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最大級の兵器、原子力空母

超巨大な航空母艦として知られる原子力空母は、長大な航続力を持ち、海の要塞とも言われるほど、戦術的にも重要な存在として有名です。

この原子力空母についてメリットや、デメリットもふまえ、詳しくご紹介したいと思います。

世界初の原子力空母

1960年に進水したアメリカ海軍のエンタープライズこそが、世界で始めての原子力空母であり、移動できる兵器としても、最大クラスの大きさを誇っていました。
(エンタープライズの名を持った船はいくつかあり、原子力空母となったのは、CVN-65というモデルです。)

2012年に退役するまで、実に50年近く活躍した空母ですが、燃料が燃料なだけに、解体して取り出す必要があるので、原型は残らないであろうと言われています。

その強大さからビッグEという相性で親しまれた、アメリカ海軍の顔ともいうべき存在でした。

原子力のメリットとは何か

最大のメリットともいえるのは、燃料補給の負担が殆どないし、全速での航行を気にすることなく行えるために、長距離長時間の航海が可能な事でしょう。

それにくわえ、重油燃料などを積んでおくスペースも必要ないので、弾薬や航空機の燃料を積載できる量が多く、兵站の面からとても有益です。

また、動力にゆとりがあるため、最新電子機器による莫大な電力消費にも対応できるので、追加兵装をとりつけるのにも動力面から見直す必要はありません。

加えて、煙突が無いため、排煙による腐食もないし、煙路・通風路を確保する必要もないため、格納スペースをより広く確保できます。

原子力のデメリット

まず、莫大な初期投資と運行経費が必要となる上、核事故や戦闘時の被害によっては、放射能汚染のリスクが付いてまわるという事でしょう。

世界には現在、11機の原子力空母があるといわれていますが、そのうち10隻がアメリカ海軍のもので、残り1席はフランス海軍のものしかありません。

例えば日本の場合は、原子力であるというイメージの悪さを抜いても、コスト面を考えるとあまり意味がありません。

そしてなにより、長期航海を経て進軍するという事がありえないので、自衛に徹している以上、その最大のメリットを活かしきれません。

また、搭乗員には常に特別な知識をもつ技術者が必要となりますし、古いモデルの場合は、一度ドッグ入りすると炉心交換などで、非常に長い期間の工事が必要となるなど、デメリットも存在しています。
(尚、最新モデルのものは、退役まで炉心交換不要な原子炉も設計されています)

大型空母の特徴

空母の戦力といえは、艦載している航空機であり、これを多く収容できる大型空母は、それだけ戦闘能力が高いということになります。

しかも備蓄が多いし、巨大ゆえ、被弾時の抗甚性が高く、波浪に対する安定性も高いため、航空機の着艦が安定して行えるのも非常に大きなメリットとなっています。

最近では、その輸送量や搭乗員数を利用して、災害援助のような平和的利用にも活躍の幅を伸ばし、注目をあつめています。

逆に短所としては、あまりに戦略的価値が高すぎるため、沈没すればあまりに大きな被害を被ることとなりますし、小規模な紛争に派遣すると影響力が大きすぎるので、政治的に好まれないなどがあり、加えて修理や回収、世代交代のサイクルを考えると、複数の空母を所持しないといけないなどの制約を持っています。

空母の運用コスト

通常の動力で動く空母でも開発費だけで約3400億円、原子力の場合は、約7500億円かかるといわれています。

つまり、中国軍がアメリカ軍と同等の原子力空母を配備しようとした場合、開発費だけで7兆5000億円もかかってしまうわけです。

これ以外にも、運用維持費がかかり、世代が変わるごとに改修費もかかる上、破棄、処分するだけでも多額の費用が必要となります。

全原子力空母11隻

アメリカ軍の10隻

ニミッツ

1972年5月13日に進水した現行では最も古いモデル。

この艦を基本としているため、以降9隻も含めてニミッツ級航空母艦と呼ばれる。

ドワイト・D・アイゼンハワー

1975年10月11日に進水。

艦名は第34代アメリカ合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーから。

1970年代に進水したのはニミッツ含め、この2隻しか存在しません。

カール・ヴィンソン

1980年3月15日に進水。

生存中の人名を付けた最初の空母であり、由来となった人物は1965年に引退するまで、50年年間も国防力、特に海軍の強化に尽くしたとされる政治家です。

セオドア・ルーズベルト

1984年10月27日に進水。

アイゼンハワーと同じく、元大統領(第26代アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルト)の名を持つ母艦。

エイブラハム・リンカーン

1988年2月13日に進水。

こちらも有名な元大統領(第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーン)の名をもつ母艦。

この艦は新造時から満載排水量が10万トンを越えており、防御力も高い。

ジョージ・ワシントン

1990年7月21日に進水。

アメリカ合衆国初代大統領の名を持つ6番艦。

母港が神奈川県横須賀であるため、国外の基地を事実上の母港としている唯一の空母であるとともに、日本に配備された初の原子力空母でもあるので、賛否両論をうんでいます。

ちなみに現在はオーバーホール中で、代替空母はロナルド・レーガン。

ジョン・C・ステニス

1993年11月11日に進水。

艦名は、海軍力増強に努めたジョン・C・ステニス上院議員の名より。

現在は北朝鮮に軍事的圧力をかける目的で第7艦隊の管轄エリアに存在していると言われています。

ハリー・S・トルーマン

1996年9月7日に進水。

当初はユナイテッド・ステイツという艦名だったが、起工前に第33代アメリカ合衆国大統領ハリー・S・トルーマンにちなんだものに変更された。

ロナルド・レーガン

2001年3月4日に進水。

21世紀初の空母であり、第40代アメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンの名を艦名としています。

東日本大震災におけるトモダチ作戦で活躍したのはこの母艦。

ジョージ・H・W・ブッシュ

2006年10月9日に進水。

言わずと知れた元大統領ブッシュ名をもつ母艦で、現在最新鋭の原子力空母。

多くの新型装備を搭載していることでも有名で、後継艦となる「ジェラルド・R・フォード」の実験艦とみられる事も多い。

フランス軍の1隻

シャルル・ド・ゴール

シャルル・ド・ゴールは、1994年5月7日に進水した船であり、ヨーロッパの海軍では唯一の正規空母。

2007から2008年にかけて一度オーバーホールしており、現在はアラブにある過激組織「イスラーム国」を標的とした作戦に参加している。

これからの原子力空母

現在、建造中なのが、ジェラルド・R・フォード。

就役は2016年を予定しており、その内容は多く公開されているわけではないが、「ジョージ・H・W・ブッシュ」で試された、新型兵器類などを多く採用するであろうともいわれており、最新鋭にふさわしい母艦になるであろうことは明白です。

ちなみにこの母艦からミニッツ級ではなくなり、ジェラルド・R・フォード級となるので、大きな節目でもあります。

母艦好きとして期待したいのは、さらにこれ以降に計画されている空母で、2020年に就役予定のジョン・F・ケネディと、2025に就役予定のエンタープライズ。

特にエンタープライズは2013年に退役した母艦と同名なので、非常に大きな意味をもつ船だと思います!

あと10年近く先の船なので、どうなるのかはさっぱり不明ですが頓挫だけはしてほしくないですね。

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