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日本の特殊部隊,SATの実態とは

世界各国に配備されている特殊部隊。

今回はその中でも、われらが日本が誇るSAT(サット)について、その実態や歴史などをご紹介します。

SWATとの違いですが、SATは、Special Assault Team(スペシャル・アサルト・チーム)の略称で、米国が誇る警察の特殊部隊、SWAT(スワット)と一見、似ているように思えます。

しかしSWATは、Special Weapons And tactics(スペシャル・ウエポン・アンド・タクティクス)であり、日本語でいうと、SATが特殊強襲部隊、SWATは特殊火器戦術部隊となっており、「S」のSpecial 「特殊」という部分しか同じではありません。

なぜSATは生まれたのか

ピルバーグが監督した映画「ミュンヘン」でも知られている実際にあった事件、ミュンヘンオリンピック事件が事の発端です。

1972年、9月5日におきたこの事件では、パレスチナ武装組織「黒い九月」がおこしたミュンヘンオリンピック開催中の事件であり、当時の選手村に潜入した犯人グループはアサルトライフルと、手榴弾を武器に、選手とレスリングコーチをまず殺害、9名の人質をとり、イスラエルの刑務所に収監されている234名(パレスチナ人)を開放するよう要求したが、折り合いがつかず全員殺害、合計で11人の被害者を出しました。

この事件をうけて、翌日9月6日には警視庁が都道府県警察にたいして「銃器等使用の重大突発事案」にたいする対抗策として、特殊部隊の編成を行うと通達しました。

具体的には、全国の機動隊に、高度な逮捕制圧技術を要する事件に備え、耐弾・耐爆性能を有する特殊部隊の訓練をするとのことでしたが、当時はそこまで深刻化しておらず、部隊の編成もスムーズにはすすまなかったといいます。

SATとよばれるようになるまで。

上記の様に通達が行われてから5年後の、1977年9月28日、「ダッカ日航機ハイジャック事件」が発生。身代金の要求とともに、ミュンヘン事件と似て獄中メンバーの釈放を要求されます。

これをうけて日本政府は、身代金を支払い、獄中のメンバーも釈放し救出しますが、同犯行グループはすぐに次の犯行に及び、「ルフトハンザ航空機ハイジャック事件」と呼ばれる事件をドイツで起したのです。

これに対し、当時の西ドイツ政府はミュンヘンオリンピック事件を教訓に設立した特殊部隊であるGSG-9(国境警備隊第9部隊)を投入し、みごとに犯人グループを制圧し、乗員乗客を無事救出。

なすすべもなく、犯人の要求を答えた日本にたいして、ドイツ政府はしっかりと処置できたわけであり、日本の警察における対応能力が疑問視されたわけです。

そこで、このハイジャック事件を教訓として、GSG-9を参考とした特殊部隊の設立に踏み出し、GSG-9の全面協力をえて、装備、訓練、ノウハウなどを仕入れる事となり、実際にもイギリスのSASに研修として警察官数名が派遣されます。

こうして翌年の1977年にうまれたのが、GSG-9と同等の装備を保有する部隊、「特科中隊」が生まれ、数年後にはSAP(Special Armed Police)日本語で言うところの、特殊装備警察というものになりました。

SAPの時点では、極秘とされて公式には発表されていない部隊でしたが、1995年に起きた「全日空857便ハイジャック事件」で、SAPが支援。

犯人の要求は、オウム真理教の麻原彰晃の釈放などであったが、政府はこれを拒否し、犯人を特定した上で強行突入し、犯人をとらえたのです。

この結果をもとに、非公式であったSAPを、SATととして正規部隊とし公表。

警視庁と大阪府警察にしかいなかった部隊でしたが、北海道、千葉、神奈川、愛知、福岡、沖縄にも配備される運びとなったわけでです。

当時は、僧院で200名体制でしたが、2005年には250名、2006年には300名体制へと増員し、強化されました。

SATが強化された理由

2000年代に入り、増員の一途をたどったSATですが、このころから特殊犯罪捜査係の支援を開始、「町田市立てこもり事件」には警視庁所属のSATが出勤、1ヵ月後の「愛知長久手町立てこもり発砲事件」では愛知県警察SATが出勤したが、連携や情報共有の不足から、隊員1名が犯人により、射殺されてしまいます。

この事を受けて、警視庁は、スリーエス(SAT Support Staff)を創設。日本語でいうところの特殊部隊支援班であり、連携や連絡調整を担当する人員を配置し、同時にSATの装備強化を発表しました。

実際にこれ以降の、SATが装備するボディアーマーは、上腕部を保護するプレートを追加しており、防護範囲が強化されたし、訓練状況も報道機関に公開するようになりました。

全国8箇所に設置されたSATおよび本部

SATはいまでこそ特殊犯罪にも登場しますが、元々の任務はハイジャックやテロ対策であるため、国際空港や、国内線の拠点となる地域、米軍施設が集中している地域に設置されています。

警視庁所属SAT

羽田空港、各種重要施設(皇居や総理大臣鑑定、国会議事堂や各省庁、各国大使館など)が存在するために配置。

SAPの時点から存在する部隊でもあります。

大阪府警察所属SAT

関西国際空港、大阪国際空港、ならびに外国の総領事館が存在するために配置。

警視庁と同じく、SAP時代から存在する部隊です。

北海道警察所属SAT

新千歳空港、函館空港が存在。

全日空機ハイジャック事件は函館空港でおこった事件であるため、重要とされています。

千葉県警察所属SAT

警視庁所属が、羽田空港を視野にいれてるのにたいし、こちらは成田国際空港のために配置されています。

つまり、羽田と成田は、SAT内では別の管轄ということです。

神奈川県警察所属SAT

在日米軍施設が存在するために配置さてています。

いまのところ、大きな施設内のテロ行為は未発生。

愛知県警察所属SAT

中部国際空港が存在するために配置されています。

いまのところハイジャック事件などは未発生。

福岡県警察所属SAT

福岡空港、在日米軍施設、各国領事館と多くの対象が存在するために配置されています。

沖縄県警察所属SAT

米軍関連施設と那覇空港が存在。

この部署は、他と比べても本土からの支援には時間がかかるため、重要度の色が他とは別になっています。

どのような人間が隊員になっているか

SATの入隊者は主に機動隊から募っており、選抜試験を通過したものが入隊できます。

判断基準は、高い身体能力と判断能力、ならびに強靭な精神力とされているが、隊員情報は機密とされており、氏名も階級も表には出ない。

これは、親類などや隊員本人に危害が及ばないようにとの処置であって、実際に志望してしまった隊員の両親は「息子がSAT隊員であることを知らなかった」と報道されています。

一方、隊長に関しては、狙撃は突入をみずから実行はしない責任者であるため、報道関係者には素顔を公表しています。

ちなみに在隊期間は大体5年程度とされており、再入隊するならば、更に5年間在隊する事が可能です。

いずれにしても、何十年もSATで現役の隊員であるというのは存在しないのかもしれません。

SATは、日本が誇る特殊部隊ですが、装備している銃火器も他の警察部隊と違って、かなり火力があります。

普通警察装備といえば、ハンドガンしか想像しませんが、彼らはアサルトライフルや、サブマシンガンなども装備している、といわれており、自衛隊員にも似た装備を所持しているだろうと想像できます。

銃社会ではないため、日本ではトップニュースにあがるような事件にしか、その痕跡を残しませんが、日本の保安をつかさどる重要な部隊である事は確かです。

彼らを増員や強化するということは、治安悪化を示すので、一概に喜ばしい自体とはいえませんが、実に信頼のできる誇るべき特殊部隊だと思います。

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