東京マルイから発売されているガスブローバックガン、タクティカルマスターのレビューです。
タクティカルマスターは、同社から発売されているM92F ミリタリーモデルのバリエーションモデルの一つです。
細かい外装パーツが変更されており、通常のM92Fとは、少し違った印象を受けるシルエットになっています。
デザイン自体は東京マルイのオリジナルデザインですが、ブリガディアスライドや、スケルトンハンマーなどはベレッタ社が発表した「エリートI」やその後継機種の「エリートII」などに近いデザインになっています。
主な変更点は、バレルのショート化や、ホルスターから抜き易いようにバレルの先端部分を切り詰められています。
ガスガンであるタクティカルマスターは、インナーバレルについては通常のM92Fと同じものが使用され、アウターバレルの長さが変更されているのみになっています。
そのため、バレルやチャンバーといったパーツはカスタムパーツ含め、M92Fと共通のものが使用可能です(アウターバレルに干渉するタイプのカスタムパーツは装着出来ない可能性があります)。
また、スライドが新規設計のものに変更。
M92Fのスライドは上面が大きくくり貫かれた特徴的なデザインになっていますが、実銃ではこのデザインのために強度に不足があり、強装弾を使用すると破損することがあるというデメリットがありました。
そのため、強装弾の使用に耐えられるように、ロッキングブロック周辺の形状を新しくし、厚みを増したブリガディアスライドに変更されています。
ガスガンでどれほどの差があるかは定かではありませんが、通常のものよりは、強度面で優秀かと思います(といってもほぼ差は無いと思います、オモチャだし)。
左右にはTMの刻印があります。
左面には「TACTICAL MASTER Cal.9mm」右面には「TOKYO MARUI」の刻印がされています。
マニュアルセフティは左右どちらからでも操作出来るアンビタイプで、右側のパーツが通常のM92Fとは違うパーツになっています。
スライドの新規設計に伴い、フロントサイトとリアサイトもCQBタイプのサイトに変更されています。
M92Fではスライド一体成型の固定サイトでしたが、タクティカルマスターではフロント、リアともに別パーツ化されたことに加え、前後両方ともホワイトドットが打ち込まれています。
フレーム側にも各所に変更がされています。
最も大きな変更点としては、ハンマーがスケルトンハンマーに変更されている点で、通常のM92Fのハンマーは最低限の穴が開けられているのみですが、タクティカルマスターではハンマーの内側に沿う形で内部をくり貫いて、軽量化したスケルトンハンマーに変更されています。
スケルトンハンマーは通常のハンマーよりも軽量なため、トリガーを引いてからのロックタイムが減少、スライドスピードの増加などの効果を得ることが出来ます。
特徴的なデザインのハンマーですが、パーツに互換性があるため、通常のM92Fやサムライエッジなどに載せることも可能です。
インナーフレームの分解が必要になるため、難易度は少し高めですが、見た目にもいいアクセントになります。
また、ハンマーのみを購入することも可能なため、わざわざタクティカルマスター本体を購入しなくても、スケルトンハンマーの入手は可能です(パーツNo.はTM-5です)。
テイクダウンレバーも、表面の指をかける突起を削り落として不用意に操作してしまうことを防ぐ新規パーツになっています、こちらも別パーツ(パーツNo.はTM-6)として購入可能です。
スライドストップが操作し易いように長めに調整された、スライドストップに変更されており、手をグリップから大きく離すことなく、マグチェンジ、スライドの閉鎖がし易いデザインになっています。
ほんの数mmパーツの長さが変わっただけですが、かなり操作し易くなり、手が小さい人も届きやすくなるため、かなり便利です。
グリップは通常のグリップパネルから、ラバーコーティングされたフィンガーチャネルグリップに変更されています。
サイズも日本人の平均的な手の大きさ、形に合わせて設計されているとのことです(東京マルイ公式サイトにて表記)。
実銃メーカーのフィンガーチャネルグリップを装備したい場合に、大きすぎて逆に合わないといったことがありますが。
このグリップはそういったことも無く、ラバーコーティングの手に吸い付くようなしっとりとした質感もあり、とても握りやすいです。
ラバーコーティングのため、表面に傷が付くと目立つほか、長い期間高温多湿な場所に放置した場合などに表面のゴムが劣化することがあるため、注意が必要です。
余談ですが、このフィンガーチャネルグリップはM92Fのクロームステンレス版等、タクティカルマスター以外のM92Fのバリエーションモデルでも装備されています。
このグリップも互換性があるため、他のM92Fに装備可能ですが、左右で分割されたパーツであることと、接続用のピンが必要なため、注文する場合には注意が必要です。
参考までにパーツNo.は左パネルがTM-8、右パネルがTM-9、接続用のピンが2本セットでTM-10です。
グリップスクリューは通常のものと共通です。
以上の点が通常版M92Fとの変更点になります。
これ以外の部分はM92Fと同様のパーツになっており、分解の方法なども同一仕様となっています。
マガジンはM92F系共通のマガジンで装填数は26発、亜鉛ダイキャスト製になっています。
マガジン正面のスリットからBB弾の数を確認可能なほか、スリットの下側は幅が広くなっているため、フォロアを限界まで下げればスリットからBB弾を装填することも可能です(フォロアのロック機構が無いため、操作自体はしにくいです)。
別売のロングマガジンで装填数が30発に増加しているほか、通常マガジンよりも長い分ガス容量も多めになっています。
26連、30連ともにマガジンリップがプラ製なためBB弾を傷つけにくいのも地味ですが、かなり便利です。
HOPUPは搭載されていますが、旧式のガスガンなため固定HOPになっており、出来自体はかなり良いと思います。
実射性能は良くも悪くも平凡といった印象で、初速は安定しており、HOPも固定ですが、長時間放置による劣化や箱出し状態すぐ等の場合を除けば0.2gのBB弾で概ねフラットな弾道を描くように感じました。
スライドの後退速度はお世辞にも速いとは言えませんが、かといって遅いということもありません。
マルシン工業から発売されているCO2動作のガスガンのようなスライドが壊れるのでは?と思うような鋭いブローバックはしませんが、トリガーを引く度に「パシン、パシン」と確実なブローバックをしてくれます。
安定した動作と、26発の容量はかなり強力なツールになるかと思います。
外装カスタムも外見を変更するだけにとどまらず、操作し易くなるような工夫がしっかりされているため、外見の変化も無駄にはなっていません。
東京マルイのM92Fシリーズはカスタムパーツの豊富さにおいては、同社製のハイキャパなどにも引けを取らないほど多種多様なパーツが出されているため、自分好みのカスタムが可能な点も大きなメリットです。
タクティカルマスターは、メーカーによって操作系はかなりカスタムされているため、箱出しでも十分楽しめる内容になっています。
全体的な完成度がかなり高いのですが、表面の仕上げの雑さが気になります。
特にスライドとアウターフレームにパーティングラインがくっきり残ってしまっている点は残念です。
表面処理に自信がある方は、表面処理にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。