大艦巨砲主義の幕開け
最近は使われることのあまり無くなった弩級という言葉。
弩級とは「大きな」とか「圧倒的な」といった意味で使われる言葉ですが、この「弩」ってどのような意味なのでしょうか。
ミリタリーに詳しい方ならご存知かもしれません、弩級の弩は1906年に建造されたイギリス海軍の戦艦、ドレットノートの名前に由来しています。
第一次世界大戦の数年前に登場したドレットノートは、それまでの常識をくつがえす、まさに弩級と言える戦艦でした。
ドレットノートはそれまでの戦艦と違って主砲を艦の軸に沿って配置、さらに船体全てを装甲板で覆うことに限界が見えたこの時期、バイタルパート(重要防御区画)と呼ばれる概念が生まれ、ドレットノートはその先駆けとなりました。
船体全てを装甲板で覆うことなく、重要な部分のみ防御するバイタルパートの概念が生まれたことで、軍艦はさらに巨大化し、大艦巨砲主義の時代が始まったのです。
しかし、この大艦巨砲主義の時代は長くは続きませんでした。
大艦巨砲主義の終焉
戦艦大和は当時、史上最大の排水量で超弩級とまで言われた日本帝国海軍の誇る軍艦でした。
ですが大艦巨砲主義の時代は、戦艦大和の登場と時を同じくして終わりを告げたのです。
皮肉にも帝国海軍による真珠湾攻撃が、航空機による戦闘がそれまでの戦略を根底から覆がえしてしまったからです。
真珠湾攻撃で制空権の重要性が認識され、航空機運用の時代の始まりを告げ、そして半世紀以上がたった今も航空機は戦場の要であり続けているのです。
航空機と空母の進化
航空機の母艦である空母の攻撃力は艦載機で決まるため、各国は航空機の開発に力を入れ、その技術進化はめざましいものがあります。
大日本帝国の零式艦上戦闘機(零戦)は第二次世界大戦の初期に優秀な戦闘機とされていました。
では現代の高性能な航空機といえば、日本のF2支援戦闘機、アメリカのF22ラプター、中国のJ20 などがありますが一体どれでしょうか。
単独の性能で考えれば、「ステルス性能に軍配が上がるF22の方が戦闘力が高い」となどの見方もできますが、現在は戦闘機は総合打撃力でその能力を測る考え方が主流になっています。
総合打撃力とは一機の航空機、一隻の潜水艦といった個別の戦闘力を測るのではなく、アメリカ軍全体と中国軍全体、もっと広げるとNATOとワルシャワ条約機構といった、一つのまとまりを軸にして比較するという考え方です。
現在、総合打撃力で世界最強の戦闘機はアメリカ軍と考えられています。
海軍の機動性
アメリカ軍のみならず世界中の軍隊は、陸軍、空軍、海軍に分かれ組織されていますが、その中で特に海軍は重要視されています。
戦略・戦術をすみやかに実行するために必要な機動性において、海軍は主要な役割を担っており、海軍がしっかりした国は戦略的に強国となりえるのです。
そのアメリカ海軍ですが詳しく見てみると、性能・量ともに圧倒的なものを感じます。
艦船の数だけ見てみても、アーレイバーク級駆逐艦が50隻以上、それに次いでタイコンデロガ級巡洋艦が数10隻、存在しています。
我が国日本の自衛隊はイージス艦を6隻所有していますが、そのほとんどがアーレイバーク級駆逐艦です。
アメリカ海軍はこれに加え空母を10隻以上保有し、地球のどこでもと言って過言でないくらい艦載機を世界中に飛ばすことができます。
米海軍の原潜
さらに潜水艦ですが、シーウルフ級原子力潜水艦は建造費が高額だったために予算が下りず、3隻だけしかありませんが、ロサンゼルス級だけで60隻を越えています。
現在、シーウルフ級の廉価版ともいえるバージニア級も量産体制に入りました。
冷戦時代、海中の核ミサイル基地とも言われていたオハイオ級は、今ではその役割は薄れてはきていますが、まだまだアメリカ海軍にはなくてはならない存在です。
現在、オハイオ級に改良を施しドックシェルターを搭載した潜水艦が4隻存在しており、沿岸から特殊部隊等を敵地に送り込むのに重要な役割を果たしてます。