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ロシア製の狙撃銃 VSSとは

ロシアに、VSSという狙撃銃があります。

映画などで登場するロシア製のスナイパーライフルといえばドラグノフや、SV-98が有名ですが、このVSSという銃も実によく出来た銃だといえます。

最大の特徴、消音性

VSSは消音性を重視した狙撃銃であり、そのために独特な弾薬を使用した、9x39mm弾を使用、ライフルの弾であるにもかかわらず、音速を超えないため、衝撃波が発生しません。

銃声というのは、そもそも火薬の炸裂音と弾速が音速を超えた際に発生する衝撃波が原因で、破壊力や貫通力を持たせるためには、どうしても強烈なソニックブームが発生、サブプレッサーを利用しても消えるのは火薬の炸裂音だけで、通常の狙撃銃では、音を完全に消す事はできません。


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これに対しての対策として、最初から音速を超えない銃弾を利用するか、弾薬から装薬量を減らすしかなく、これでは安定した威力を保てないため、静音性能重視で作り出されたのが、9x39mm弾というわけです。

当然、速度が出ないため、有効射程距離は他の狙撃銃と比べても極端に短く、公式発表では有効射程距離を400メートルとしているものの、弾道低落量は非常に大きく、実際に狙いやすい距離はもっと短いと言われています。

しかし、本来の射程距離ならば、亜音速をキープし、風の抵抗を受けにくいのでヒットさせやすく、口径が大きい上に弾頭が重いため、破壊力が高いとされています。

VSSが登場するゲームなどでは、よくサイレンサーがついている狙撃銃として登場、低威力で射程の短い銃として扱われていますが、実際その威力はバカにできないという事になります。

ちなみに、この弾丸とサブプレッサーを組み合わせた本銃は、火薬の炸裂音もソニックブームによる轟音も発生せず、生じる音は排莢時の金属音くらいで、近場に居なければ音の出所はさっぱり分からないそうです。

弾のバリエーションとしては、通常弾(SP-5)以外にも徹甲弾(SP-6)が存在し、これは200メートル程度なら、2.8ミリのチタニウムや、三重構造のケブラー素材を貫通すると言われています。

このようにVSSの専用弾は非常に優秀で、そのコストを下げるべく、カービン銃や、サブマシンガンにも同様の弾丸を使用できるモデルを作り出すことで、生産頻度や消費量を増やす試みがされています。

たとえば「AS-VAL(アスバル)は、VSSのアサルトライフル版ともいうべきモデルで、銃床(銃を安定させるために肩で固定する部分)が違う以外は、スコープが省略された程度でほぼ、同じ構造で作られていますし、ここからサブプレッサーを外しハンドガードを改良しつつ、銃床をコンパクトにまとめたものをサブマシンガンとして利用しています。

VSSは何故開発されたか

VSSが製作されたのは1980年代後半、ソ連は多くの戦場を抱えており、特殊部隊として有名なスペツナズが活躍、彼らの行う特殊任務が重要な役割を担っていた時代でした。

それ故、隠密作戦も多く、長距離から攻撃できる狙撃銃の消音化は、重要な研究対象だったわけです。

VSSは1987年に完成し、いまも現役の銃として、様々な部隊や作戦で利用されています。

バレルよりサブプレッサーの方が長く、全長とバレルが極端に短いので一見すると狙撃銃に見えず、銃の形としては不思議でなくても、狙撃銃としては異様な形をしています。

開発時に目標とされた性能は「400メートル以内ならば、完全消音で防弾チョッキを貫通させられるほどの威力がある銃」であり、これを実現した本銃は名銃として扱われているのも頷けます。

ちなみに、中距離から近距離の戦闘を前提に作られているので、狙撃銃でありながらフルオート射撃も可能な銃となっています。

近年活躍した地域

最近では、南オセチア紛争でロシア軍が多くのVSSや、VAL(VSSのアサルトタイプ)で使用されたといいます。

この戦争はグルジアとロシア間で行われた2008年度に勃発した戦争であり、9日間における短期的な戦闘でしたが、山岳部隊や特殊部隊がVSSを装備していた事が判明しています。

今後もロシア軍では、使用され続けるでしょうが、暗殺任務に向くという、その特性からゲリラや、テログループに使用されると厄介な銃である事も確かです。

VSSの廉価版や後継版

VSSの廉価版として、1994年に開発された銃、VSK-94があり、銃のボディはそのままにマズルにサブプレッサーをねじ込み、グリップは銃床と一体化したものに変更されただけ、というお手軽感のある出来栄え。

しかしコストは非常に抑えられており、狙撃銃としては破格のコストパフォーマンスを実現しています。

同様にVSSのアサルトライフル版であるVALにも簡略化されたモデルがあり、こちらは9A-91といって、レシーバーやマズルガード、グリップなどの構造が改められ、マガジンの形もこれまでの曲線タイプから直線タイプに変えられています。

非常に良く出来たアサルトライフルで、後継機にもその技術が活かされ、後継機はA-91といわれるプルパッブ式のアサルトライフル。

VSSの技術を応用しているので、それまで名前を馳せていたAK-47とは構造からして全く違う銃となっていますが、お手本にしたのは構造部分のみであり、VSSを有名にした、9x39mm弾は使われていません。

しかし、左右いずれでも構える事ができたりと、射手への影響が非常に考えられた銃で、さらに銃身の下にはグレネードランチャーが内蔵されているなど、非常に革新的な銃だと言えます。

VSSの欠点はあるのか

消音性にとにかく、こだわったVSSは確かによく出来た銃ですが、やはり問題点としてあがるのは、射程距離の短さと照準性能でしょう。

元々、近距離から中距離を想定しているので、問題ないといえば問題ないのかもしれませんが、特殊作戦といえば特にミスへのリカバリーが難しい作戦ですから、無視できない欠点だと思います。

また装弾数に関して言えば、AK-74や、AN-94が標準で30発積めるのと比べると非常に弾数が少ないため、カートリッジの変更を考えると、近距離戦闘に置いては消音性を利用しない限り、戦闘を有利に運ぶのは難しいかもしれません。

VSSは消音性を重視したために、その他の多くを犠牲にした上に成り立っている銃なので、アサルトライフルタイプなどの数多くの派生モデルがあるとはいえ、オールマイティーに使える構造とは言えず、あくまでも特殊部隊向きの銃です。

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