今回ご紹介するのは、マルシン独自の開発である8㎜BB弾を使用するガスリボルバー『コルト・アナコンダ/マキシ 8インチ』です。
マルシンといえば、8㎜BB弾ものや、最近では従来のフロンガスに代わるCO2ガス仕様のガスブロの開発など何かと画期的な展開を見せてくれています。
私もマルシン製のガスガンやモデルガンは好きで、今後さらなる新境地を開いていってくれることを期待しているわけです。
じつは私が人生で初めて買ったガスガンは、マルシン製のリボルバーだったんです。
私がまだ中学生の頃で、どの機種だったかは忘れましたが、たしかS&Wのけっこう銃身の短めのものだったと記憶しています。
父といっしょに近所の模型店へ行って購入したものでした。
映画の影響だったか漫画の影響だったか、そのとき私はリボルバーにすごくあこがれていて、トイガンの品ぞろえが豊富だったその店へ足を運んだのでした。
私は最初からリボルバーしか頭になかったので、ショーケースの中にずらりとならんだ色々なタイプのリボルバーばかりを眺めていました。
そんな私に、お店のおばさんが「リボルバーは飛ばないよ。オートマチックにしたら」。ええっ!?私は正直ショックを受け、自分の趣味を否定された気がして思わず泣きそうになりました。
そのときお店のおばさんがすすめてくれたのは、その当時のエポック的存在だったWAのコルトガバメントでした。
たしかにガスリボルバーよりもマグナブローバックのほうが断然よく飛んだと思うし、撃ったときの迫力も数段上だったことでしょう。
でも私はリボルバーを買いました。
おばさんの言葉に少し動揺はしましたが、やはり自分が気に入ったものを買うのが一番だと思ったのです。
そのあとお店のおばさんの機嫌が少し悪くなったように思えたのは、私の気のせいでしょうか・・・?
それから10年以上が経ち、再びガスリボルバーが欲しくなった私は、ネットで面白そうなものがないか探すと、ちょうどマルシン工業が8㎜BB弾を使用するガスガンを発売したことを知り、私はすぐに興味を示しました。
そのうちの何種類かを見比べているうち、サイズのでかいものが欲しくなり、選んだのが「コルト・アナコンダ/マキシ 8インチ」でした。
箱を開けてみてビックリ、想像していたより大きい。バレルが8インチあると、ここまで大きく感じるものなのかと感心してしまいました。
シルバーABSモデルを購入したのですが、外観はなかなか良く、シルバーのメッキが眩いくらいで、決して安っぽい印象は受けません、手に取ってみて、やはり大きいなあと思いました。
重さは650gほどしかないのですが、バレルが長いせいか、実際に構えてみると銃身にけっこうな比重があるように感じ、なかなかいいじゃないか。リボルバーのよさを久々に感じた瞬間でした。
つい先日、その「コルト・アナコンダ」を何年ぶりかにガレージから引っぱりだしてきました。
長いあいだほったらかしにしていたせいで表面のメッキに染みができ、全体に少しくすんだ色あいになってしまっていましたが、やはり8インチの大きさは迫力がありました。
44マグナム仕様のシリンダーはスイングアウトして開くとけっこうごつい印象で、重さもそこそこあり、閉じるときのガチャッという音が非常に心地よいです。
実銃のコルト・アナコンダは1991年から発売が開始されたもので、コルト社においては初めての44マグナムを使用するリボルバーだったそうです。
コルト社のリボルバーといえば、それ以前からパイソンやキングコブラが有名でしたが、いずれも357マグナムまでで、ハンティングや競技用の大口径銃ではS&Wやスタームルガーに遅れをとっていたのです。
そこで登場したのが、アナコンダだったわけです。
実際に構えてみたところ、ちょっと扱いづらいかなあ、という気がしました。普段からオートマチックの握りに慣れてしまっているのと、8インチの銃身の長さに違和感を覚えてしまったせいかもしれません。
不意に、あのときの模型店のおばさんの言葉が脳裏によみがえりました「リボルバーは飛ばないよ」。
飛ばないかどうか試してみようじゃないか。
私はガスとペーパーターゲット、そして専用の8㎜BB弾を用意、ちょっとためしにカートリッジを装填せずに空撃ちしてみました。
まずはシングルアクション。ハンマーを起こしトリガーを引く。パチンという音だけが虚しく響く。片手でなんとなく撃ってみた感じだったのですが、けっこう素直な作動感でした。
つづいてダブルアクションで。んんっ!?トリガープルが重い。
トリガーを引いてシリンダーが回転し切るまでの時間がなんとも言えません。
片手で撃つと銃身がぶれてしまうくらいトリガープルが重く、けっこう力が必要です。
両手でしっかり構えて撃たないと狙いが定まりません、では実際にカートリッジを装填してガスも注入して撃ってみるとどうでしょうか。
気温19度の室内。真鍮製のカートリッジの先端から8㎜BB弾を1発ずつ入れていきます。カートリッジは全部で6発。シリンダーをスイングアウトする。
意味もなく指でシリンダーを回転させ、カートリッジを慎重にシリンダーへ装填していく。
カチャッ、カチャッと鳴るたびに緊張感を味わえる。
こうやってひとつひとつ弾をこめていく作業は本当に楽しく、リボルバーが好きな人はみな、こういった作業がたまらなく好きなんです。
心地よい音を響かせてシリンダーを閉じ、ガスはグリップ底面から注入。
ちなみに、セーフティレバーの位置は実銃とはちがってグリップ右面の上端あたりにこじんまりと付いています。
とりあえず5メートルの距離からペーパーターゲットに向けて、シングルアクションで撃ってみました。シュボンッ!けっこう大きな音です。
何かつまっていた物がきれいに飛び出したような感覚です(弾丸を発射するのですからその通りなのですが)。
リボルバーなのでスライドがブローバックするわけではないのですが、撃った瞬間、手のひらにちょっとした衝撃が伝わってきました。
8㎜BB弾の特徴なのか、あまり鋭さはなく、弾速も遅い気がします、しかしちゃんと飛びますよ、おばさん!決して飛距離が出ないわけではありません。
ブローバックタイプのオートマチックと比較しても大差はないと感じました(あとで実際に比較してみました)。
集弾性もまずまずで、この銃は可変ホップ式ですが、調節はせずに撃ってみました。
購入した当時、あーでもないこーでもないと何度もホップを調節しているうちに、余計に弾道が定まらなくなってきて、結局もとの状態に戻したことがありました。
ホップは不用意にいじらないほうがいい、というのが私なりの考えで、たいていの場合、工場出荷時にきちんと調整されてあるのですから。
このときは全弾ペーパーターゲットに命中、フロントサイトも赤く塗られていて見やすく、ガス供給も安定していて、けっこう狙って撃ちやすいほうだと思います。
オートマチックのようにジャムすることがないのがリボルバーのよいところです。
こんどは7メートルの距離から、オートマチックのガスブロと比較しながら撃ってみました。
ガスブロはWAのコルトガバメントを選びました(あのとき模型店のおばさんがすすめてきたものです(笑))。
アナコンダはシングルアクション、ガバメントはダブルアクションで撃つと、結果は五分五分といったところでした。
たしかにガバメントのほうが弾速も速く、集弾性も良い感じがしましたが、7メートルという条件ではほとんど差は感じられませんでした。
さらに距離をとれば、アナコンダのほうは弾道が逸れたりホップしすぎてしまう可能性があり、ガスブロに軍配が上がるでしょうが・・・。
続いて3メートルの距離からアルミ缶を撃ってみます、装弾数はアナコンダに合わせて6発。
こちらはアナコンダに軍配が上がりました。
弾速はガバメントより遅いはずなのですが、8㎜BB弾の重さが打撃力になったのでしょうか、2発目でアルミ缶を貫通、ガバメントのほうは6発撃って貫通させることはできませんでした。
ここまで見てきていかがでしょうか?ガスブロもいいけどリボルバーもなかなかイケてると思いませんか?
たしかに8㎜弾と6㎜弾で比較したため正確な検証にはならなかったのですが、リボルバーも決して悪くないということだけはお伝えできたのではないかと思います。
サバイバルゲームでの使用を考えると、装弾数の少ないリボルバーは不利かもしれませんし、ガスブロのような派手はアクション、リコイルを楽しむことはできません。
しかし、リボルバーにはまたべつの楽しみ方があります。
カートリッジを1発1発装填し、シングルアクションで狙いをつけて撃つ。こういう決して派手とはいえない作業に酔いしれることができるのは、リボルバーならではの醍醐味だと思います。
余談ですが、『もっとも危険なゲーム』というイギリスの冒険小説(ギャビン・ライアル著)があります。
この作品のなかでS&Wのリボルバーを使ったあっと驚く逆転劇が描かれていますので、興味のある方はぜひご一読ください。
さて、今回はマルシン製ガスリボルバー『コルト・アナコンダ/マキシ8インチ』をご紹介させていただきましたが、こちらの製品、現在はマイナーチェンジした新バージョンが発売されているようです。
また、Xカートリッジというかなりリアルさを追求したニュータイプのカートリッジ仕様のものが同時に発売されています。
8㎜BB弾だけでなく6㎜BB弾仕様のものもあるようなので、8㎜BB弾に抵抗がある人でも安心ですね。
リボルバーはリボルバーなりに、きっと多くのトイガンフリークを魅了してくれると思うので、これからもたくさんいいガスリボルバーが出てきてくれることを期待したいです。