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自衛隊専門用語集

By: MIKI Yoshihito

自衛隊専門用語集

自衛隊で使われている専門用語集を機密に抵触しない程度に、思いつくままにご紹介。
※自衛隊経験のあるライターさんの個人的感想が含まれております。

道具系

「バッカン」
飯やおかずが入ったアルミ製の入れ物。旧軍の麦缶が語源と言われている。アルミ製に限らず、食べ物が入っていればすべてバッカンと呼ぶ。

「スイカン」
水の入った缶のこと。

「防護マスク」
どっからどうみてもガスマスクなのだが、防護マスクと呼ぶ。8秒間で装面できるように訓練される。訓練時につけていると非常に邪魔。
腰のあたりにつけることがデフォとされているが、大げさなバッグを何とかしてほしい。もっとコンパクトにまとまるように改良してほしいが、お金はないし改良する気もないようだ。

「検知紙」
ガスの種類によって色が変わるため、ガス発生やそのガスの種類等がわかる紙。実物は見たことがない。訓練時はその辺の紙をラミネートしたものが配られる。ひざ下に安全ピンでつける。

「防護衣」
防護マスクと併せてガス攻撃が予想される場合に着込む服。着ると外気から遮断されガスの影響をうけなくなるが夏場は地獄な暑さがあり、使った後の整備も大変。

「防弾ベスト」
防弾ベストとしつつも性能は抗弾ベスト。新型が開発されたようだが肩部分にもアーマーがあり着ると小銃を肩づけする事ができなくなる。はっきり言えば欠陥商品。
プレートキャリアの導入が期待されるが、入ってくるのは早く見積もっても10数年後か。

「照準眼鏡」
スコープのこと。「めがね」ではなく「がんきょう」と読む。大変高価なので壊さないように気を使う。

自衛隊ではミリタリーマニアが疎まれる傾向が強く、隊員の最新装備に対する見識は決して広くなく、光学サイトやACOG、ホロサイト等の存在を知らない隊員も少なくないと思われる。

また指揮官クラスがこういう純装備品意外の装備品を毛嫌いしている節があり、大きな演習になると私物の使用不可、という統制がかけられることも珍しくない、というかデフォ。みんなが同じものを統制しやすいように、という思考もわかるが、それならもっといい装備の導入を真剣に考えてほしいものだ。

号令系

「非常呼集」
非常時だから集まれ、と言われること。教育機関の非常呼集は最悪で、「非常呼集、乙武装、テツボウ、弾帯、サスペンダー…」といわれるが毎回装備が違う。

必死でメモを取って、必死で装備を準備することになる。1秒でも早く準備しなければならない。

「了解」
わかりましたよ、という意味。「りょう」と訳すこともある。

同じような属性の言葉に「リョーカイチコン」というよくわからないワードがあるが、これは射撃時に的の点数をつけ終わったことを報告すると「了解治痕」(点数は了解した、穴の開いた部分を治してくれ)と言われていたその語感がよく、一部の隊員が面白がって使っている物と思われる。

「撃破」
敵をやっつけた、という事。戦車撃破、といえばよくやったぞと連隊長や中隊長はお喜びになられる。

「感明どうか送れ」
無線通信時に使用、感度はどうか、明度はどうか聞く時の言葉。あまり長く無線電波を出すと敵に位置を探知されるためなるべく短く送信するように気を付けている。
方面によってはただ「カン!」とだけ言う部隊もあるようだ。

暗記系

「ミナトという子、いっぱつやらせろ」
これはごろ合わせで、指でできるミル測定の覚え方。腕をまっすぐ前に伸ばして指1本が30ミル、2本で70ミル、3本で100ミル、握りこぶしで180ミル、小指、親指をめいいっぱい開いた状態が300ミル。
もうちょっと品性のある覚え方はないのかと問いたいところだ。

「敵味方、われはどうする、君たちは、飯は食ったか指揮通信」
命令をする際の順序の覚え方。敵の状況、味方の状況、わが部隊の企図、それに合わせた自分たちの行動、補給は受けたか、指揮官の位置と通信の諸注意。これに当てはめて言えば言洩らしもなくなるだろう、というもの。

訓練、日常系

「ジャー戦」
主に陸自、戦闘服の上着とジャージのズボンをはいた状態。課業外に職場や事務室に行くときはこの服装で。ジャージ上下はまずい。
ちなみに演習の状況が終わった後の管理野営時もくつろぐときはこの服装。

「シャバ」
自衛隊の世界が檻に囲まれたまるで刑務所のようなところなので檻の外の一般的な世界の事をシャバと呼ぶ。

「台風」
居住場所等の整理整頓ができていない場合、教官たちにより部屋を荒らされること。
まるで部屋の中を台風が襲ったかのごとく滅茶苦茶になっており、ベッドは窓の外へ捨てられていたり、ロッカーの中の物がぶちまけられている。整理整頓の大切さや集団生活の規律心を養うためのものである。

台風の手法は様々で、
・軽い台風(ちょっと小物が散乱したり、整頓できて居合物品だけが飛ばされているパターン)
・強烈な台風(何から何まで飛ばされ、文字通り台風が部屋に上陸したかのような非常に激しいもの)
・オモシロ台風(教官助教のセンスによるが部屋の入り口がベッドマットで封鎖されていたり、シーツを集めてジャージの中に入れた人形が腰かけているようになっていたり、歯磨き粉で文字がかいてあったり等)
いずれにせよ、あまり体験したくないものである。

「体力増強」
筋力トレーニングのこと。

「午睡(ごすい)」
何かハードな仕事があった後、許可される昼寝のこと。逆に言えば命令で昼寝しているので、起きていることは許されない。

「腕立て伏せ」
反省時に用いられる筋力トレーニング。その回数は常軌を逸するほどやらされる。もはや回数が何の意味も示さなくなり、時間でカウントされることも稀にある。
その他に屈み跳躍やヒンズースクワット、空気イス、サイクリング、ツーリング等がある。

「員数つける」
自衛隊の装備品は官品と呼ばれ、恐れ多くも国民の血税で賄われた支給品である。失くすと一斉捜索になるか、補給陸曹に大目玉をくらう。

武器など無くそうものならビックニュースになり、マスコミに騒がれ、1万人規模の隊員を動員して探すことになるだろう。そうなる前に?物品がない、という下級者の相談を受けた上級者が「隣の部隊から員数つけてこい」つまりは「盗んでこい」と言われるわけである。

そんなことをしても窃盗罪になるし根本的な解決には何もなっていないと思うのだが、員数つけるという言葉が存在している以上、連綿と行われてきた行為であるのだと思う。

「隊容検査」
部隊が出動する前に行われる指揮官によるチェック。敵がどこに上陸したのか、我が隊の任務は何か、赤い煙は何を意味するか等々、答えられないと後で制裁を受ける物覚えの悪い隊員には嫌な行事。
装備の状況もチェックされるので汚れていたり射撃ができない状態や問題のある状態の武器、使えない状態の装備を持っていると怒られる。

その他

「脱靴許可」
ダッカキョカとよみ、水虫で靴を履くことが適切ではない隊員に与えられる許可。みんながブーツを履いている中、一人だけ運動靴を履いて見学していたりする。

「バンダレイ」
物事や陣地の境界線。「2中隊と3中隊のバンダレイはこの線で…」「舎前東側から中央道までがうちのバンダレイ」というような使い方をする。米軍、英語の「boundary(境界)」からきた言葉。

「バンガロー」
破壊筒。地雷や障害を吹き飛ばして通路を開通するために用いられる爆薬が詰められた筒。数本つなげて使う。語源は「bangalore」であるが日本人の耳にはバンガローという風に聞こえたのであろう。

「エス、エース、スぺ」
特殊部隊…と言いたいところだが一昔前の使えない隊員の呼び方。「あいつはエースだからな」という風に使う。スペシャルやエースからきているものと思われる。

「視号通信」
通信科隊員による小旗による通信。としつつも、隊員の人数が多すぎて号令が聞こえなかったり、動作に遅れが出ないように全員から見える位置に立って小旗の上げ下げにより号令を視覚で伝える役目がある。
観閲式や重要なパレードなど、動作のミスや遅れが許されない大きな式で使われるめったに見ることのない通信方法。

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