東京マルイより発売されているガスブローバックガンの「デザートウォーリア 4.3」のレビューです。
直接のモデルとなっているのは、クローンM1911のカスタムメーカーであるキンバー社から流通されている「デザートウォーリア」かと思います。
デザートウォーリアはキンバー社が米海兵隊向けに開発したカスタムモデル「MARSOC(マーサック)」をコマーシャルモデル(民生品、シビリアンモデルとも言われます)として発表した「ウォーリア」のデザートカラーモデルです。
東京マルイから発売されているデザートウォーリアはこの銃をイメージしたモデルですが、この銃そのものではなく、独自のアレンジ(スライドにハイキャパのものを使用している等)がされています。
また、キンバー社製のデザートウォーリアは過去にウェスタンアームズが、マグナブローバックシリーズの1つとして発売しています。
特徴はアンビタイプのマニュアルセフティと、アンダーマウントレイル、固定式のリアサイトで、これらの特徴は東京マルイから発売されたデザートウォーリアでもしっかり再現されています。
本体は東京マルイが発売しているガスブローバックガン、MEUピストルのフレームにハイキャパ4.3のスライドを載せた物になっています。
そのため前述した通り、本トイガン自体は実銃には存在しない架空のモデルです。
架空のモデルでこそありますが、デザイン自体は綺麗にまとまっています。
全体のカラーリングは砂漠戦を想定したイメージのデザートカラーになっており、スライドやフレームはタンカラーのつや消し仕上げ、トリガー、ハンマー、マニュアルセフティ、グリップセフティ、フロントとリアのサイトがブラック塗装、アウターバレルとチャンバー部がシルバーになっています。
各所に黒いパーツが点在しているためかタンカラーでありがちな、のっぺり感がかなり緩和されて引き締まった印象を受けました。
グリップを固定しているスクリューは6角ネジで、ガンメタルのような仕上げになっています。
デザートウォーリアの外見で目立つのが、トリガーガード前部に付けられたアンダーレイルです。
規格は20mmピカティニー準拠になっており、各種オプションの取り付けが可能になっていますが、レイル自体は樹脂製のため、極端に重いオプションなどを装備するのに向いていません。
固定はレイルを左右からネジ留め+フレームに開けられた穴とレイルにあるピンをあわせる方式をとっているため、ネジを外して左右に分割することにより簡単に分解が可能になっていますが、フレーム側に固定用のピンを受けるための穴が開いているため、取り外した状態では不恰好なデザインになってしまいます。
スライドはフレームと同様のタンカラーのつや消し仕上げになっており、フロントサイトにホワイトドットを打ったものになっています。
リアサイトはノバックタイプのサイトになっていますが、こちらにはホワイトドットは打たれていません。
フロントのみのドットですが、サイト自体は見やすく、狙い易いように感じました。
また、砂漠戦用をイメージしているからか、フロントとリアのサイトまでの間の部分には、陽炎が立ち上るのを防ぐためにか薄っすらとセレーションが切ってあります。
スライド内部はホールドオープン時にノッチやスライドストックが削れて磨耗、破損してしまうことを防ぐために金属製のノッチスペーサーをを装備しています。
バレルはインナーバレルが真鍮製、アウターバレルは樹脂製のシルバー仕上げになっており、コーンバレルになっています。
インナーバレルは通常時はアウターバレルの奥に入っているため、正面から見ないと見えないようになっていますが、ホールドオープンした際にはアウターバレルが後退するため、インナーバレルがマズル付近まで前進したように見えます(実際にはアウターバレルが後退しているので逆ですが)。
グリップはシングルスタックマガジンを使用していることもあり、薄く持ちやすいデザインになっています。
グリップパネルは樹脂製のガナータイプで、本体のカラーリングよりも僅かに白寄りの色になっており、黒仕上げの各部パーツなどとともに本体の良いアクセントになっています。
グリップは6角ネジで固定されており、内部には金属製の錘がはめ込まれています。
このグリップは、MEUピストルと互換性があります。
そのためデザートウォーリアーにMEUピストルのグリップを付けたり、逆にMEUピストルにガナータイプの本グリップを装備することが可能です。
セフティはマニュアルセフティとグリップセフティの2種類になっています。
マニュアルセフティは左右からの操作が可能なアンビタイプで動作は軽めですが、軽すぎ、緩すぎということも無く、しっかりとした動作です。
グリップセフティはビーバーテイルタイプのものが装備されています。
こちらもそれほど重くなく、しっかりと握れば確実にセフティが解除される硬さになっています。
マガジンはMEUピストルとの共用マガジンで装填数はダブルカラムで6mmBB弾を28発装填可能です。
実銃ではシングルスタックのマガジンなため、とても薄くなっており、少しガスタンクの容量が少ないかなという印象です。
しかし、動作自体は軽快でガスをフルに充填すれば、気温が低い時期などを除けば1マガジン28発をほぼ確実に撃ち切れます。
また、一部のマルイ製のガバメント用のマガジンも使用可能になっています。
HOPUPは可変式で、調整はスライドストップ外してスライドをフレームから分解することで可能、調整はダイヤル調整式になっています。
しかし、現在のマルイ製のガスブローバックガンの多くは、出荷時にほぼHOP適正状態に調整されているためBB弾の重量が大きく違うなどの特別な場合を除いて、調整が必要なことは殆ど無いかと思います。
実射性能は箱出し状態でも適正なHOPがかかっており、かなり綺麗でフラットな弾道を描いていました。
ガスブローバックとしては、かなり良好な弾道かと思います。
また、ブローバックユニットにハイキャパ4.3と同等のものを使用しているためかブローバックのキレもなかなか良かったです。
一方で少し気になる点もあります。
トリガーのストローク自体は短めで引き易いのですが、最後の発射する直前の部分が少し重めかなと感じました。
そのためスピードシューティングなどに使うというのは難しいかな、という印象を受けました。
また、角ばったスライドとレイルマウントのせいで、ホルスターに入らない場合もあります。
この点は折角のコンパクトなデザインが生かしきれていないかなという印象です。
レイルマウントを取り外してもフレームに穴が空かないといった点があれば、それだけでも大分印象変わったと思います。
全体的に見ると、架空の銃なため、好き嫌いの分かれる部分があるかと思いますが、許容出来るならぜひオススメしたい1挺かなと思います。
シングルスタックゆえの小柄の人でも持ちやすいグリップと、28発のハイキャパシティ、安定した動作、弾道とどちらかと言うとサバイバルゲームでサイドアームに使いたくなるガスガンかなという印象です。
マガジンが薄いためガスタンクの容量が少し少なめというデメリットはありますが、1マガジン撃ち切る分には十分な容量でもあるため、大きなデメリットというほどでは無いと思います。
また、MEUピストルやハイキャパ4.3の一部パーツに互換性があるため、外装を自分好みにアレンジしたりできるのも、いいポイントだと思います。
文:T.To