今回レビューするMP7A1は東京マルイから発売されている「電動コンパクトマシンガン」です。
東京マルイからは「ガスブローバックマシンガン」としても同様、にMP7A1が発売されていますが、今回のレビューとは異なる商品です。
外見こそ同じですがパワーソース、動作など大きく異なるためご注意下さい。
MP7A1はドイツのH&K社がFN社のPDWである、FN P90に対抗するために開発されたPDWです。
MP7の開発当時、米国などでは防弾ベストの着用がごく一般的になっており、ピストル弾を使用する各種銃器では力不足になっていました。
そのため米国他NATO各国では、それらの火器に変わる武器として新たなPDWを検討しており、そのプログラムにFN社はP90を提出、H&K社は当時PDWの開発を行っていなかったため、MP5Kにストックを追加したモデルを提出しました。
その結果として、H&K社の提出した案はPDWに要求される条件を満たすには不十分という判断がされ、FN社が開発したP90に対して危機感を抱いたH&K社は、それまでの製品とは違うコンセプトの銃器としてMP7を開発することになりました。
デザインは、P90のような先進的な人間工学に基づくデザインとは対照的な、旧来の小型短機関銃と似た馴染みのあるデザインになっている点が特徴で、全長、重量ともにP90よりも短く、軽量になっています。
一方で旧来の短機関銃と同じマガジン配置になっているため、装弾数自体は決して多くなく、最少15発から最多で40発となっています(P90の通常マガジンは装弾数50発)。
余談ですが、FN社のP90に対抗するという名目の通り、同社のP90の使用弾薬である5.7x28mm弾を使用出来る自動拳銃「FN Five-seveN」をリリースしたように、H&K社もMP7の使用弾薬である4.6x30mm専用弾を使用可能な自動拳銃「P46」を開発しています。
また、この専用弾はP90の5.7x28mm弾よりも強力とアナウンスしています(実際には真偽不明だそうです)。
東京マルイからモデルアップされたMP7A1ですが、今までの電動ガンと違い比較的小型の銃器をモデルアップする「電動コンパクトマシンガン」シリーズからの発売となっています。
電動コンパクトマシンガンシリーズは、昨今では非常に珍しいバッテリー、充電器が同梱されたフルセットでの販売になっており、他の電動ガンと違い本体を購入しただけで、充電すればすぐに遊べる仕様になっているのが特徴です。
また、フルセットながら価格帯も抑え気味のため、「電動ガンとか気になるけれど、バッテリーとかまで揃えるのは予算が厳しい」という新規ユーザーの方にもオススメのシリーズだと思います。
MP7A1はカタログ上では、全長380mm、重量1,390gとかなり短く軽いモデルになっています。
通常の電動ガンで比較的小型とされているG3SASが、同カタログ上で全長487mm、重量2,200gということを考えるとかなりコンパクトかつ、軽量なモデルであることがわかります。
実際に箱から出して持ってみると、カタログ上の重さから考えるとズッシリと感じます。
外観もスリムなため、実際に持ってみないと分からない重量感があります。
外装はほぼプラ製で、上部と左右のレイルマウント、フロント・リアサイト、フラッシュハイダーが亜鉛ダイキャスト製です。
プラ製のフレーム部分はブラスト処理がされており箱出しの状態ではかなり綺麗な仕上げになっていますが、ぶつけたりすると傷が目立つようになります。
本体フレームは左右2パーツが接着されており、パーティングラインがはっきり分かるレベルで残っています。
簡単に接着が剥がれるといったこともなく、かなりしっかりと接着されているようです。
フロント・リアサイト共に可倒式サイトになっており、倒した場合には白のドットが打たれたオープンサイトになります。
上部のレイルマウント上にプラスネジで固定されているため、大き目の光学サイトを使用する場合などには簡単に取り外すことが可能になっています。
リアサイトの箱出し時の装備位置の前方、レイル中央にモーターのギア神あわせを調整するための小さい穴が開いています。
マウントレイルは20mm規格で、MP7A1のほぼ端から端までの長さがあるため、様々なオプションを装備です。
MP7にはフォアグリップが標準装備されています。
折りたたみ式になっており、使用しない際は倒してコンパクトに仕舞うことが可能です。
引き出す時はそのまま、垂直の位置まで引き出すことにより固定され、たたむ時はフォアグリップ下部にある、スライド式のレバーを引っ張りながらたたみます。
ガタツキはほとんど無くかなりしっかりした作りになっていますが、可動することに加えて素材も樹脂製のため強い力をかけた場合、破損しそうです。
フラッシュハイダーはバードケイジタイプになっています。
取り外して、付属しているサイレンサーアダプターに交換することで、M14逆ネジのサイレンサーを装着することが可能になっています。
ストックはスライド式になっており、フレーム後部の右側のレバーを押し込むとわずかにせり出し、操作出来るようになっています。
スライドストックのポジションは2箇所のみで、限界まで伸ばすか、完全に仕舞うかのどちらかのみ可能になっています。
ストックのバットプレート下部に2つの穴が開いており、レシーバー後部を固定するピンを抜いて分解する際に、ここに差し込むことにより紛失することを防げるようになっています。
マガジンはスチールプレスのアウターの内部に6mmBB弾を50発まで装填可能になっています。
オプションとして190連のロングマガジンもあり、用途に合わせて選べるようになっています。
190連のロングマガジンは他の電動ガンの多段マガジンと同じように、ゼンマイを巻いて使用するタイプになっています。
ロングマガジンは通常のマガジンの倍近い長さがあり、使用時には下方向へかなり長くなるため、気になる人も多いかもしれません。
バッテリーの交換はフロント部分を取り外して行います。
本体前部の上側にあるボタンを押し込むことで、フロント部分を外せる仕組みになっています。
バッテリーは電動ハンドガンと良く似た形状をしていますが、サイズが微妙に違うため互いの互換性はありません。
バッテリーの交換は差し込むだけで可能になっています。
上下と前後があるため、方向が間違っていると奥まで入らないようになっています。
取り外す際はバッテリースペース上部にあるレバーを引き出すことにより、バッテリーを引き出すことが可能です。
また、公式HP内のカタログにも記載されていますが、セレクターをセフティ位置にしないと、バッテリーの交換が出来ない仕様になっています。
HOPUPは小型ながら、可変HOPになっています。
HOPの調整はエジェクションポートから調整用のダイヤルを操作して行えるようになっています。
エジェクションポートの開閉はチャージングハンドルに連動しています。
実射して感じたことは、やはりバッテリーの容量に不安があるように感じました。
フルオートはそれほど気になりませんが、セミオートの反応が遅いように感じました。
新しく採用されたコンパクトメカBOXも、シリンダ内容量が少なめなのか、空気のルートが長めなのか電動ハンドガンよりも少し、上程度の初速でした。
バッテリーの容量不足に関して、純正のバッテリーでは対策をすることが出来ませんが、カスタムパーツメーカーから変換アダプターが発売されているため、それを利用して大容量のリポバッテリーの使用が可能です。
ほとんど無いと思いますが、これが原因により破損した場合などには、東京マルイによる修理を受けられなくなる可能性があるため、使用は自己責任になります。
弾道自体はマルイ製ということもあり、安定した弾道になっています。
可変HOPを調整すれば、低初速ながらもそれなりの距離まで狙えるかと思います。
短い全長を生かして、サイドアームとして利用できるほか、視界の広いオープンタイプのドットサイトとショートタイプのサプレッサーを装備すれば、コンパクトな利点を潰すことなく、機動力を生かしたメインアームとしても使用出来ると思います。
気になった点は、190連のロングマガジンを使うと、たまに給弾不良を起こすことがありました。
これについては通常の50連マガジンを多めに持つか、社外品の100連マガジンを利用するなどの対応が可能です。
社外品の100連マガジンは純正190連マガジンと同デザインになっているため、ロングマガジンの外見が苦手な方にはオススメしません。
社外品の100連マガジンは外装含めプラ製ということでチープさがありますが、その分軽量で安価(1マガジンで約1,000円)という利点があります。