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日本と魚雷

2015年4月30日 なみだめ ミリタリー雑学

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魚雷は目標物へと向かい水中を航行、爆発によって破壊することを目的とした兵器で、魚型水雷(ぎょけいすいらい)の略です。

その歴史は長く、海戦で用いられるようになってから、現在に至るまで技術レベルの向上に合わせ高度に発展、進化し今なお用いられている兵器の一つです。

第2次世界大戦では、もっぱら水上艦に対する攻撃兵器の一つとして用いられた魚雷ですが、現在では対水上艦攻撃は対艦ミサイルに、その立場を譲る形になっています。

しかし、完全に忘れ去られてしまった旧時代の兵器という訳ではなく、潜水艦が用いる対潜・対水上艦用の攻撃兵器(長魚雷)や水上艦・航空機が用いる対潜水艦用兵器(短魚雷)として、現在でも各国の軍隊に配備・運用されています。

また、高い隠密性を持つ潜水艦から撃ち出される魚雷は、一定の技術レベルを持った装備があれば十分対処可能な対艦ミサイルとは違い、現在でも対処が難しい攻撃の一つとされています。

現在の技術を持ってしても潜水艦からの雷撃への対処は、回避行動を取るか、こちらから先に潜水艦を補足、撃破する以外の方法は無いと言われています。

そのため、回避せざるを得ない場面において大型空母などは特に厳しく、潜水艦から不意に撃ち込まれる魚雷は大きな脅威の一つとされています。

魚雷は目標に直撃させ破壊するのはもちろん、磁気信管を用いた魚雷は直撃しなくても水中爆発によって発生するバブルパルスをもって目標を破壊します。

このバブルパルスという現象は大気中で発生する爆発による衝撃と比べると、より大きな破壊力を有しており、そのため大型の艦艇であっても大きなダメージを負う事になりかねないため、その脅威度が増しています。
(実際、魚雷が命中し、バブルパルスが発生した場合には艦が艦橋から真っ二つということも不可能でありません)

Mark 14 Steam Driven Torpedo

By: Cliff

魚雷は現在でも多くの国で配備されている兵器で、日本ももちろん旧日本海軍時代から始まり、現在の海上自衛隊まで魚雷を使い続けています。

日本最初の魚雷は日清戦争の威海衛の戦いの際に使われます、威海衛湾内へ侵入した日本の水雷艇部隊が小さくは無い戦果を上げ、その後の日露戦争でも日本海海戦にて水雷艇と駆逐艦は活躍、これにより日本海軍は魚雷の有用性について注目することになります。

魚雷の有用性を認識した日本海軍は研究を続け、1933年に酸素魚雷を開発・実用化させます。

酸素魚雷というのはその名称の通り、通常の魚雷では酸化剤として圧縮空気を用いるのに代わり、より酸素濃度の高い酸素混合気体や純酸素などを酸化剤として用いている魚雷のことです。

ちなみに日本国内において酸素魚雷と呼ばれた場合には第二次世界大戦中、世界で唯一実用化され、実戦に投入された酸素魚雷である「九三式魚雷」や「九五式魚雷」を指す場合が大半です。
(「九三式酸素魚雷」という名称を用いる方が居ますがこれは正式名称ではありません。酸素魚雷は当時の高レベル軍事機密の一つだったため、名称に用いることが出来ませんでした)

この酸素魚雷ですが、この時点でかなりの性能を誇った兵器で、単純に酸化剤を空気から酸素に変えただけだろうというとまさにその通りなのですが、それを行うためにはそれなりに高度な技術レベルを要求されます。

各国でも酸化剤の酸素濃度を上昇させることにより、高性能な魚雷を作ることは計画されていましたが、酸素濃度が高いというのはそのまま「良く燃える」ということになるため非常に危険でもあります。

日本はこの点を魚雷のエンジン始動は通常の空気で行い、徐々に酸素の濃度を上昇させる方法を用いることにより克服、結果として純酸素魚雷の実現に至ったのは日本の酸素魚雷のみになっています。

酸素魚雷の優位性についてですが、大気中の空気に含まれる酸素は概ね20%なので、100%酸素で構成された純酸素を充填した場合には、単純に5倍の量の酸化剤が入っている計算になります。

さすがに5倍の酸化剤が入ってるから射程5倍という単純な話にこそなりません(酸化剤が少なく済む分、炸薬量を増やせる利点があります)が、それでも第二次世界大戦開戦当時の米国産魚雷と比較すると、炸薬量が1.7倍、航行速度が1.2倍、最大射程が4倍と、かなり性能に開きがあります。

また、酸化剤が空気の場合には空気中に含まれる窒素が長い航跡となって現れるため目視でも発見されやすい一方、酸素魚雷の場合には燃料の燃焼後には炭酸ガスが発生し、これを放出します。

炭酸ガスは海水に溶けやすいこともあり、航跡は数m程度と非常に短く、短い航跡は目立ちにくく、回避が難しくなるという利点があります。

酸素魚雷はその長い射程ゆえに米軍からは「long lance=長槍」とも呼ばれ警戒されました。

開戦当時こそオーパーツとでも言えるような性能の酸素魚雷でしたが、開戦当時の米国は魚雷に対しては割と無頓着だったため、これほどの差があったという点も事実です。

終戦間際になると米国をはじめとした各国の魚雷の性能もかなり上昇し、特に単純な水中破壊力であれば、酸素魚雷である九三式魚雷に用いられていた爆薬の1.4倍の破壊力を米国の魚雷は持っており、潜水艦からの雷撃により撃沈させられた日本海軍の艦艇が増えた理由でもあります。

それでも尚、酸素魚雷には高速かつ長射程という利点があり、必ずしも完全に追い抜かれてしまったという訳ではなく、相対的に見れば「規格外の高性能兵器」から「常識的の範囲内で強力な兵器」になった程度の変化しかありません。

余談ですが、長射程に関する恐ろしい出来事として「外した魚雷が味方に命中してしまった」という話や「外した魚雷が数km先にいた別の敵艦に命中して大破、撃沈した」という話があります。

酸素魚雷以外の魚雷も高性能なものが多く、航空機に装備する航空魚雷の主力だった九一式魚雷は、酸素魚雷でこそ無いものの、掛け値なしの世界最高の航空魚雷とも言われています。

九一式魚雷には高度な数学理論による、安定システムが搭載され、航空魚雷の多くが酸素魚雷ではなかった理由として、航空魚雷は航行速度や射程、隠密性といった、酸素魚雷の利点を必要としない兵器だったという点があります。

現在においても日本は変わらず魚雷に関して高い技術力を持ち、海上自衛隊で現用されている「89式対潜魚雷」や現在開発中の新世代魚雷「G-RX6」はどちらも高い性能を有しており、現用の89式は公称ではアメリカのMk.48改とほぼ同スペックですが、一説によれば最大航行速度は70ノット(時速130kmくらい)になるという説があります。

この速度を超える魚雷はスーパーキャビテーション魚雷であるシクヴァル(ロシア製)など限られたごく一部の魚雷のみになり、また、現在開発中の新世代魚雷である「G-RX6」も例に漏れずトンデモ魚雷の側面を持っています。

というのもこの魚雷、機関部に水素・酸素燃焼タービンを採用し、これは排気が水素+酸素が混合し水を排出するため、ほぼ完全な無航跡になり、加えてタービン機関になったため、ノイズが減少し音響による探知もされにくくなります。

水素と酸素という高効率の酸化剤を利用したことにより航行距離が長くなり、これは現在の魚雷において重要視される隠密性を突き詰めたような性能とも言えます。

さらに有線誘導や音響画像センサー、アクティブ磁気近接起爆装置によるデコイの無効化、といった日本が得意とする技術を満載したような魚雷です。

日本は昔から魚雷との関係が深く、開発する魚雷は今も止まらない進化をしています。

日本が魚雷に傾倒したことには理由があります。

一つは前述したように日清戦争、日露戦争での戦果がありますが、もう一つは当時の貧乏な日本でも訓練・運用がしやすかった点があります。

魚雷は訓練にかかる経費が戦艦の砲と比べると非常に安く、砲は弾が撃ち捨て、砲身も損耗するのに対し、魚雷の発射管は損耗がし難く、魚雷自体も炸薬を抜いて撃った場合、回収出来るなどの経費が安く済むためです。

こうした点もあり、当時の世界的に見ても、まだまだ貧乏な国であった日本でも運用しやすい兵器として、魚雷が注目されたというわけです。

そして、資源的にこそ今も変わらず多くはありませんが、金銭的には当時のそれを脱出した今も海上自衛隊に受け継がれ、現在に至っています。

今後、日本がこれまでに築いた技術をどう変化・発展させていくのかとても楽しみでもあります。

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