- 戦艦(Battleship)
- 巡洋艦(Cruiser)
- 駆逐艦(Destroyer)
- 護衛艦(Destroyer)
- フリゲート(Frigate)
- 航空母艦(Aircraft carrier)
- 潜水艦(Submarine)
- 軍艦の種別 まとめ
- これからの艦種分類
巡洋艦や駆逐艦を見て戦艦と呼ぶ・・・とてもありがちな勘違いです。
ニュースやテレビ番組などでそんな表現をしているのを聞いて、もやっとする人は少なくないはず。
ここでは、各艦種をわかりやすく解説いたします。
戦艦
英語表記:Battleship
By: Charles Atkeison
高い防御力と圧倒的な火力を併せ持つ、かつて海戦の花型だった艦種で、強力な大口径主砲と、その主砲に耐えられる厚い装甲を持つことが、戦艦の定義であるとされています。
火力装甲ともに強大で、かつては強力な戦艦の存在が戦略的にも重要視されていました。
しかし、第二次世界大戦の頃には戦艦の活躍の場である艦隊決戦そのものが発生しなくなったことや、航空機で戦艦を撃破することが容易だと明らかになったこと、そしてミサイルの発達によって、戦艦は次第に姿を消していきました。
第二次世界大戦後、航空機・ミサイルの発達により主役の座を空母に譲り、アメリカ海軍のアイオワ級戦艦(ミズーリ、ウィスコンシンなど)などを最後に、現在では運用中の戦艦は存在しません。
巡洋艦
英語表記:Cruiser
By: LW09
クルーザーという言葉から受けるイメージのとおり、大洋を巡回できる航続性能を持つ軍艦で、大型で鈍足の戦艦に対し、比較的、小型で高速の艦が巡洋艦と呼ばれています。
戦艦よりも火力が低く装甲も薄いですが、速度があり小回りも効いて航続力もあったため、戦艦と後述の駆逐艦の中間的な性質を持つ艦として運用されました。
また、かつては巡洋艦の中でも大口径の砲を積んでいるものを重巡洋艦(Heavy Cruiser)、そうでないものを軽巡洋艦(Light Cruiser)と呼称していました。
重巡洋艦は火力こそ高いですが、戦艦のように自身の持つ主砲と同等の砲撃には耐えることはできません。
第二次世界大戦後にミサイルが発達し、大口径砲を積む意味がなくなったことで、軽巡洋艦と重巡洋艦の区別は、自然消滅しました。
駆逐艦
英語表記:Destroyer
「破壊するもの」「駆逐」という、おどろおどろしい名に反した、小型で低火力の艦艇です。
なぜ、このような小型艦がデストロイヤーと呼ばれるようになったか?というと、駆逐艦の登場以前に猛威を振るっていた水雷艇を破壊・駆逐するために作られた軍艦だからです。
水雷艇は駆逐艦以上に小型で、その高速性を活かして戦艦のような大型艦に魚雷を撃ち込んで撃破する、いわば、ジャイアントキリング専門の軍艦でした。
これに手を焼いた各国の海軍が、高速で小回りの効く水雷艇を駆逐できるだけの性能を持たせて作り出したのが、この駆逐艦でした。
駆逐艦の登場により、水雷艇は本当に戦場から駆逐されてしまい、以降は巡洋艦より更に小型で小回りの効く艦として扱われるようになりました。
駆逐艦(Destroyer)という名称はその名残りで、駆逐艦は巡洋艦ともども、現代でも運用されています。
現代における両者の違いは比較的大きくて航続力の高いものは巡洋艦、比較的小さいものは駆逐艦とされていますが、駆逐艦の大型化も進んでおり、あまり意味のある区別ではなくなりつつあるようです。
ちなみに第二次世界大戦の頃の日本では、駆逐艦やそれより小さい艦や潜水艦は「軍艦」とは呼ばれませんでした。
護衛艦
英語表記:Destroyer
海上自衛隊が運用する比較的、大型の水上戦闘艦で、護衛任務に特化した艦種の総称を護衛艦と呼びます。
護衛艦は、あくまで水上で運用される戦闘艦であり、輸送船や潜水艦は含みません。
この定義を満たす海上自衛隊の艦は何であろうと護衛艦(Destroyer)で、英語表記では駆逐艦と同じです。
たとえ、どれだけ巨大であろうと、他国の基準ではヘリ空母に該当するかもしれなくても、例外なくデストロイヤー扱いとなります。
何だか、ずるい気がしないでもありませんが、自衛隊は軍隊ではないという建前があるので仕方のないことかもしれません。
フリゲート
英語表記:Frigate
主力艦よりも小さくて、主に護衛任務を中心とした小型~中型の水上戦闘艦です。
艦隊や商船団の護衛し、哨戒任務を行う高速、機動性の高い小型~中型の軍艦で、対潜戦(ASW)・対空戦(AAW)・対水上戦(ASuW)をバランスよくこなします。
表現がやたらと曖昧なのは、フリゲートという艦の定義そのものが時代によって変わるので、一言で表現するならこうとしか言えないからです。
少なくとも第二次世界大戦及び現代においては、駆逐艦より小型で低速な艦を、フリゲートと呼んでいます。
例によって大きさでの区別は意味をなさなくなってきていて、その国が「これはフリゲートだ」と言えば、フリゲートであると扱われているのが現状です。
ちなみに、フリゲートには、デストロイヤー=駆逐艦、クルーザー=巡洋艦といった漢字表記は存在しません。
航空母艦
英語表記:Aircraft carrier
通称、空母。
ご存知のとおり、海上での航空機の離着陸や、整備を行うための軍艦です。
第一次世界大戦頃から本格的に運用され始め、第二次世界大戦では航空機の性能向上も手伝って、それまでの海戦のやり方を大きく変えてしまいました。
現代においても戦略的な価値の高い軍艦ではありますが、問題点は何を置いても莫大なコストで、空母と艦載機の運用には膨大な人員が必要となり、空母は海に浮かぶ町のようなものだとすら言われるほど。
しかも整備のことを考えたら一隻や二隻では足りず、三隻四隻と用意してローテーションを組まなければならなくて・・・と、国家のお財布を貪る大食らいでもあります。
戦略級の兵器でなおかつお金が掛かり過ぎるというのは、第二次世界大戦までの戦艦を思わせる立ち位置ですね。
空母を正規空母と軽空母に分けることがありますが、その分類方法は時代や国によって、ころころと変わります。
代表的なところをあげると、最初から空母として完成したものは正規空母。輸送艦や客船を改造したものは軽空母、戦闘機以外の大型機も運用できるものは正規空母。そうでないものは軽空母、未改造状態で高性能を誇るものは正規空母。性能的に不足があるものは軽空母、大きい物は正規空母。小さいものは・・・などなど。
ちなみに現代における定義は、下記となっているようです。
- 正規空母 - 滑走路とカタパルトで普通に艦載機を離着陸可能
- 軽空母 - 垂直離着陸機のみ離着陸可能
潜水艦
英語表記:Submarine
水面下に、艦全体が潜行できる軍艦です。
第二次世界大戦頃から現代にかけての進化が目覚ましい艦種であり、潜水艦だけでも多くの種類が存在します。
By: DVIDSHUB
海に潜っているため、あまり目立つことの無い艦ですが、現代においては戦術的にも戦略的にも海軍の主力と言って差し支えありません。
なお、現代の自衛隊が原子力潜水艦を採用しない理由については、核動力を避けたいという政治的な理由だけでなく、日本の戦略にはあまり向いていないという現実的な理由もあります。
潜水艦は静音性が命、いざとなれば動力を止めて敵をやり過ごすこともあります。
それを考えると、つけたり消したりが難しい原子力潜水艦よりも、比較的気軽に動力を止められる通常動力の方が有効というわけです。
原子力潜水艦が輝くのは、長距離ミサイルを抱えて広い海に潜んで敵を牽制する役割なので、日本の専守防衛の基本方針に合わないわけですね。
軍艦の種別 まとめ
軍艦比較表
以下に、戦艦・巡洋艦・駆逐艦・護衛艦・フリゲート・航空母艦・潜水艦について、運用目的/武装/排水量/防空能力/特徴を比較表にまとめました。
| 艦種 | 主な 運用目的 |
主武装 | 排水量 (目安) |
防空能力 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 戦艦 | 艦隊決戦 水上砲戦 |
大口径主砲 (35~46cm級) 副砲 |
3~7万T | 中 (対空砲) |
厚い装甲と圧倒的火力。 現代は運用なし |
| 巡洋艦 | 艦隊中核 防空・対水上戦 |
対空ミサイル 対艦ミサイル 中~大口径砲 |
0.8~2万T | 高 | 駆逐艦より大型・高性能。 駆逐艦と境界が曖昧 |
| 駆逐艦 | 艦隊護衛 防空・対潜 |
対空ミサイル 対艦ミサイル 魚雷 |
0.5~1万T | 非常に高 | 海軍の主力水上戦闘艦。 多層防空が可能 |
| 護衛艦 (日本) |
防衛 護衛全般 |
対空ミサイル 対艦ミサイル 魚雷 艦砲 |
0.2~1万T | 艦型による | 憲法上「軍艦」を避けた名称。 駆逐艦・フリゲート相当 |
| フリゲート | 船団護衛 対潜戦 |
中口径砲 対潜魚雷 ミサイル |
0.2~0.6T | 中 | 駆逐艦より小型・低コスト。 対潜重視 |
| 航空母艦 | 航空戦力の 運用・投射 |
艦載機 (戦闘機・攻撃機・早期警戒機) |
2~10万T | 高 (護衛艦と連携) |
現代の主力艦。 自艦の武装は限定的 |
| 潜水艦 | 隠密攻撃 制海・抑止 |
魚雷 対艦ミサイル |
0.2~1万T | ほぼなし | 高い隠密性。 奇襲・抑止力に優れる |
軍艦まとめ
- 戦艦 - 厚い装甲と圧倒的火力(過去)
- 巡洋艦 - 大型万能艦
- 駆逐艦 - 現代の主力戦闘艦
- 護衛艦 - 日本のみ、実態は駆逐艦・フリゲート相当
- フリゲート - 護衛の専門家
- 空母 - 航空戦力の海上基地
- 潜水艦 - 見えない切り札
これからの艦種分類
いくつかの項目で書いた通り、艦の分類は時代によって変わります。
重巡洋艦と軽巡洋艦の区別がなくなったように、今使われている艦種もいつかは使われなくなるかもしれませんし、それとは逆に、今までにない艦種が増えることもあるはずです。
駆逐艦と巡洋艦の区別がなくなってどちらかに統合される可能性だって考えられ、現実に、アメリカ海軍ではフリゲートの調達を止めて沿海域戦闘艦(Littoral combat ship)という新たな艦の調達を計画しています。
この流れが続けば、フリゲートという艦種は消滅し、その後釜を沿海域戦闘艦が埋めることになるでしょう。
兵器の進化は日進月歩。
兵器が進化すれば分類だって変わります。
これまでの分類を振り返りながら、これからの分類に思いを馳せてみるのも面白いかもしれません。
