要になる、そんな日常的な工作に便利なアイテムとしては、ナイフ単体よりも、いわゆる十得ナイフとも呼ばれるマルチツールがおすすめです。
日常的なシチュエーションで必要になる場面とはどんな時か。
実際に使用頻度が高いと思われる状況を思い起こして見ると、針金をねじる時、ヒートン(いわゆるハテナ形のねじフック)をしめる時にプライヤーがあって重宝したことがあります。
また、コンセントタップをはずす時にプラスドライバーがあって助かりました。また額縁の裏板を開ける時など、狭い隙間にねじ込む必要があるときにマイナスドライバーをよく使います。
こうしてみると、手元にツールを用意していなく、緊急で必要になる場面というのは、実際は用途は限定的であることがわかります。
限定的な用途ならば、本格的なツールを重い思いをして持ち歩くよりも、いつでも身につけていられるような用途を絞った軽いツールを携帯しておくほうが賢いといえるでしょう。
そのような、日常生活に特化したマルチツールというと、まず思い起こされるのはレザーマンの商品です。
しかし、レザーマンは造りがしっかりしていて、本格的な使用に耐えるグレードであるからこそ、逆に常に携行するツールとしてはやや重く大きめです。
そこで私の場合は、常に作業に持ち出す「七つ道具入れ」でレザーマンを持ち歩き、いっぽうキーホルダーがわりにガーバーを持ち歩いています。
実際はキー類はナスカンで常にズボンにつけて、ガーバーはミニLEDライトに結びつけて携行しています。
ガーバーは、本来はナイフのメーカーとして知られていますが、マルチツールもたくさんのバリエーションをつくっています。
レザーマンとくらべると構造がシンプルで、その分レザーマンよりお安いという傾向があります。しかし安くても頑強さや品質には定評があり、特に携行使用を前提にした小さなサイズのミニツールは高い人気があるようです。
そのガバーのツールの中でも、必要なツールをコンパクトに収納した無駄のないモデルとして定評があるのがクラッチのシリーズです。色が何色かあるようですが、私はレッドを使っています。
キーホルダーがわりに使えるマイクロサイズだからこそ、ちょっと使ったりした後などには、ついどこかに行ってしまいそうになるので、あえて目立つ色を選んだのです。
まず、ガバーのクラッチの素晴らしいところは、これだけ小さいサイズの中に、本当に必要なものを厳選し、最小限におさえて完成していることです。
それだけ構造が複雑にならず、造りがしっかりしていることを意味するのです。
ただし、いうまでもなく本格的な作業をするには、レザーマンか専用の道具が必要になることは少なくありません。
あくまでもガバーは、ちょっとした応急処置的な作業で大活躍する道具なのです。それでも、これを常に持ち歩くことで得たれる精神的な安心感は、じつに大きなものです。
文:mighkm