最近、ミリタリーにハマる女性が急増しているとのことで、筆者の身の周りにはRPG-7やAT4がどういう武器かを理解している人が、意外とたくさん存在します。
しかし彼女らの大半は純粋にミリタリーが好きというよりも「アニメに出てきた武器が好き」という人たちなので、実際にそれらがどういう国で開発されたどういう武器なのか・・・といった話題を振ると、頭を抱えて考えこんでしまいます。
そして彼女たちは、「きっとC-4爆薬は日本の武器なんじゃないか」とか「RPG-7はまどかマギカというアニメで女の子が使っていたはずだから、きっと日本にある、日本が開発した武器なんだろう」などと言うのですが、それらは勿論違いますし、RPG-7にいたっては共産圏にしかない武器なのです。
私も気になって、まどかマギカというアニメを一話から最終話まで見てみたのですが、たしかにRPG-7を自衛隊の武器庫のようなところから持ち出す(盗む)ような描写があり、日本にない武器が日本に大量にあるかのような勘違いをしてしまうのも、しょうがないような描き方をされていました。
通して見てしまったので、このアニメに関しては一夜漬けの知識しかないのですが、恐らくアニメーターや監督、脚本の人たちが「日本にもこういう武器があるのだろう」といった風に思い込んでいて、そのままRPG-7であったり、AT4であたりを描いたのでは、と私は考えたのでした。
しかし、RPG-7は共産圏にしかない武器というのは本当ですが、まどか達が使っているのが「コピー品である」という見方もできなくはありません。
たとえば、RPG-7という武器はもともとロシアで開発され、ロシアの軍で普及されていた武器なのですが、この武器は「同盟国であればライセンス料は取らない」といったある種「良心的」とも言える武器であり、共産圏や、同盟国であったりすると「使って良いよ、作れるなら同じのを作っていいよ」という風になっていたのです。
つまり、もしかすると、ロシアまでは行かなくても「ロシアの同盟国(などの共産圏)」で入手したかもしれませんし、必ずしも、ロシアで入手したとは限りません。
また、RPG-7のコピー品はアメリカにあるようなので、まどかマギカのキャラクターが、わざわざアメリカまで行き、軍の武器庫からRPG-7のコピー品を盗んだ、といった可能性も考えられるのです。
私が見た限りでは、アメリカに行ってないようだし、国内で色々な武器を入手しているように感じたのですが、そもそも、まどかマギカの世界というのは架空の世界。
もしかすると、共産圏に組み込まれつつある日本の物語という裏設定かもしれませんし、であれば国内でRPG-7が手に入るのも納得できます。
ちなみに、RPG-7という武器もやはり重たく、少女が扱うには向かない武器です。
武器自体、少女が扱うことを想定してないので、ほとんどの場合重たく、硬くできていますし、アニメーションの世界で見たときのように、銃がパンパンと撃てるわけではありません。
といったことを周囲の「アニメファン」に教えるとガッカリした顔をされるのですが、やはり本来武器というのはRPG-7に限らず女性に似合わないものですし、アニメーションの中でおこなわれているような使い方などは「本来の使い方」とは外れた使い方ということになるのです。
元自衛隊にいた知人男性も、同じアニメを見た感想として「自衛隊にない武器を自衛隊らしき所から盗んでいる描写が気になった」とこぼしていましたし、やはり、ある程度の知識を持つ人が見ると、このアニメの矛盾点というのはかなり気になってしまうようでした。
ただ、私が個人的に「もしかしてこういうことなのではないか」と仮定した説もあり、あのアニメの中に出てくるRPG-7がもし「武器商人が密輸入したもの」であるならば、納得がいくといえば納得がいきます。
この説は、かなり無理矢理考えた苦肉の策のようなものなので、アニメのファンに言うと「それはないよ」と言われそうではあるのですが、武器商人が密輸入したものがたまたま「自衛隊の倉庫のような場所」にあったと考えればつじつまは通るので、もし今後、アニメ制作者の方々が「武器の入手方法」の裏付けに悩むようなことがあるのであれば、上記の理由を裏付けとしてみてほしいなと思いました。
最近では年端もいかない女の子が、RPG-7を扱ったり、普通のどこにでもいるような女学生が、海上カタパルトから出てきたりといった「無理のあるアニメ」が流行っているようなのですが、もしかしたら「現実にはこんなことはありえない」などと考えてしまうのは、頭の硬い証拠かもしれません。
メタルギアソリッドのような作品の場合は、監修もきちんとしているのか、ほぼ矛盾がないように色々な裏付けがされているのですが、すべての作品がメタルギアソリッドのように上手に、矛盾なく作られるわけではありません。
そもそも、アニメーションにはまり、その影響でRPG-7やAT4、さらにはコルトパイソンや、モーゼル(エヴァンゲリオンでおなじみ)の魅力が分かるようになってしまった人たちの大半は「見た目の格好良さ」から入ってしまいますし、武器のフォルムにばかり目がいってしまい「中身」にはなかなか目が向かないとのこと。
自分のようなミリタリーファンからすると、少し淋しい話ですが、そういった人たちに「RPG-7は共産圏でしか手に入らない武器だ」などと言ってもビックリされたり首を傾げられてしまったりするだけなので、最近では気になる点があってもあえて口を紡ぐようしてます。
ちなみに、まどかマギカに出てきたデザートイーグルという拳銃はイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ社と、マグナムリサーチ社が協力して生産している自動拳銃であり、基本的にアメリカなどで手に入る武器です。
AT-4は無反動砲なので女の子でも多少、扱い易いかもしれませんが、スウェーデンのサーブAB社の開発した武器なので、やはりこちらも国内での入手は困難かなという感じ。
また、ハープーンを用意する場面もあったのですが、ハープーンは日本でも開発されています。
そもそも、日本にもあるというだけで「対艦ミサイル」なので「少女がハープーンをいったいどのように運ぶのか」と思ってしまいますが、ハープーンであれば日本国内でも入手できるといえば入手できるので、多少は入手するにあたって矛盾がないと言える武器もあるということになります。
無反動砲などはその名の通り、反動があまりないので、女の子でもギリギリ使えそうですし、「無理」をすれば上記の武器はすべて持ち出すことができるのだと思いますし、女の子でも使う方法はあるかもしれません。
使えるということと、使いこなせるのはまた別なので、わたしなどは、まどかマギカのキャラクターが、デザートイーグルを軽々と撃っている場面を見ただけで、違和感を覚えてしまいます。
アニメの場合は「違和感やギャップがあるからこそ楽しめる」という所があるので、今後は女の子の前でうんちくを語るのは控えようと思っていますし、「その知識がほしい」と思う人にだけこういった場で語ることができれば、という気持ちです。
ちなみに私はやはり、裏付けがしっかりしている、リアルな作品に惹かれます。