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ウエスタンアームズ ベレッタ M92FS ダイハードタイプ レビュー

ウエスタンアームズ(以下WA)が展開するムービーガンシリーズの中から、なかなかに見事なガスブローバック「ベレッタM92FSダイハード・タイプ/バトルダメージフィニッシュ」を紹介する。

ハリウッドの人気アクションムービー『ダイ・ハード』の劇中で、ブルース・ウィリス演じる主人公ジョン・マクレーン刑事が使用するベレッタM92FSをモデルアップしたものだ。

ベレッタM92FSといえばアメリカ軍の制式拳銃であり、アメリカ以外でも多くの国々の軍や警察機関において採用されている名銃。

代表的な例としてはフランス軍がライセンス契約しているフランス版M92FSであるPAMAS-G1が有名だ。

このように世界中の公的機関で採用されていることから、アメリカなどでは民間市場でも人気機種として多く流通しており、また、映画やドラマなどでもたびたび登場する。

さて、今回ご紹介するガスブロモデルは、WAの専売特許ともいえるカーボンブラックヘビーウェイト樹脂をスライド部分に使用したタイプのものだ。

同じベレッタモデルのM8045クーガーではスライドはまったく加工されておらず、カーボンブラックヘビーウェイト樹脂がむき出しの状態だった。

が、こちらのM92FSダイハード・タイプは「バトルダメージフィニッシュ」と銘打たれており、樹脂表面に加工が施されている。

どのような加工が施されているかというと、その名のとおり戦闘のなかで駆使され傷だらけになったかのような中古加工である。

加工はスライド部分だけでなく、フレーム、アウターバレル、ダイキャスト製の外装系パーツにまで及ぶが、塗装はされていない。

表面を丁寧に研磨処理したのちブルーイング液で黒染めをし、さらにポリッシュにてエイジング処理(これにより中古感が出る)が施されているのだそうだ。

これらの工程を、WAの専任クラフトマンが1丁1丁手作業でおこなっている。

まるで高価な楽器や工芸品を作るようで、なんとも贅沢な感じがする。

WAの多くの製品が少量限定カスタムとして販売されているのも、なるほど肯ける気がする。

このバトルダメージフィニッシュ、製品を実際に手に取ってみると、思わず溜息がもれてしまうほどだ。

まったくすばらしいウェザリングだ。

傷がついたり擦れたりして表面の黒染めが剥げ、地金がむき出しになった状態がうまく表現されている。

丸みのある部分はそうでもないが、角のある部分、パーツ類などは中古感が見事に出ていて、本物の使い古された金属かと錯覚してしまうほどだ。

実際の戦場がどのようなものかは平和な社会に生きる我々には想像もできないが、この銃を手にすると、ひょっとすると、たび重なる戦禍に打ちひしがれた兵士になりきってしまえるかもしれない。

それくらいリアルに作られたガスブロモデルなのだ。

さらにリアル感を与えているポイントとして重量が挙げられる、この銃、なんと1kgを超えているのだ。

実銃のM92FSがたしか1kgに満たなかったはずだから、それに9ミリパラベラム弾を数発装填したくらいの重さはあると思われる。

トイガンというものがどんどん進化してきている昨今、外観やメカよりも銃本体の重さを重要視するフリークたちは多くいると思う(私もそのひとりだ)

実際に銃を構えたとき、ホルスターから吊り下げたとき、銃本体の重さが実銃に近いものだと、それだけで「なりきって」しまえるのだ。

銃をデスクの上に置いたときのゴツンという重たい音などもそうで、トイガンフリークたちはつい舞い上がってしまうものなのだ。

我が国においてトイガンが進化し続けているのは、たしかにサバイバルゲームでの利用価値を求める面もあるだろうが、やはり実銃に対する憧れがひとつの大きな動機となっていると私は思う。

次にメカについて少し解説してみようと思い、まずはスライドをオープンしてみた。

ここちよい音を立ててスライドバックする。

大胆にカットされたスライドからアウターバレルが覗いている流麗ともいえるイタリアンデザイン、このデザインが好きでベレッタファンになった人も多いことだろう。

ハンマーを起こす。おなじみのダブルアクション。

セイフティレバーにはデコッキング機能が付いていて、ハンマーが起きている状態でレバーを下げるとハンマーが落ちる。

ハーフコックの位置からでもハンマーを落とすことができる。

セイフティレバーはアンビタイプになっていて、左右どちら側からでも操作できるようになっている。

よく見るとハンマーにもスライドなどと同じ具合にエイジング処理が施されており、WAの作業は非常に細かく丁寧だと感心させられる。

もちろんフレーム全体のパーティングラインもきれいに消されてあり、単一の型枠から作られているかのように見える。

ここまで見たところで何か解説しなければと思ったのだが、これといって特筆すべき箇所が見当たらないのだ。

だが誤解しないでいただきたい。

決してこの銃が平凡だとか、他者より劣っているとかいう意味ではない。

要するに完成されているのだ。

じつは今から20年くらい前のWAのガスブロは、もっと欠点だらけだった。

ちょうどマグナブローバックシステムで、トイガン市場を席巻しはじめたばかりの頃だった。

たしかにこのシステムは多くのガスブロファンを驚かせ、市場を活気づけるカンフル剤にもなったと思う。

だが言い方は悪いが、当時のWAにはこのマグナブローバックしかなかったのだ。

可変ホップはいくら調整しても弾道がうまく定まらなかったし、マガジンのガス漏れもよくあった。

ブローバックスピード、リコイルの強さに関しては他社と比較して抜きん出ていたと思うが、それ以外の面、外観や細かなメカニズムに関しては平凡だったのだ。

それが少しずつ改良を重ねてようやく現在のような状態にまでなったわけだ。

とくにこのベレッタM92FSについては、スーパーバージョン、スーパーバージョンR、そして現在のパーフェクトバージョンへと、何度も改良を加えながら進化していった。

いま、WAのM92FSは円熟の境に入ったのではないだろうか。

決してこれ以上進化しないと言っているわけではなく、ひとつの完成形に到達したのだと、私は思うのだ。

だからこの銃については、あえてこまごまと解説する必要はないと思ったのだ。

ただ手に取って、撃ってみればいい。

それですべてわかる。

では、気温20度の室内。ホップ調節せずに実際に射撃してみた感想を書いてみたいと思う。

かなり快調に作動してくれた。

マガジンのガス供給も安定していて、装弾数いっぱいの25発を続けざまに撃っても、いちどもジャムすることはなかった。

マガジンというのは個体差があるものだから、動きが安定しないことでその銃のイメージまで悪くとらえてしまってはいけない。

快調に動いてくれれば言うことないが、少々不安定でもあまり気にしないことだ。

トイガンであろうと実銃であろうと、銃とはそういうものなのだと思ったほうがいい。

私は運よくいいマガジンにあたったようだ。

室温が20度を下回っても相変わらず安定した動きを見せ、集弾性もなかなかのものだった。

7メートルの距離からペーパーターゲットに向かって撃ってみたのだが、弾道が大きく逸れることはまったくなかった。

この銃は可変ホップ式になっているが、私は基本的にホップ調節はしない、箱出し状態でもじゅうぶん使えるからだ。

ゲームで使用するうえでどうしても微調整が必要になることはあると思うが、そうでなければホップをいじる必要はない。

たいてい工場出荷時にバランスのよい状態に調節されているのだから。

ブローバックスピード、リコイルの強さに関しては圧倒的なものは感じられなかったが、不満もなかった。

たしかに同じWAのM8045クーガーや東京マルイのXDM-40などと比べると劣りはするが、多くのガスブロの中で見ても平均かそれ以上のパワーを持っていると思うが、それでじゅうぶんではないだろうか。

バトルダメージフィニッシュによる傷だらけの鉄肌と1kgを超える重量により限りなく実銃に近いリアルさを追求し、そこに長年にわたり改良を重ねてきた信頼のマグナブローバックシステムが搭載されている本器。

トイガンフリークの欲求を確実に満たしてくれることはまちがいない。

WAの「ベレッタM92FSダイハード・タイプ/バトルダメージフィニッシュ」、ぜひいちど手にしていただきたいと思う。

 最後に、同じカーボンブラックヘビーウェイト樹脂製のもので、仕様のちがうタイプのものがWAから販売されているので、それもあわせてお伝えしておく。

ひとつは「リアルスチール・フィニッシュ」と呼ばれるもので、バトルダメージとはちがい美品の状態での鉄肌を表現したタイプである。

使い込まれて傷を負ったようなエイジング処理はされておらず、まっさらな金属のような表情を楽しめるというものだ。

さらにもうひとつ、こちらは「NEWバトルダメージフィニッシュ」と呼ぶそうで、カーボンブラックヘビーウェイト樹脂の表面を複数回にわけ焼付け塗装したのち、ポリッシュした仕様になる。

そうすることで表面のコーティングが剥がれ落ち、所どころ地金がむき出しになる。

普通のバトルダメージフィニッシュとは、またひと味ちがったコントラストが生まれるのだそうだ。

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