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ウエスタンアームズ ベレッタ M1934 リアルスチール レビュー

「小さなボディに凝縮された、究極のリアリティ」

こんなキャッチコピーとともにウエスタンアームズ(以下、WA)から発売されたのが、『ベレッタM1934/リアルスチール』です。

このM1934は、これまでにも何度かバージョンちがいで、WAから発売されていました。

今回ご紹介するのは、その中の「リアルスチール・フィニッシュ」タイプのものです。

ベレッタといえば、まず思い浮かべるのは、やはりM92FSではないでしょうか。

1985年からアメリカ軍に制式拳銃として採用され、その他いくつかの国でも軍用拳銃として使用されている名銃です。

しかしM92FS以外にも、ベレッタには名銃と呼ばれるオートマチック拳銃が存在します。

そのひとつがM1934です。

イタリア軍の制式拳銃

第二次世界大戦前、このM1934はイタリア軍の制式拳銃として採用され、戦後は警察機関でも使用されるようになりました。

1980年代に入り生産が終了するまでに、実に100万丁以上が生産されたそうです。

このM1934を初めて見ると、ほんとうにこんな銃が軍用として使い物になるのだろうか?と思うはずです。

なぜならボディがあまりにもコンパクトすぎるのです。

手のひらサイズという表現がぴったり、ズボンのお尻のポケットにもスッポリおさまってしまう大きさなのです。

そんな小ぶりなボディですから、当然装弾数も少なく、マガジンには7発しか装填できませんし、仕様する弾薬も.380ACP弾という小型のもので、9ミリ弾などと比べると威力は落ちます。

ではなぜ、そんなコンパクト拳銃が軍の制式拳銃となったのかと言うと、その理由は、何より故障しにくいという点にあったのです。

ストレートブローバック方式を採用していたため部品の数が少なく、射撃時のスライドの引っかかりもなかったようです。

また、ベレッタ特有のスライドトップを大きくカットしたデザインにより、排莢不良を起こす心配がなかったのです。

さらに言えば、ポケットサイズのボディは重量が軽く、取り扱いが楽だったのかもしれません。

現在ではすっかり忘れられた感がないわけではないですが、一部のマニアやベレッタファンのあいだでは名銃として語り継がれているようです。

ちなみに、映画『007 ドクター・ノオ』の中でジェームズ・ボンドが、それまで使用していたM1934に代わって、ワルサーPPKを渡されるシーンがあるそうです。

つまり、ジェームズ・ボンドもM1934を使っていたわけですね。

では、ここからはWA『ベレッタM1934/リアルスチール』をレビューしていきたいと思います。

まず外観は言うまでもなくベレッタ特有のイタリアンデザインのフォルムです。

M92FSなどと比べると、やや丸みの少ない角ばった印象もありますが、アウターバレルが大きく覗くように大胆にカットされたスライド、これはやはりベレッタならではの独特のデザインです。

今から100年近くも前から、このデザインはすでに確立されていたようです。

これにより、排莢不良もぐんと減ったわけです。

M1934の外観

上でも書きましたが、ボディのサイズは、ほんとうに小さいです。

全長約149㎜、銃身長も約69㎜しかありません。

手のひらに乗せてみると、ちょうどその中におさまってしまうくらいの大きさです。

サイズにも驚かされますが、やはりそのウェザリングの見事さには目を見張るものがあります。

WAの専任クラフトマンが手掛ける「リアルスチール・フィニッシュ」です。

中古感を出した「ビンテージ・フィニッシュ」とはちがい、新品状態の鉄肌を表現した仕上げになっています。

WAの専売特許であるカーボンブラック・ヘビーウェイト樹脂製のスライド、フレーム、その他の外装金属パーツの表面をまずいちどポリッシュしたあと、染液で黒染めします。

その黒染めされたところに、こんどは繊細に二度目のポリッシュをおこないます。

それにより、黒光りする本物の鉄肌のような雰囲気を表現できるわけです。

この作業をクラフトマンが1丁1丁、手作業でていねいに仕上げていきます。

この素晴らしい仕上がりを目にしてしまうと、ゲームではもったいなくて使えなくなります。

デスクの引き出しに大事にしまっておきたくなるほどです(笑)。

それほどの見事なリアル感と高級感が表現されているのです。

もはやおもちゃの領域を超えていて、トイガンに興味のなかった人でも、これを見れば1丁コレクションしておきたくなるかもしれません。

手に持ってみると、さらにびっくり、見た目以上に重く、手のひらサイズにもかかわらず、ズッシリきます。

昨年うちの庭で生まれた子猫より重いかも?と思いました(笑)。

メーカー表記では、約590gとなっています。

デスクの上に置いたときのゴトッという重みのある音がいいですね。

各パーツについて

続いて各パーツを見ていきましょう。

まずはスライド。

大きくカットされたトップから覗くアウターバレルも、スライドやフレームと同様のリアルスチール・フィニッシュで仕上げられています。

スライドを引いてみると、カチッと心地よい響き。

同社のM8045クーガーのようなむにゅっとした感触でないのが気持ちいいです。

セイフティレバーはスライドストップを兼ねており、180度回転させることでオン/オフの切り替えができます。

ここでひとつポイントとして、WA製のM1934は全弾撃ち尽くしてもスライドがホールドオープンしないのが特徴です。

セイフティレバーがスライドストップを兼ねたシステムになっているせいで、そうなってしまうようです。

この点が実銃とはちがっているところです。

やはりホールドオープンしてくれたほうが、かっこいいですけどね。

グリップの握り心地は好みがわかれるかもしれません(私はあまり好きになれませんでした)。

厚みがなく丸みの少ないストレートなグリップデザインで、M92FSや、M84FSが好きな人には、もしかすると馴染まないかもしれません。

グリップパネルはダイキャスト製で、こういうところでも重量バランスをとっているのでしょう。

マガジンキャッチがあまり見慣れないタイプのものになっています。

一般的なスライド下部に付いているものではなく、マガジン底部にギアを半分に切ったようなギザギザのものが取り付けられています。

古い時代のオートマチック拳銃に、このタイプのものが見られるそうです。

このマガジンキャッチのすぐ上にはランヤードリングが付いています。

また、銃身長が低くグリップも短いことを考慮して、マガジン底部には握りやすいようにフィンガーレストがあります。

その他、ハンマーやフロントサイト、リアサイトといったパーツを見てみると、こういった細かい部分にもしっかり鉄肌仕様のウェザリングが施されており、WAの作業の細かさ、丁寧さを感じさせられます。

もちろん各部のパーティングラインもきれいに処理されています。

ひとつ我儘を言わせてもらうとしたら、マガジンもリアルスチール・フィニッシュに仕上げてくれていたらなぁ、ということでしょうか。

実射性能について

ここからは実際に射撃してみた感想をお伝えしていきたいと思います。

5月のゴールデンウィーク。

気温約22度のガレージ内で、7メートルの距離から直径約12センチの、ペーパーターゲットに向けて撃ってみました。

両手で持って構えると、この銃のサイズ感がよくわかります。

手のひらですっぽり包んでしまえそうな感じがします。

が、その小さなボディからは想像できないくらい、よく動いてくれました。

リコイルはたしかに軽いですが、小気味良いブローバックを見せてくれます。

鋭さがあり、小さくてもマグナブローバックに変わりないことを気づかせてくれます。

弾道も真っすぐで、マガジンのガス供給も安定していました。

容量の小さいマガジンだからといってあなどってはいけません。

こんどは屋外へ出て、思い切って20メートル先の壁に貼り付けたターゲットを撃ってみました。

うーん、さすがにちょっと逸れるかなぁ…。

10メートルを超えたあたりから弾道がやや不安定になりました。

しかし、この銃の全長を考えればじゅうぶん安定していると思います。

固定ホップ式になっているのでホップ調整はできませんが、このサイズの銃で10メートルまで真っすぐ飛べば言うことなしでしょう。

ゲームの際にバッグやズボンのポケットに忍ばせておくのもいいかもしれませんよ。

とにかく、小さいけど良くできた銃です。

ゲームに使用するのもよし(ちょっともったいない感じもしますが)、コレクションとして部屋に飾っておくのもよし。

見た目も性能も、じゅうぶん満足できる1丁だと思います。

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