実射性能で評判の良い、マルイのSIG P226。
SIGというと、昔のP210のスマートなデザインからすると、ものすごくボッテリして野暮ったいデザインという感じがしていたのだが、サバイバルゲームのサイドアームとして、とにかくトリガーを引けばちゃんと弾が出ることを期待して購入した。
簡単に成り立ちを説明すると、SIG社が軍用拳銃として生産していたP210は高品質で高精度であったが故に非常にコストが高く、なおかつシングルアクションは少数派になっていたこともあって、その後継として開発されたのがP220だった。
日本の自衛隊でも、米軍のお下りの後釜として、長野のミネベア社がライセンス生産を行ったものが、1982年に9mm拳銃の名称で正式採用されている。
しかし、戦後のダブルアクションオートの先駆けではあったが、シングルカラムマガジンで、装弾数が9発というのは少なく、後発のベレッタ92などに比べて不利であった為か、後にマガジンをダブルカラムの15発に改良したものがP226だ。
米軍のトライアルでは、その性能の高さは認められつつも、主に価格の問題でベレッタM92に負け採用されなかった。それでもその性能の高さから、エアフォースでは正式採用し、イギリスなどでも正式採用している。
日本でも海上自衛隊の特別警備隊が、P226Rを公開訓練で使用している。特にアメリカ海軍SEALsが採用しているのは、この手のマニアにはポイントが高い。
東京マルイからは、現在複数のP226のバリエーションが売られているが、E2とバイオハザードとのコラボモデルを除けば、すべてこのP226レイルの表面処理の違いだけだ。
今回レビューするのは、その中でも最もベーシックなオールブラックモデルで、飾り気もないが、サバイバルゲームのサイドアームにしても、メッキでピカピカしないおあつらえモデルだ。
外見からチェックすると、スライドのエッジが甘いような気がするが、これは実銃もプレス成型しているので、もしかしたら意外とこんなものなのかもしれない。
M1911やベレッタ92Fは、実銃を撃った事があるのでいくらかわかるが、P226については、実銃を触った経験がないのでなんとも言えないところが歯がゆい。
それでもマルイによると、スライドの刻印は実銃から採寸して再現したとのことで、おそらくリアルなのだろう。確かに彫りも深くエッジも効いた刻印になっている。
デコッキングレバーの作動も確実で、無理なく親指で操作することができる。ただ、ハンマーが落ちる時の音は、なんとなくプラスチッキーで安っぽい。
まあフレームもスライドもプラスチックなんだから当たり前なのだが。
スライドストップはスチールのプレス製で、こちらの操作感も上々、掛かりもいいし、スライドのノッチが破損したりということもなさそうだ。
マガジンリリースボタンの重さも適当で、マガジンにガタもなく、設計寸法もきっちりしている。
実銃は、フレームがアルミニウムで、スライドがこのモデルの場合はステンレスに着色している仕様だが、さすがに仕上げでそうだと分かるほどの工夫は特に見受けられない。
それでも、特徴的な角形スライドバレル後端部の角形チャンバーによるロッキングシステムは、それっぽく作られていて、スライドが閉鎖していれば、なかなかシンプルで精悍なデザインになっている。
ただし実際にはショートリコイル機構が組み込まれていないので、スライドを引いてもバレルはティルトしないのはご愛嬌。もっとも無理にそんなものを組み込んで、作動が不安定になるなら本末転倒。まずちゃんと動くというのがマルイの設計思想ではないのだろうか。
フレーム下部には20mmのピカティニー規格のアンダーレールが装備され、sureのX200とかX300とかのフラッシュライトや、レーザーサイトを装着できる。
ただ、実測したわけではないのだが、ややレールの幅が狭いようで、手持ちのライトを装着すると遊びが大きい。TROY M4のレールに同じライトを着けてもそれほどガタがないので、おそらくちょっとだけ幅が狭いのだと思う。
まあそんな重箱の隅をつつくようなことをしなくても、レールは無いよりはあったほうがいいに決まっていて、実際にゲームで使う時には重宝する。ただしライトを装着したままで使えるホルスターは、種類が少ない上に高価なのが悩みの種ではある。
グリップに関しては、同じダブルカラムマガジンを使用するSTIよりはやや太めな感じがする。
ちょっと手の小さい人や女性などは、片手でマガジンキャッチやでコッキングレバーを操作するのに苦労するかもしれない。
それからやや表面が滑りやすく感じる。STIのように、フレームの前後にチェッカリングが無いので当然と言えば当然だが、このあたりは個人の好みで滑り止めのデープなどを貼るなど工夫すればいいと思う。
もう一つ、外見は崩していないのだが、実銃に無い機構的なデフォルメが有る。
スライドを固定するためのテイクダウンレバーを右側から押し込むとトリガーがロックされるようになっている。
これは、コックしたハンマーをデコッキングレバーでハンマーダウンさせてダブルアクションに戻すだけで、本来マニュアルセイフティーを持たないP226に、ASGK(日本遊技級協同組合)の自主規制によるものだと記憶している。
実際、リボルバーのガスガンでも、変なところにマニュアルセフティーが付いていたりする。ただし外見には全く影響しない造りだし、おそらく使用する人はいないと思われる。
では実際に撃ってみてどうか?
初速、動作速度、安定性、精度ともにサバイバルゲームのサイドアームとしては全く問題無い。
ともかく、ちゃんどマガジンにガスを入れて、きちんとBB弾を入れておけば、確実にワンマガジン撃ち切れる。
カタチは違うが、同社のハイキャパと同等と考えて大丈夫だが、ハイキャパの方がマガジンが大きい分、ガスの容量にも余裕があるので、冬場は若干差が出るかもしれない。
サイトは前後共にドットが彫ってあり狙いやすい。
ホップの調整は必要だが、弾道も素直。
トリガープルについては、さすがに初弾をダブルアクションで、20m先のボディーをヒットするというのはちょっと厳しいかもしれない。
シングルアクションのキレは悪くないので、余裕があればハンマーをコックしてから、シングルアクションで撃つようにしたほうがいいだろう。
それでもロリガートラベルは1911系に比べれば長いので、競技で使うにはかったるいかもしれないが、サバイバルゲームのサイドアームとして、あるいはハンドガンオンリーのレギュレーションで使うには申し分のない一挺だと思う。
見た目に1911系より腰高で重心が高く見えるのだが、実際に寸法を比べてみるとほとんど違いはない。
重量バランスもプラスチックに亜鉛のマガジンの組み合わせなので、アンダーレールにライトを装着したほうがバランスが良い印象だ。
というわけで、実際に夜間のインドア戦に投入してみた。
ハンドガンオンリーのレギュレーションでゲームをした結果、他のメンバーは誰もライトを使っておらず、ライトのおかげで圧勝。
なにしろ敵はこちらを狙うことすらできずに、20メートル以上離れたところからポコポコ撃たれるのだからしまいにはしびれを切らして、1対6でやりましょうということになったが、結局一人で全員倒すことができた。
サバイバルゲームの道具として大切な確実な作動、十分な精度。
できれば価格もリーズナブルならなお良い。
そのうえで、あのSEALsも使っているとなれば、腰に下げても士気も上がる。
東京マルイ シグ ザウエル P226レイルは、総合的にもオススメの一挺だと思う。