マルシン工業から発売されているガスガン、M1911A1(デュアルマキシ、バージョン2)のレビューです。
バージョン2とバージョン1では一部仕様に違いがあります。ご注意ください
実銃のM1911A1
モデルとなっているのはアメリカの銃器メーカー、コルト・ファイアーアームズ社で開発された、自動拳銃のM1911です。
「コルトガバメント」の愛称で親しまれていますが、この愛称は民間モデルの名称が、ガバメント・モデルという名称で発売されていたことに由来しています。
1911年に米軍に制式採用され、1985年にベレッタのM9に移り変わるまでの70年間使用されてきました。
米軍の制式採用から外れたあとも、一部の部隊でカスタムしたM1911が使用されていました。
その後も民間用の拳銃として人気が高く、護身用や競技用として用いられています。
米軍で半世紀以上の長い期間、制式採用されてきたこともあり、アメリカ人にとって、とても馴染み深い存在でもあります。
それ故「米国で最も有名な銃」などと呼ばれることもあり、コルト社のパテントが終了した現在では、各社からカスタムモデルなどが開発、発売されているだけでなく、他国の銃器メーカーがアメリカ市場に焦点を合わせた商品を開発する場合には、M1911に近い操作性や使用感、M1911と同様の弾薬を使用可能にするなどの方針を採用するメーカーさえあるほどです。
日本国内でも戦後に米軍の余剰品を供与されていたため、一部の警察や自衛隊などで使用されていた時期があります。
しかし、自動拳銃ゆえに取り扱いが難しく、整備不良や老朽化による動作不良や暴発などのトラブル・事故が相次いだため、早い段階で退役が決定しました。
その後、日本では警察が発砲する機会が少ない点や一般の警察官は銃器の手入れをあまりしないこともあり整備面、動作面で優れた回転式拳銃の採用がされていくことになりました。
1911年に世に出てから今までほとんどのパーツの設計が変わっていないこともあり、カスタムパーツの豊富さは郡を抜いており、今なおカスタムパーツが増え続けているほどです。
グリップパネル一つとっても、木製からラバー製、アルミなどの金属性、高価な象牙を用いたグリップパネルなど多岐に渡ります。
そんなM1911のガスガンである本モデルの特徴は何と言っても「ライブカートのオートマチック」という点にあると思います。
リボルバーや、海外のトイガンメーカー製の大型対物ライフルなどではライブカート式のものがありますが、オートマチックでライブカートというのはかなり珍しいです。
ガスタンクのスペース関係でフルサイズとはいえない小さい薬莢ですが、それでもマガジンに一発ずつカートリッジを込める動作や、ブローバックした際に放物線を描いて飛んでいくカートリッジは見ていてかなり「楽しい」ものになっています。
バージョン2での変更点
今回のM1911A1は、バージョン2ということで初期のものと変更点があります。
まず、カートリッジが変更されました。
バージョン1ではカートリッジはアルミ製の物でしたが、バージョン2からはプラ製のものに変更されました。
プラ製ということで安っぽさこそありますが、形状はデュアルマキシシリーズの中では優秀だったCz75と同様のものになっています。
そのため、バージョン1と比べると動作が良くなり、アルミのカートリッジと比べて軽いためか、廃莢時には非常に勢い良く飛んでいきます。
また、バージョン1ではカートリッジは装填数8発に対して8発のカートリッジが付属していたため、1個でも紛失してしまうと、最大まで装填出来ないことがありましたが、バージョン2では24発のカートリッジが付属しているため、多少の紛失は気にならないようになっています。
そして、もう一つの変更点として、HOPUP機構がオミットされた点があります。
実際に分解してチャンバーを覗いてみるとパッキンの上側には出っ張りが無く、円形のものになっています。
あくまでも実銃同様の動作を楽しむためのものという、一種の潔さを感じる仕様になっています。
デュアルマキシシリーズ全般に言えることですが、このシリーズのガスガンは屋外のサバイバルゲームで使うものというよりは、お座敷シューターが動作を楽しむためのものという意味合いが強いように感じるため、HOPをキャンセルし動作を確実にするという点はいい対処だと思います。
外装はほとんどプラ製になっており、フロントとリアサイト、ハンマー、トリガーは金属製になっています。
黒部分の仕上げはつや消しの黒でされています。
デザインは通常のM1911ではなく、タクティカルモデルをイメージしているため、デザインが一部変更されており、どちらかと言うとコルト社のM1911というよりもキンバー社製の「キンバー カスタムⅡ」に近いデザインになっています。
主な変更点はトリガーガード前部にレイルマウント装備、ハンマーがキンバータイプ風のリングハンマーに変更、トリガーがスリーホールタイプに変更、グリップセフティがビーバーテイルに変更、グリップ底部にマガジンウェルを装備、リアサイトがノバックサイトに変更、スライドに掘られているセレーションが斜めになっているという変更点があります。
外装がほとんどプラ製ということで安っぽさが気になりましたが、実際に箱から出して手にとってみるとそれほど気になるものではありませんでした。
つや消し黒の仕上げも、バージョン1よりも質感が向上したように感じます。
マルシン製ということで箱出し時点で小さな傷がありましたが、使っているうちに傷だらけになると思うので、それほど気になる点では無いかと思います。
フレームのパーティングラインも「ほぼ」綺麗に処理されています。
トリガーガードの内側だけ、パーティングラインが残っていましたが、これが個体差的なものなのか、費用削減でこうなっているのかは分かりません。
多分仕様です。
カートリッジにBB弾を装填すると、バージョン1と同じように、多少カートリッジのパッキンに個体差があるように感じました。
マガジンに装填する際には手前で押し込んでから、奥まで差し込む動作のため、慣れるまで少し手間取るかなと思いました。
スライドを引いた感じは、カートリッジを飛ばすためにわざとなのか、かなり軽い印象を受けました。
実射性能はお世辞にもよくはなく、正直なところBB弾が出るだけといったレベルです。
5mの距離でもかなり弾道がブレる上、10mを越えた辺りから失速し始めるほどです。
しかし、撃つたびに薬莢が飛ぶのは見ていてかなり面白く、あくまでも実射性能云々といった物ではなく、リアルな動作を楽しむためのトイガンといった印象が非常に強かったです。
一方で問題点も多く、ガスの充填量が多すぎる場合や、夏場など高温の場合といったガスの効率が高くなる場面ではマガジンに付いているゴム製のパッキンが、ブローバック時にカートリッジと一緒に飛んでいってしまうことがあるようです。
パッキンはカートリッジとは違い、予備などは付属していないため注意が必要です。
(当方のマガジンでは発生しませんでしたが、対処としてはガスの充填量を加減する、夏場に日の光に当てないなどで十分対処可能だそうです)
また、カートリッジの個体差によってパッキンの硬いものがあり、そのカートリッジに装填したBB弾が発射されず、本体内部に残ってしまうことがありました。
全体的に見て、ジャムも良く起き、BB弾の発射性能はオマケレベルになっていますが。
装填する時点から楽しいというのは他のガスガンには無い、このシリーズ特有の特徴だと思います。
ジャムが起きやすい点も、逆に言えばジャムから復帰する動作を楽しめるという意味でもあるため、あながちデメリットというものでも無いように感じます。
カートリッジがかなり飛ぶため、本体購入時には一緒にカートリッジを多めに購入するといいかもしれません。
室内で何となく撃って遊びたい方などにはぜひオススメしたいシリーズです。